
阿尾城跡 小っちゃなお城に仕掛けられたデビルな絶死トラップに震撼
2021年10月06日

海岸線上のスッゲー断崖の上、阿尾城(あおじょう)はそんな天然の要害にあります。
このお城、入口が少々分かり辛く、初めての人は多分かなり迷うと思います。
とりあえずgoogle mapは当てになりません。
地元のどこかで観光パンフをゲットするか、下記のマップを参考に探してみて下さい。
目印は石の鳥居です。

まずは見取り図から。
スタイルとしては岬の地形を利用した梯郭式(ていかくしき)となっています。
梯郭式ってのは本丸の背後に山や川、断崖などのバリケードを設けている構造で、この城の場合は海+崖が背後を固めています。
途中いくつかの曲輪(くるわ・広場)があり、地形上、敵はこの曲輪を端から順番に落として進むしかありません。
一見シンプルですが、意外に攻略難易度の高い造りになっています。
ではひとつひとつ見ていきましょう。

入口の急坂を登ると最初に目にするのが伝三の丸跡。
なかなかの広さで、野球の内野をさらにひと回り大きくしたくらいの広さがあります。
中央には神輿舎がどーん!
中の様子は分からんですが、神輿舎ってんですから多分神輿が入っているのでしょう。
ここで道は3方向に別れます。
左が白峰社、中央が伝二の丸跡、右が榊葉乎布(さかきばこふ)神社に繋がる道。

こちらは左にある白峰社へと繋がる道。
これ見て、は?と思われた方、なかなかのツウです。
そう、おかしいのです、この道。
あっさり行けちゃうのですよ、上へ、それも一直線に。
これ明らかに後世に通された道ですね。
お城の構造として、こんなショートカットで上に登れる道なんてあり得ない。
だって敵も簡単に登れちゃいますからね。
恐らく本来は土塁を積み上げた、単なる壁があるだけの場所だったのでしょう。

反対の右側の道を登ると神社が登場。
榊葉乎布神社です。
これがね、素晴らしいんですわ、拝殿が。
モロわたし好み♪
水平性を押さえて、ごっつりとした重量感を重視した筋肉質な造形。
一方で正面には、唐破風と千鳥破風を重ねたすらりと軽快な飾り屋根。
ンまぁ~イケてるわ~♪
アルミサッシ邪魔だけど。(←?)

で、注目して欲しいのは、そこに至るまでの地形。
神社があるって事は広場になってるって事で、それはつまりここが曲輪であった事を意味しています。
その痕跡を残すのがこの道。
道筋がぐにゃ~っと曲がってるでしょ。
しかも細い。
これは見通しを悪くし、かつ敵を少しずつしか行軍させないための仕掛けです。
この細い道をもたもた登ってくる敵を、上の曲輪からズバズバーと狙い撃ちにするのです。
地味だけど有効なトラップです。

さらに中央の道。
ここも恐怖です。
左側が壁になっているのが分かると思いますが、この上も曲輪になっています。
つまりここを進もうとすると、上から弓矢や投石の雨が降り注ぐのです。
デビルですな。
ほぼ死亡フラグ確定です。
ここはもう死ぬ気で全力疾走突破するしかありません。
ガンバレー!!

その先にあるのが伝二の丸跡。
ここね、変なんですわ、地形が。
分かりますかね、段々になっているのが?
ざっくりと3段くらいの階段構造になっています。
かなり意味不明。
これどうも畑の跡らしいです。
このお城、廃城となった後は畑として利用されていました。
その時にこの段々が作られたっぽいです。
恐らくその前はもうちょっと平坦、あるいはゆるやかなスロープになっていたと思われます。

そこを抜けたらまたもや恐怖の仕掛けが待っています。
地獄のクランクです。
攻め手はこの道に沿ってにカクカクと進むしかありません。
これもキツイですよー。
重い甲冑を着て重い鉄の武器を持って、この急坂をひいこら登るんですからね。
それも上から攻撃を浴びまくりながら。
悪夢のような1本道です。

その急坂を登り切った先に再び神社。
白峰社です。
こちらは先に見た榊葉乎布神社と違って、瓦葺きのシンプルな建物。
地味、地味、地味。
さらにやっぱりアルミサッシのオマケ付き。
なんでこんなにガッチリ囲んじゃうのかね?
ここは潮風にモロに当たって建材の劣化が早いから、これもまー仕方ないっちゃー仕方ないんだけども。
でもここまでコテコテに囲んじゃうと、建物が全然見えない。
建物の意匠が見たいーーって建築マニアには、激しく不満。

その奥を進むと小さな曲輪が連続して現れます。
その一つがこちら。
中央に『白峰社本殿跡地』と刻まれた碑が建っています。
先に見た白峰社の社殿、本来はこっちにあったみたいですね。
現場のサイズから推察するに、恐らくここにあったのは祠程度の小さなもの。
それが潮風の劣化で損傷し、スケールアップしてあっちに移ったのでしょう。

その先がまたエゲツないことになってましてね、ご覧くださいこの細っ~~い通路。
岬の尾根を伝う形になっているせいで両側が急傾斜になっていて、1人ずつしか通れません。
しかも画像じゃちょっと分かり辛いですが、堀切(ほりきり)と呼ばれる横溝まで掘られています。
攻め手側はこの細っ~~い道を、アリの行列のように一列になって進むしかありません。
まあ狙い撃ちですわ。
逃げ場ナシの狙われ放題。
しかもやられた敵はこの下の崖底へ急転直下で落下する、と。
こんなの通れねーよ(怖)。

そしてゴールの伝本丸跡。
なんやら草ぼーぼーで状態よー分からんけど。
奥には展望台があって、高台から海の様子をざっと見下ろせます。
気分い~いんですわ、ココ♪
潮風が涼しくて、空気が澄んでて。
ちょっとした別世界。

岬の先端なんでね、灯台なんかも建っています。
いいですわな~灯台。
灯台好きなんで、こんなん見付けるとわくわくしちゃいます♪
ただこの灯台、既に役目を終えているようで、先端の光源が取り外されています。
代わりにこの裏っ側に竿みたいなのがひょろっと立ってて、そっちが現在灯台として動いているようです。

小さいながらも様々な仕掛けがぎゅっと仕込まれている阿尾城。
怖ぇーですよー。
攻め手の気分で見ていくとマジ怖ぇーですよー。
あ、ココで死ぬ、うお、ココでまた死んだ、みたいな。
そんな恐怖の仕掛けにビクビクおびえながらじーっくりご見学ください。
あと現場にはこんな怖ぇーモノもありました。
柵を乗り越えるためのものとしか思えない一升瓶のP箱と角材。
ここを乗り越えてもその先には断崖絶壁とはるか下の海しかありません。
そんなトコに行ってやるコトってアンタ・・・・
なんか生々し過ぎて、これが一番リアルに怖ぇーな~・・(震)。
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