店主たみこの観光案内ブログ

伊勢神宮 内宮(皇大神宮)宇治橋~神苑 ◆神苑に感じる異質感の理由

2020年10月28日

伊勢神宮内宮の入口

 

4回に渡って見てきた伊勢神宮編。
前回までは外宮(豊受大神宮・とようけだいじんぐう)のレポートでした。
そして今回からいよいよ内宮(皇大神宮・こうたいじんぐう)へと話は進みます。

 

以前にもお話した通り内宮には天照大御神(あまてらすおおみかみ)が、外宮には豊受大御神(とようけのおおみかみ)が祀られています。
この両者、基本的には内宮がメインで、その内宮をサポート・補完するのが外宮の立ち位置となっています。
なのでお伊勢参りと言えば何を置いても内宮、ここを回らなきゃ伊勢に来たことにならない、となる訳です。
要するにこここそが伊勢神宮のメインゾーンという事ですね。

 

豊受大神宮の宇治橋

 

内宮の入口となるのがこちらの宇治橋。
五十鈴川に架かる大きな木造橋で、伊勢神宮のシンボルのひとつです。

 

神社において橋を渡るってのは重要な意味を持ち、これ自体がひとつの禊とされています。
こうして橋を渡って水の上を通ることで、汚れが水と一緒に流れていくのです。
なので入口に橋のある神社ってよく見掛けるでしょ?

場合によっては川も何もないのに、なぜか橋だけがポンとあったりもします。
全ては禊を行い、心身を清浄にしてから入ってもらうってのが目的なんですね。

 

宇治橋の横の木除杭

 

橋を渡っていると妙なものが目につきます。

川の中にずらずらずらーっと並んでいる謎な柱。

コレ、なんだか分かりますか?
これは木除杭(きよけぐい)と呼ばれるもので、川の流れから橋を守るためのものです。

 

大雨や台風なんかで川が増水して流れが激しくなると、その分橋脚にぶつかる水圧がものすごい事になるんですね。
さらにひどい時は大きな木なんかが流れてきて、橋を壊してしまう事もあるのです。
そこでそれらに先にぶつかって、後ろにある橋脚を守るのが木除杭の役割です。
つまりバリケードですね。

 

伊勢神宮内宮の大鳥居

 

そしてもうひとつのシンボルである大鳥居。
橋の手前と奥、2ヵ所に建てられています。
高さ7.4メートルと素晴らしくご立派なサイズなのですが、見て欲しいのはそこじゃありません。
柱です。

 

この鳥居の柱、実は内宮・外宮の正宮殿の棟持ち柱を流用しています。
棟持ち柱ってのは建物を両脇から支える、最も重要でぶっといヤツですね。

20年ごとに式年遷宮(しきねんせんぐう)と呼ばれる社殿の建て替えが行われるのですが、そこで出てきた廃材の一部がこうして再利用されているのです。

 

ちなみに橋の内側にある鳥居は内宮のもの、外側にある鳥居は外宮のものが使われているそうです。

 

子安神社の側面

 

その鳥居をくぐり右に折れるのが正式なルートなのですが、ちょっと我慢してそのまま前に進んでください。
簡素な鳥居をくぐった先に小さな社がふたつ見えてきます。
手前が子安神社(こやすじんじゃ)、奥が大山祇神社(おおやまつみじんじゃ)。
まずは子安神社から見ていきましょう。

 

こちらの祭神は木華開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)。
結構物騒な神さまで、夫である瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)から浮気を疑われ、身の潔白を証明するために建物に火を放って子を産んだんだとか。
なんでも無事に子供が生まれたら、それが浮気じゃないって証拠になるんだそうですが、ちょっと意味よー分からんですな(笑)。

 

子安神社の正面

 

建物はシンプルな切妻屋根、周囲を透塀でぐるりと取り囲んでいます。
サイズは小さく、さっぱりした印象。

 

大棟上には千木(ちぎ・屋根上端部に付けられたV字形のツノ)も鰹木(かつおぎ・屋根の大棟上に横向きに並べてある棒)もないですね。
これは恐らく隣の大山祇神社との間に格差を設けるためでしょう。
大山祇神(おおやまつみのかみ)は木華開耶姫命の父親なので、そっちを立てる必要があるんですね。

 

大山祇神社の正面

 

で、隣の大山祇神社。
ご覧の通り大棟上に千木と鰹木がちゃんと据えられ、明らかに格上な社殿になっています。
伊勢神宮内にある他の摂社・末社とほぼ同じレベル。

 

建材がやたらピカピカなのは比較的最近建て直されたからでしょう。
いつ頃ですかね?
多分まだ10年も経ってないと思いますが。

 

大山祇神社の石柱

 

ここに祀られている大山祇神ってのもちょっとクセのある神さまで、娘である木華開耶姫命を瓊瓊杵尊に嫁にやる際、一緒に姉の石長比売(いわながひめ)も差し出したんだそうです。
ところがこの石長比売ってのがあんまり容姿がよろしくなかったもんで、嫌がった瓊瓊杵尊はそのまま送り返しちゃいました。
でもこれが大失敗で、石長比売には「長寿のエネルギー」の神徳があったのです。
おかげでそれ以降生まれてくる瓊瓊杵尊の子らには神の長寿が与えられなくなってしまいました。

天皇家は神の直径子孫なのに寿命が普通の人間と変わらないのは、この事件(?)以来と言われています。

 

娘をセットで嫁に出す親も親ですが、見た目が気に入らんと送り返す婿も婿ですな。
ありえん。
生々しすぎ(笑)。

 

日本神話ってこういう現代モラルから考えると、え?って思わされる話が結構あります。
生まれた子供が障害持ちだったから海に流したとか、兄ちゃん神たちが気に入らん末の弟を寄ってたかって殺したとか。

今なら完全に犯罪レベル。
興味があったら古事記とか日本書紀とか読んでみてください。

 

皇大神宮の神苑

 

子安神社・大山祇神社をしっかりお参りしたら、Uターンして再び宇治橋のたもとへ。
ここで改めて正宮側へ左折し、玉砂利を敷き詰めた広い通路を進んでください。

 

この場所は神苑と呼ばれるエリアで、その名の通り庭園です。
木立が多く遮蔽物が多い内宮の中で、ここだけはなぜかズバッと見通しが良くなっています。

ちょっと違和感。

 

これ実は理由がありまして、かつてここにはお店がズラズラっと並んでいました。
それを明治期、神社の聖域から俗を排するという理由で一斉に撤去したんですね。
こうしてできたのが今の神苑。
なのでこの一帯には今でも高い木がなく、一面平地になっているのです。
画像の左右に伸びる白い真っすぐなラインはその当時の名残りで、昔はこのラインまで茶店やお土産物屋が並んでいたそうです。

 

神苑の

 

その神苑を抜けると、火除橋(ひよけばし)。
先に宇治橋が俗と聖の境界と書きましたが、それは現代の話で、神苑が整備されるまではこの橋が実質的な俗と聖の境界でした。
この先がいよいよ伊勢神宮、って事ですね。

 

と、今回はここまで。
次回はこの先にある手水舎から神楽殿までを見ていきます。
ここからがいよいよ伊勢神宮”らしさ”がむんむん濃くなる神秘のエリア。
も~わくわくが止まりませんゼ~♪♪

 

 

伊勢神宮 内宮(皇大神宮)

住所:三重県伊勢市宇治館町 1

TEL:0596-24-1111

ホームページ:伊勢神宮公式サイト

 




エリア >> 三重県 > 伊勢市 > 宇治館町

 

関連タグ >> 神社 伊勢神宮 伊勢神宮 内宮 

 


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コメント

 

1.白いラインの内側

こんにちは
最近、神社の参道の中央は神様が通るから、通ってはいけない、と言う話があります。
そのため、内宮さんの神苑の白いラインの内側を誰も歩いてない事がよくあります。僕は、そんな広く開いた白いラインの内側を堂々と歩いてます。
神社検定が出来てから、後付けのおかしなルールが出来て困ります。

ふくもっちゃん 2020-10-28 22:59:44

>> このコメントに返信

2.Re:白いラインの内側

> ふくもっちゃんさん

神社検定なんてあるんスね。
知りませんでした。
って言うか、講座の開催地が偏り過ぎてて他地域者には理不尽すぎる(笑)。

たみこ 2020-10-29 21:56:02

>> このコメントに返信

 

 

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