
雲龍山 勝興寺 境内後編 日本の仏教建築ってやっぱ美しい~
2024年04月20日

国宝・重文がズラリと並ぶ勝興寺。
前回はそんな入口から境内までの様子を途中まで見てきました。
今回はその続きからです。
まずは経蔵(きょうぞう)。
経蔵とは経典を納める建物、まあお経の図書館みたいな場所です。

なんたってプロポーションがカッコイイわな。
正方形の躯体に、滑らかなカーブを描く杮葺きの反り屋根。
天頂に屹立する水煙をまとった宝珠。
これぞザ・仏教建築の神髄!とも言える見事なビジュアル。
なおこの「正方形の躯体」には意味があります。
それはまた後で。

隙間から中を覗くとこんな感じ。
なんか中国風のおっちゃんの木像が見えます。
この人物、中国南北朝時代の傅大士(ふだいし)というお坊さんで、輪蔵(りんぞう)というヤツを考えた人です。
って事は輪蔵もあるのか?って事ですが、あります、すぐ後ろ。
なんとなーく扉っぽく見えてるのがソレ。
でもこれじゃよく分からんので、参考までに別のお寺のものを紹介します。

これ、何かというと本棚。
この中に経典がたくさん納められていて、お経の博物館みたいな感じになっています。
しかもこの本棚、グルグル回せます。
だから「輪」蔵。
しかも1回転させるごとに中の経典全部を読経したのと同じ功徳が得られるという、謎の機能を持っています。
お堂の形が正方形なのは、このクルクルマシンが中央にあるからなんですね。
形は機能に従う、ってヤツです。

続いて鼓堂。
その名の通り太鼓を納めた建物です。
鐘楼ならよくあるけど、鼓堂ってのは珍しいね。
何に使うんだろ?
特別な法要とか行事の時なんかにどんどーん!と叩くのかな?

注目なのはデザイン。
お寺の建物というより城郭建築。
まるで望楼のような見た目になっています。
実際、お城の望楼にも敵の襲来を告げる太鼓があったりするしね。
ひょっとしたらこの鼓堂、そんな戦国期の名残りなのかもね。
もっとも建てられたのは1773年、バリバリ泰平の江戸時代なんだけど。

式台門。
左右に中途半端な脇塀を添えてチョコン。
これもまた風格ありますわな。
極太の鏡柱と冠木、深茶色の木肌、柔らかな風合いの杮葺き屋根。
押し沈むような威厳と重厚さを漂わせています。
素敵だ~♪

とは言え建造は1775年、249歳のおぢーちゃん。
近くで見るとかなりヘバってて、門扉はこんな感じ。
アッチコッチに埋め木、埋め木、埋め木。
悲しいくらいツギハギだらけ。
でも文化財ってのはこうやって守っていくんですね。
痛んだ所だけを取り除き、1ミリでも多くのオリジナルを残す。
それが文化財修理のセオリーなのです。

最後に宝蔵。
見ての通り土蔵です。
この中には寺のお宝がい~っぱい♪
装飾のコテ絵が見事ですわな。
エッジがキリッキリに効いた職人の手技アート。
漆喰の白と影の黒とのコントラストが、その美しさにさらに華を添えています。

建物ひとつひとつが溜息が出るほどに素晴らしい勝興寺。
もーホントね、感動が止まりませんわ。
先人たちが築き上げた美意識の結晶、どうぞ心行くまでご堪能ください。
次回はいよいよ国宝ゾーンへ。
勝興寺の心臓とも言える本堂を見ていきます。
ここもドキドキ爆上がりですゼ~!
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