石川県埋蔵文化財センター 館内編◆石川の歴史を出土品で追う
2022年02月05日
石川の歴史を埋蔵品から考古する、それが石川県埋蔵文化財センターです。
名前からイメージできる通り、数多く県内遺跡の埋蔵品が収蔵されています。
場所は山の中。
モロ山の中。
クマが出ます、マジで。
武器を持参の上お越しください。(←?)
展示室は常設展示室と企画展示室のふたつ。
企画展示室の方はその都度展示内容が変わるのでレポートはナシ、今回は常設展示室の方のみをご紹介します。
部屋は12角形の2階構造になっていて、細かくテーマ分けされた展示が行われています。
真面目に見ていくと結構なボリューム。
ヒマ~な人はじっくりと、時間のない人は興味がある所だけパッパと見てってください。
こちらは平安時代の鉄製品。
ボロボロに錆びてますけど、精緻な加工の跡が確認できます。
残るんですね~、1000年以上経った今でも。
一体どんな人が作って、どんな人が使ってたんですかね?
ピッカピカだった当時はどんな姿をしていたんですかね?
作りたて新品の姿も見てみたいな~。
えれー適当な形をしているこの土器は「製塩土器」と呼ばれるもの。
名前そのまんま、塩を作るための土器です。
これに海水を入れて煮立てまくって水を飛ばし、塩を採ったんだそうです。
製塩なんて平底で面積のある容器でやるイメージがあるんですけどね。
なんでこの形なんですかね?
なんかスゲー効率悪そう。
ちょっとグロいこの丸いヤツ、なんだかお判りでしょうか?
答えは硯。
習字する時、墨を溜めとくアレですね。
イカスわー、このデザインセンス。
3本の足が付いてて鼎状になってんだけど、その足が動物の足になってて、なんともユーモラス。
これ多分、亀の足じゃないかな?
今にものっそり動き出しそう!
こちらは古墳から出土した副葬品。
手前にあるボロボロの棒は剣です。
形がいかにも古代の剣ですね。
まるで西洋の剣のような、反りの入っていない直刀。
当時の剣はこの形ゆえに衝撃に弱く、簡単にポキンと折れたと言われています。
なのでこの剣は戦闘向けの実用品というより、権威を象徴する装飾品としての色合いの方が濃かったのかもしれません。
土器がズラリ。
はっきりとは書いてないけど、多分古墳時代~平安時代くらいのものと思われます。
シロウト目にはちょっと分からんですが、左が「北陸系」右が「東海系」の土器だそうで。
東海と言えば愛知・岐阜・三重・静岡の辺り。
こちらから見れば日本の反対側です。
そんな遠い地域にある形式の土器が出てくるという事は、当時アチラとコチラでなんらかの交流があった事を示唆しています。
参考までにgoogleで調べてみると、金沢駅→名古屋駅は距離で213km、徒歩だと(無休憩で)45時間かかるそうです。
歩いたんですかね、そんな距離?
道路もなかっただろうに、どうやって間違えずに目的地まで行ったんですかね?
こちらは加賀郡牓示札(かがぐんぼうじふだ)と呼ばれるもの(のレプリカ)。
これ何かというと、農民のルールブックです。
農民はアーせー、コーせー、と偉そうな命令がズラズラと書かれています。
例えば朝は3~5時から、夜は7~9時まで田んぼに出て働けとか、田植えは5月31日までに終わらせて報告しろとか、酒を飲むなとか、魚を食うなとか。
なんでそんな事イチイチ指図されにゃならんのよ?みたいな上から目線のルールがぎっしり。
こんなの本当に守られてたのかね?
結構無視されてたんじゃないかな~?
このペラペラの土人形は板状土偶。
縄文時代のものです。
上と下とで色が違うのは別々の所から出てきたため。
別々の所って言ってもせいぜい数メートル程度の距離だと思うんだけど、その「ちょっと」が2000年も経つとここまでコンディションに違いを作るんですね。
下半身だけほんのり赤くなってますが、これはこの像本来の色で、元々は全体がこの色でした。
古墳の壁画なんかでもそうですが、「赤」には魔除けなどの呪術的な意味合いがあり、この土偶にもそんな何らかの呪術的意図が込められていたと考えられています。
石器時代の石器。
石を砕いて加工しただけの、極めて原始的なものです。
一番左の白い石には「頁岩(けつがん)」と書かれたキャプションが付けられています。
頁岩とはドロが何千万年もかけて石になって、そこに圧力がかかって、一定方向にパリッと割れやすくなったものです。
だからすごく加工が楽で、このように石器の材料としてよく使われました。
河原なんかに行けば割と簡単に見付かりますので、興味があったら探してみて下さい。
こちらは室町頃の遺物で、一石呪符(いっせきじゅふ)と呼ばれるもの。
毘沙門天・金剛界大日如来・不動明王・胎蔵界大日如来を意味する梵字が書かれています。
用途はよく分からんですが、携帯型集合仏像、みたいな感じですかね?
あるいは簡易版梵字曼荼羅か。
恐らくは何らかの護符的用途をもって作られたものでしょう。
石は凝灰岩ですね。
石の話はもういい??(笑)
最後に一発、デカいのをバーン!
貝塚の断面です。
これ、模型じゃなくて本物で、三引遺跡(みびきいせき)から出た貝塚の断面を特殊な方法ではぎ取ったものです。
スゲーな。
地層ですよ、地層。
地層を引っぺがして標本化しちゃうんですよ。
ダイナミック過ぎるわ!
石川県内から出た様々な遺物が一同に見られる石川県埋蔵文化財センター。
正直そんなにサンプルは多くないんですけど、時代による偏りがなく、非常にバランスの良い構成になっています。
石川の歴史的営みを発掘品という視点から見てみたいって人には、多分すごく興味深い場所。
考古学スキ~♪って人はぜひ一度訪れてみてください。
次回は野外にある古代体験ひろばを見ていきます。
こちらは発掘調査を元に、古代住居が再現されています。
まるで突然時間を越えて飛び込んだような不思議~な感覚が楽しめる場所ですよ!
関連タグ >> 美術館・博物館 石川県埋蔵文化財センター
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