店主たみこの観光案内ブログ

金沢湯涌江戸村 旧石倉家◆VIPのオレ様ぶりに敬礼!

2022年04月30日

金沢湯涌江戸村 旧石倉家

 

金沢湯涌江戸村レポート、前回は旧松下家・旧山川家の2棟の商家を見てきました。
今回は旧石倉家の紹介。
こちらは江戸時代に宿場問屋を営んでいた屋敷です。

 

宿泊施設だっただけあって、規模はここ金沢湯涌江戸村で最大。
ある意味「威風」を放っています。
そのくらい堂々とした体躯。

 

お寺の本堂のようなファサード

 

とにかく屋根がデカいのよ。
ズシッと沈み込むようなボリューム感。
しかも反り屋根になってて、なんだかお寺の本堂みたい。

 

さらに建物前面の壁には白漆喰がビシッ!
何気に海老虹梁(えびこうりょう・左右にあるカーブの入った梁)なんてシャレたデコレーションまで付いています。
トドメに巨大な鬼瓦がぐわーん!
イカツイわ~!♪

 

立派な棟門

 

ちょっと右側に目を向けると門なんかもあります。
ブラックで包まれた、いかめしい棟門。
さり気なく脚元に銅板なんか巻いて、結構おカネかけてられています。

 

ただこの門、位置がちょっと変なんですよ。
なぜか入口真正面ではなく、右にズレた位置にあるのです。
その理由は門をくぐると分かります。

 

鬼瓦下の菊の紋章

 

こちらはその先にある建物の屋根なのですが、分かりますかね、鬼瓦の真下に菊の紋があしらわれているのが。
菊の紋と言えば皇室のトレードマーク。
なんとこの屋敷、明治11年の天皇巡幸の際に休憩所として使われたのです。
ゆえにこうして「天皇陛下専用の入口」として、右側にわざわざズラして門が設置されているんですね。

 

ちなみにこの屋敷、江戸時代は参勤交代の本陣(宿泊所)として使われていました。
なので元々は殿様専用の門として用意されたもののようです。
今も昔もVIP様ってのは入る場所から違うんですね。

 

旧石倉家の間取り図

 

では屋敷の間取りを見ていきます。

 

入口入ってすぐにニワと呼ばれる土間、その右手に受付兼会計所となる帳場。
その先には広~い広間が配され、その広間を囲むように居間・茶の間・三の間・十畳。
ちょっと離れた場所に本陣座敷&次の間。

 

特徴としては広さですね。
宿場という性格上、どの部屋もかなりゆったりめに作られています。

 

広間

 

まずは広間。
板張り+土壁の、ちょっと農家的な内装になっています。

 

ここで見て欲しいのが柱と梁。
要塞レベルにド太いのがずどーん!

 

ゴージャス感の演出ですね。
泊ったお客さんにどうぞ豪華な気分を味わってください、というパフォーマンスです。
実際気分良かったでしょうね、こんな所に寝泊まりできれば。

 

広間の天井

 

部屋の上にもゴツゴツ骨太な梁。
それもなんか中途半端にぐにゃ~と曲がった梁。

 

好きだわ~、このいかにもな古建築的眺め♪
現代建築なら直線+直線でキッチリ仕上げちゃうところなんですけどね、ここは見ての通りぐにゃぐにゃのゴツゴツ。
でもそれがなぜか不思議な美しさを生み出していて、心の中をほかほかと温めてくれるような熱まで感じられて。
やっぱ古建築はいいですわ!

 

居間・茶の間・三の間

 

その奥は居間→茶の間→三の間と同じ作りの部屋が3つ並んでいます。
共に広さ10畳で庭に面する側には縁側もあり、その先は恐らく立派な庭園もしつらえられていたと思われます。

 

ここは多分寝室だったんでしょうね。
何度も言う通り、この建物は元々は宿屋でしたからね。
それも参勤交代に利用されていた施設なので、それ相応の人数を収容できるようにこんな大きな部屋を3つも用意してあったのでしょう。

 

旧石倉家の庭

 

こちらは部屋から見た庭の眺め。
玉石がざっと敷かれて、その向こうに石と植栽。
なかなかに味のある庭です。

 

ただこの建物は福井から移築してきたものなので、現地での庭はこれとは全く違うものだったはず。
一体オリジナルはどんな庭だったんですかね?
移築前の庭も見てみたいー!

 

次の間

 

この部屋は次の間。


ちょっと良く見て欲しいんですけどね、先に見た居間・茶の間・三の間とここには微妙な違いがあります。
どこか分かります?

 

それは畳のへり。
何気に装飾が施されています。
これは先の部屋よりこちらの方が格上という事を表しています。
なんで格上なのかと言うと、ここは天皇陛下や殿さま用の部屋だったから。
例のVIP様専用の門の線上にある部屋がまさにこの部屋なのです。

 

本陣座敷の室内

 

その天皇陛下&殿さまがメインに使っていた部屋がこちらの本陣座敷。

 

確かに何か空気が違います。
どことなーく天上感があると言うか、なんかエラそう。

 

中央に置かれている厚畳は単なる飾りです。
本当にここにこんなのが置かれていたって訳じゃなく、金沢職人大学校の生徒さんが授業で作ったものを展示してあるのだそうです。

 

まあ確かにこんなのが部屋の真ん中にあったら寝っ転がる場所がなくなって邪魔だわな(笑)。

 

本陣座敷の床の間

 

VIPルームなので、この部屋にだけ床の間なんかもあります。
これがもう素晴らしく、本床に畳を敷いて、床柱には味のある黒木を据え、床脇には金箔貼りのゴージャスな天袋(戸棚)をバーン!

 

この金箔装飾の天袋がスゲーいいのですよ。
画像じゃ小さくて分かりにくいですが、金地に水墨画で山景が描かれてて、めちゃめちゃクール。
そこにさらに経年劣化によるシブ味も加わってて、とにかく感嘆の一言!
まー見事ですわ。

 

本陣座敷の欄間

 

欄間も違います。
この部屋だけ竹をあしらった透かし欄間が設置されています。

 

竹は1年を通して青々しさを失わない姿から、繁栄の証とされています。
つまりこの竹には、殿さまの末長い繁栄への願いが込められているんですね。

 

気分良かっただろうな~、ここに泊った殿さま。
きっといい夢を見られた事でしょう。
わたしもこんな部屋で寝られる身分になりたいですわ。

 

上便所

 

VIPルームのスペシャル設備はこれだけではありません。
なんと部屋の後ろには殿さま専用トイレまであります。
しかも畳敷。

 

さすがですな。
VIP様はトイレまでオレ様仕様。
きっと心行くまでゆ~っくりと用を足せた事でしょう。
そりゃもういっぱい出たんでしょうね!(←何が?)

 

金沢湯涌江戸村 旧石倉家の全景

 

一般人とVIP様との格の違いを思いっ切り実感できる旧石倉家。

 

ジェラシーですわ。
一般人側の人間としては激しくジェラシーですわ。
わたしもソッチ側の人間に生まれたかった。
でも、でも、貧乏人はどんなに努力しても一生貧乏なんだー!だー!だー!

 

今度の宝くじこそはなんとか当てて、ソッチ側に行けるよう頑張りますっ!



次回は武家屋敷を2棟見ていきます。
チョンマゲ結ってご覧ください。

 

 

金沢湯涌江戸村

住所:石川県金沢市湯涌荒屋町 35-1

TEL:076-235-1267

ホームページ:金沢湯涌江戸村公式サイト

 




エリア >> 石川県 > 金沢市 > 湯涌荒屋町

 

関連タグ >> 古民家 古建築 金沢湯涌江戸村 

 


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