金沢駅 百工の間
2018年10月13日
2015年3月14日に開業した北陸新幹線。
当時はその主役である新幹線にばかり話題が集中しましたが。
実はその陰や裏でも色んな仕掛けが用意されていました。
そのひとつがこちら、金沢駅にある新幹線専用待合室「百工の間(ひゃっこうのま)」です。
両面ガラス張り、その向こうには無数の丸窓がズラリと並ぶ木板。
なんじゃこりゃ?と思って覗いてみると、中には工芸品の数々。
そう、ここに展示されているのは全部石川県の伝統工芸作品なのです。
全部で30品目、236点。
壮観です!
ちっちゃいけど(笑)。
この百工の間、実は元ネタがありまして。
それは加賀藩5代目藩主である前田綱紀(つなのり)が作り上げた「百工比照(ひゃっこうひしょう)」。
ご存知の通り、前田家百万石は徳川家八百万石に次ぐ石高を誇る、全国ナンバー2の大大名。
当然その武力・影響力はあなどれず、常に厳しい警戒の目にさらされていました。
逆に言えば前田家は、この徳川家の警戒を絶えずかわす必要があったのです。
そこで行われたのが文治政治。
「わたしゃ戦なんかにゃ興味ないよ~、文化芸術を愛する平和主義者ですよ~」という、野望なき子羊を徹底アピールしたのです。
いわゆる”草食系男子”ってヤツ(←?)ですな。
この傾向は三代目藩主利常(としつね)の頃からあったのですが、最も力を入れたのが綱紀。
その政策の代表例が「尊経閣文庫(そんけいかくぶんこ)」の創設です。
何をやったのかと言うと、日本中から膨大な量の書籍・文書を集めまくったんです。
その量ハンパなく。
今で言えば国が行うべき規模の大事業を石川県が単独でやっちゃった、ってくらいのとんでもない量だったそうです。
当然お金もめちゃくちゃつぎ込んだらしいです。
「百工比照」とはその事業の中の一部で。
これは全国の工芸品の実物や写し、あるいは絵図・記録といったものを収集した、いわゆる工芸大事典みたいなもの。
その総数なんと2,000点!
もう完全に博覧会状態ですな。
そんなの集めてどうすんの?というと。
金沢城内に御細工所(おさいくじょ)という場所がありまして。
そこでは藩を挙げてせっせと工芸品を製作してたんですね。
要するに藩営大工場です。
その技術向上のためのサンプルとして用いられたようです。
コレよーく研究してもっとスゴイの作れよ、みたいな。
そのおかげか、加賀藩における工芸品の品質レベルは大いに向上し。
象嵌(ぞうがん)や螺鈿(らでん)細工、仏壇、漆器など、様々な分野で優れた製品を生み出す結果となったのです。
その流れは今なお脈々と受け継がれており。
現在の工芸王国石川の礎となっています。
金沢駅の百工の間。
何かの機会で利用する時は、ぜひ小さな丸窓をひとつひとつ覗いてみて下さい。
輪島塗や加賀友禅などはもちろん、和ろうそくや加賀毛針といったちょっと意外な作品も見られます。
あちこち歩き回らなくても、この部屋ひとつで幅広い石川の伝統工芸の世界が俯瞰できますよ。
間違っても。
出発まで時間があるからって。
寝てちゃダメですよーーっ!!!
金沢駅 百工の間
住所:石川県金沢市木ノ新保町1番1号 金沢駅内
TEL:0570-002-486
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