
能登中居鋳物館 シビれるゼ、中世の鋳物製品
2024年07月06日

穴水の集落の中にポツンとある能登中居鋳物館。
    かつてこの地で栄えた鋳物業の文化と業績を伝える施設です。
話の前に、まず鋳物(イモノ)って何?って事ですが。
    簡単に言えば型の中にドロドロに溶かした金属を流し込んで固めたものです。
    粘りがないのでほぼ曲がらず、負荷を掛けるとバキッと折れたり砕けたりします。
    主に鍋釜、あと身近な所ではマンホールの蓋なんかにも使われています。

入口にいきなりデカい平釜がでーん!
    直径1メートル強。
    塩を精製するための釜だそうです。
こんだけデカくても、採れる塩なんて多分ほんのちょびっとなんだろうな。
    多分何度も塩水を継ぎ足し継ぎ足して塩を採るのでしょう。
    夏場なんか地獄だろうな~。

中に入ると今度は2基の鉄燈篭がでーん!
    嘉永2年(1849年)に鋳造された骨董品です。
    145年もの間、明泉寺(みょうせんじ)というお寺の境内に立っていたそうです。
    現在は鋳物文化の啓蒙と現物保護の目的で、ここ能登中居鋳物館に寄贈・保管されています。
シブイわ~、174年前の鉄製品。
    錆び錆び具合がタマラン♪
    うちの玄関前に飾りてー!!

その前には「生活の中に溶け込む鋳物製品」的な空間。
    囲炉裏を中央に据えた座敷が再現されています。
    その囲炉裏の上に鋳物の鉄釜がぶらり。
憧れますな、こんなノスタルジックな生活。
    囲炉裏のある家に住んでみたい!
    囲炉裏パチパチ炊きながらチビチビ酒飲んで、串に魚でも刺して焼いて食ったら美味ぇ~だろうな~。

反対側にはタタラ場の作業風景のジオラマ。
タタラ場ってのは製鉄所ですね。
    ふいごで風を送って薪を高温で燃やし、砂鉄から鉄を溶かし出すのです。
    ジブリの大ヒット映画『もののけ姫』でお馴染みのアレです。
きっと凄まじいほどの灼熱地獄なんでしょうね。
    なんたって鉄を溶かすんですから、想像を絶する熱量のはず。
    そんな作業場に何時間もこもってふいごを踏み続けるんですから、地獄も地獄。
    わたしなら3分で逃げ出すな。

その先に展示室が2つあり、こちらは「真継家と中居鋳物師」と題された部屋。
真継家って何じゃ?って事ですが。
    中世における鋳物業界の大元締めみたいな存在です。
    なんでも全国規模の組織を作り上げ、ここ能登の中居鋳物もその傘下のひとつだったんだとか。

こちらは当時の遺品。
    黄金の菊マークがばーん!
    皇室の紋章ですね。
    真継家は皇室との間に太い繋がりがあり、ゆえにこうして菊の御紋の使用が許されたのです。
カッコイイね、菊の御紋。
    うちの床の間にも飾りて~わ~♪

古文書ズラリ。
    何書いてあるのかはさっぱり分かりません。
わたし前々から不思議に思ってんですけど、江戸時代の人って本当にこれ読めたんですかね?
    だって字のクセ強すぎじゃね?
    仮に字の判別ができても意味分からなくね?
    これで果たしてどれだけ正確な意思疎通ができたのか、激しく疑問。

もうひとつの部屋、「中居鋳物師の在銘品・加賀藩と中居鋳物」。
    当時作られた鋳物製品のサンプルと、加賀藩における役割が解説されています。
これがまた1点1点味があるんですわ。
    鋳物独特の重苦しくてゴツゴツした質感、野暮ったさ。
    金属製品なのになんとな~く感じる温かさ。
    まるで作った人の熱が今でも残っているかのようです。

鬼面。
    口を横一文字に結び、寄り眼気味の眼差しで正面をぎゅっと睨んでいます。
愛らしいね、鬼なのに。
    全然怖くない。
    むしろ守ってくれそうな感じ。
    当時の人にとって鬼というのは敵対する相手ではなく、共存する存在だったのかもしれないですね。

梵鐘と燈篭。
    こんなのもジャンジャン作ってたそうです。
こんなん庭に飾ったらイカスだろうな~。
    チョンと置いとくだけで、ワンランク上の庭にレベルアップしそう。
    憧れるわ~。

かつてこの地で栄えた鋳物業の様子を紹介する能登中居鋳物館。
見所は何と言っても当時の素晴らしい作品の数々。
    ほんとシブイですからね、ぜひじ~っくり鑑賞してって下さい。
そして志ある人は!
    廃絶してしまった鋳物産業、復興してみてはいかがですか?
    もし軌道に乗れば、100年後に『能登中居鋳物再興の祖』として讃えられますよ!
※このレポートは震災前に訪問した時のものです
関連タグ >> 美術館・博物館
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