
神宮文庫 日本の建築美を組み込んだ大正時代のレトロモダンな洋館
2021年08月11日

伊勢神宮の別宮である倭姫宮(やまとひめのみや)の正面鳥居から見てやや右手斜め前、道を渡った先にあるのが神宮文庫です。
名前から分かる通り図書館で、伊勢神宮が管理しています。
起源はメチャメチャ古く、辿っていくと奈良時代にまで行きつくそうです。
元々は伊勢神宮の内宮と外宮、それぞれ別個に文書を保管する施設があって、それがなんやらあーたらこーたら色々あって(←?)、内宮は林崎文庫、外宮は豊宮崎文庫という形で近代まで存続。
それらが明治に入って統合されて神宮文庫として生まれ変わり、大正14年に現在の建物が建ったそうです。

そんな歴史の古~い図書館の入口を固めるのがこの門。
木立の隙間をふさぐようにズシッと腰を下ろす豪壮な薬医門です。
いきなりカッケーなーーーッ!!
この門は移築されてきたもので、建造は江戸時代中期の1780年、福島御塩焼太夫(ふくしま みさきだゆう)って人の家にあったものだそうです。
職業は祈祷師および御師とされてるので、一般町人って事になるんでしょうが、すげー儲けてたんでしょうね。
なんたってこれだけの大門を家にズドーン!と建てちゃうんですからね。

構造は三間(さんげん)形式。
中央にメインとなる大扉を備え、小さなくぐり戸を両脇に2枚。
鏡柱がスゴイですわね。
ゴッシーン!!と太くて重くていかつくて。
圧倒的な存在感。
そして屋根。
高価な丸瓦でがっしりと覆われ、大棟両端には2匹の鯱(しゃちほこ)が天に向かってビシッとそそり立つ。
鯱ですよ!鯱!
ここお城かっての!?
って言うか、お城でもここまで豪壮な門は滅多に見られない。
これほどの門を作っちゃうんですからね、どんだけお金持ちだったんですかね?

で、このザ・お金持ちな門をくぐると、ぐんにゃり曲がった坂道がしばらく続きます。
このぐんにゃり感がなんか伊勢神宮を彷彿させますわな。
門を入っていきなりゴールにたどり着くのではなく、ちょっと歩かせる。
木立の間を抜け、大自然の息吹を体で感じることで、心の中で独特の神秘性が醸造されていく。
何となくそんな気分にさせる不思議~な坂道です。

その坂道を登り切った先に現れるのが神宮文庫本体!
なんだけど・・・。
真ん中の植木が画像的に邪魔だ・・・・(鬱)。
これがもーレトロ感むんむんでしてね。
めっちゃくちゃノスタルジック!
素敵ですわ~♪

入口は左右に2本の双柱を備え、足元には石のペデスタル(柱の基壇)。
一見洋風ですが、その上にある持ち送り(横材を下から支える部材)には神社建築によく見られる雲形文様。
そして屋根。
バッサリと八の字形に下ろした屋根は神社的な銅板葺きで、軒下には懸魚(げぎょ・中央にちょこんと垂らされてる飾り)が備えられています。
これも和風建築のセオリーそのまんま。
でも全体のテイストは洋風という、和と洋が溶け合った不思議~なフュージョン。
この手の和洋混合建築を疑洋風建築と言うのですが、これが明治とか大正の頃に流行ったのですよ。
見方によってはどっち付かずと言えなくもないですけど、でも独特の美があります。

屋根上にはドーマーウインドウ。
これも西洋建築の仕立てで、屋根裏部屋用の採光窓です。
これがあるんだから、この部分に屋根裏部屋がありそうですが、ちょっと微妙。
それはまた後で見ていきます。
ここも銅板屋根に懸魚を備えた、日本の神社的なデザインが施されています。
一方で窓は四角枠、そこを薄紫のペンキで塗り立て、上には小さな鎧戸を2枚を付けるというガチガチな洋風様式。
ど~にも洗練さに欠けると言うか不器用なものの、でもその不器用さがなんか不思議~ないい味を出しています。

中の廊下の様子です。
内部はあんま好き勝手に写真撮っちゃダメらしいけど、ここはオーケーと言われたのでパシャリ。
白壁に飴色の木枠が規則正しくズラズラズラ~リ。
なんかこの光景、昔の学校みたいですね。
部屋数が多いので、ひとつひとつの部屋は多分そんなに大きくはないでしょう。
ちなみに訪問者が入れる部屋はこの写真の背中側にある閲覧室だけです。
なので各部屋の詳しい様子はわたしも見ておらず、不明です。

通路上にある天窓。
この上にさっき見たドーマーウインドウがあって、そこから光が降りてくる形になっています。
すごいですわな鉄枠の錆び付き具合が。
ボロンボロンです。
摺りガラスも汚れてて、ゴミだらけ。
ひょっとしたらあのドーマーウインドウは単なる飾り窓で、屋根裏に部屋なんかないのかもしれません。
部屋になってて出入りが容易にできるのなら、もうちょっと掃除くらいするでしょうからね。

事務所の上に掲げられている扁額(へんがく)。
『豊宮崎文庫』と書かれています。
かつて伊勢神宮外宮が管轄していた書庫の名前ですね。
カッケーですわね、これも。
古いってのはそれだけで価値がありますわね。
これ1枚ぽんと掲げられてるだけで、メッチャメチャ貫禄アガりますわ。
おお~~歴史あるんだな~ココ、・・みたいな。

現在も図書館として現役を務めている神宮文庫。
蔵書は30万冊近くと膨大。
しかも中には貴重な古文書なども含まれ、歴史的に重要な資料がゴロゴロ眠っています。
ストイックに歴史や古代神道の姿を学んでみたいって人、一度行ってみてはいかがですか?
もちろん歴史とか研究とかに興味がなくても大丈夫。
ここまで見てきた通り、建物だけでも十分楽しめます。
江戸時代の豪壮な門に、大正時代のレトロモダンな疑洋風建築。
それらを包む鬱蒼とした森が醸し出す伊勢神宮的な神秘性。
こんな不思議な世界観、ここだけでしか味わえませんよ!
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