
伊勢神宮 外宮(豊受大神宮)表参道~神楽殿 ◆ぴょこっと植えられている謎な木の正体を知る
2020年10月17日

『伊勢神宮』とは125ある宮社の総合体の事で、実は特定の神社の呼称ではありません。
と言われてはいますが、実質的には内宮と呼ばれる皇大神宮(こうたいじんぐう)と外宮と呼ばれる豊受大神宮(とようけだいじんぐう)の2社を差します。
それぞれ祭神が違い、内宮で祀られているのは天照大御神(あまてらすおおみかみ)、外宮で祀られているのは豊受大御神(とようけのおおみかみ)。
この両宮にはゆるやかな上下関係があり、基本的に内宮が「主」外宮が「従」となっています。
ゆえに参拝の際はまず外宮を先に参り、次にメインの内宮に参るのが正しい順序とされています。
って事で今回から始まる伊勢神宮編、このルールにのっとって、まずは外宮から先に見て行きましょう。

入口は表参道口と北御門口の2ヵ所がありますが、表参道口から入るのが正式なルート。
その入場口にあるのがこの火除橋(ひよけばし)です。
ゆるやか~なカーブを描いた木造の反り橋。
この橋はその名の通り火の延焼を遮断するための防火ライン、つまり火事除けのためのものです。
万が一火の手が迫って来ても、この橋を切り落とせば火はそれ以上前に進めない訳です。
ただ現実的には火はこんな細い川くらいなら簡単に乗り越えてきますけどね。

その火除橋を渡ると玉砂利の広場になっていて、左手にスタイリッシュな建物が見えてきます。
「せんぐう館」です。
伊勢神宮の式年遷宮(しきねんせんぐう・20年に1回社殿を新設して入れ替える儀式)についての歴史や、それに関わる品が数多く展示されています。
特に印象に残ったのは、正宮(しょうぐう)の再現建物ですかね。
正宮の中ってのは限られた人しか入れないので、我々一般人が間近で建物を見るという事はできないのですよ。
でもここではそれが疑似的に体験できるのです。
もー感動ですよ!

そしていよいよ登場、大鳥居。
これがあると、あー今から神社に入るんだー的な実感が湧いてきます。
形は笠木(天頂の横材)が反っていない神明鳥居。
特徴的なのは柱で、ご覧の通り丸柱となっています。
根元は太く、上に向かって細くし、角度は左右から内側にすぼめる内転び。
さらに横から見ると笠木の形が、四角形ではなく五角形になっています。
これらは全て伊勢神宮の鳥居の特徴。
鳥居ってのは意外とアバウトでして、神社によっては同じ境内の中に違う形状の鳥居が混在してるなんてケースが時々見られます。
でもここは違います。
どこ行ってもこの形の伊勢鳥居がビシッ!
ほとんど軍隊のような規律正しさで統一されています。

鳥居を抜けて進むと、右手になんやら建物が見えます。
格子扉の門と格子塀でがっちりガードされた、謎な建物。
これは斎館(さいかん)と呼ばれる建物で、何気に非常に重要な場所です。
斎館とは「斎(さい)」=「斎(いつく)」=「清め」を表し、ここは清めの場所なのです。

重要な儀礼や祭りが行われる際には、神職の人たちは一定期間ここにこもって身を清めます。
その間は食事や生活、さらにはトイレの所作に至るまで細かく行動が制限されていて、それによって徹底的に汚れを祓います。
なので清浄第一なんですね。
当然一般人は完全シャットアウト。
わたしのような小汚いおっさん(←!)がウロチョロ入ってこれないよう、厳重に柵で囲ってあるのです。

その先には再び鳥居。
え?また鳥居?って感じですが、でも他の神社でもよくあるでしょ?このパターン。
いわゆる一の鳥居と二の鳥居ってヤツ。
これもそうですね。
この奥には当然神社の心臓部とも言える本殿があり、そこには大切な神さまが祀られています。
その神さまを邪な力から守るため、こうして二重三重に鳥居を巡らして結界を張っているんですね。
いわゆる神霊的なバリアって訳です。

その二の鳥居を抜けると、いきなり出てくるのが神楽殿。
その名の通り神楽を奉納する建物です。
神楽とは神にささげる歌舞ですね。
巫女さんがふわ~ふわ~と踊ってるの、テレビとかで見た事あるでしょ?
アレです。
中にはそのための舞台なんかもあるらしいですが、基本中には入れません。
お祓いとかしてもらう人だけ入れてもらえるみたいです。
中も見たいって人はお祓いをしてもらってください、当然有料ですけど。

そのお祓いの受付をしているのが、こちらの神札授与所(ふだじゅよしょ)。
お守りやお神札(おふだ)など、神社の定番アイテムの販売を行っています。
なんたって伊勢神宮のお守りですからね、めちゃめちゃご利益ありそう。
おーこれあれば無敵じゃね?みたいな。
お伊勢参りの記念におひとつどうぞ。
あなたの開運ビクトリーロードはここから始まります!
・・・多分。

その隣にあるのが五丈殿(ごじょうでん)・九丈殿(くじょうでん)。
これは何のためにあるのかと言うと、雨の日の祭祀会場。
伊勢神宮ってのはやたらお祭りの多い神社で、その数実に年間1,500回以上!
と言っても年がら年中ぴ~ひゃらぴ~ひゃらやってるって訳じゃなく、そのほとんどは地味~な神事程度のもの。
そんなお祭りを天気に影響されずに滞りなく行えるよう、こうして雨天用の建物を用意してあるのです。

で、ちょっと見て欲しいのがこの謎な木。
なんやら意味不明にぴょこんと植えられています。
あ?なんか意味あんの?みたいな。
ありますよ、意味。
この木、実はこれ自体がひとつの神社なのです。
ここには四至神(みやのめぐりのかみ)という神さまが祀られていて、その神さまの依り代(よりしろ・降りてくる場所)がこの木なのです。
神社と言えば何かしら社(やしろ)があるのが普通なんですけど、実は原始神道においてはそのような常設施設はありませんでした。
それが現在のようなスタイルになったのは、後から入ってきた仏教の影響を受けてからと言われています。
それ以前の古代の人々はこんな風に木や岩、あるいは山などに神さまが宿ると信じ、祈っていたのです。

そしていよいよクライマックスとなる正宮、となるのですが、今回はここまで。
正宮の様子は次回詳しくレポートします。
なんたって伊勢神宮の心臓部ですからね。
ここの空気感は別格!
震えるほどに神聖ですよ~♪
警備も厳しいけど。(←?)
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