
雲龍山 勝興寺 境内前編 七不思議は果たして不思議なのだろうか?
2024年04月13日

奈良時代、越中国の国府(今で言う県庁)があったと伝えられる伏木。
そのまさに推定地とされる場所に、室町時代から続く大古刹が建っています。
浄土真宗本願寺派の連枝寺(れんしじ・人間で言えば親兄弟みたいな関係)、勝興寺(しょうこうじ)です。
このお寺がスゴイんだ。
サイズ、風格、美観、幽玄性、全てが異次元。
頭クラクラする素晴らしさです。
そんな勝興寺の様子を、今回より5回に渡ってお届けします。

まずは全体の構成。
入口から総門→唐門へと進み、その先に広大な境内。
左手に巨大な本堂、右に僧侶の生活空間である本坊を構え、鐘楼・経蔵・宝蔵などの建物が点在。
壮大な伽藍群となっています。
中でも目玉とされているのが、国宝指定されている本堂と大広間&式台。
これらについては追々紹介していきます。

スタートがこの総門。
頑強な鏡柱、ぶっとい梁、黒く沈む木肌。
堂々たる威容。
見てるだけで押し潰されそうな圧力。
のっけからコレだからね。
この先進むの怖なるっちゅーねん。

二発目の門、唐門。
これもまたスゴイな。
金装飾でキンキラキン。
えげつない程のゴージャスデコレーション。
それもそのはず、この門、元々は勅使門(ちょくしもん)と呼ばれる天皇陛下の使者だけが通れる特別な門でした。
それが京都からこっちに持って来られ、境内の通用門となったのです。
スペシャルな仕立てにはそれなりの理由があるのです。

彫刻がまたエグイ。
開口部真上に雲間を泳ぐ龍、その上左右に大きく羽を広げた鳳凰。
両扉にはうようよとうねる唐草。
まるで天上世界に迷い込んだかのような、息を飲むほどの異次元感。
熱いわ。
作家のギラつくような熱量がガンガン飛んで来るわ。
もう泣きそう。

そんな超美麗門を抜けると境内。
真正面にはデカい本堂がずずんと鎮座。
この広場が広いんだ。
サッカーコート4~5面くらいは入るんじゃないの?
まーとにかく広い。
そんな中に面白いものがポツポツ。

勝興寺七不思議のひとつ、「天から降った石」。
その名の通り解釈すると隕石って事になるんですが、ん-どうかなー?
見た目バリバリの安山岩。
どー見ても安山岩。
これが天から降ってきたの?マジで??

ルーペで拡大するとこんな感じ。
青味がかった色、オレンジっぽい斜長石や黒っぽい輝石の斑晶。
そしてその斑晶の均等さ具合。
やっぱりどーーーー見ても安山岩。
しかも角が丸みがかってて、宇宙にあったと言うより明らかに川の中を転がってた感じ。
これ絶対川原から拾ってきた石でしょ?(笑)

同じく七不思議のひとつとされている「実ならずの銀杏」。
その名の通り実がならないそうです。
銀杏って雌雄あるからね。
単に実を付けない雄の方の木なんでしょう。
別にこんなの不思議でもなんでもない。

もう一発七不思議。
「水の枯れない池」。
これもその名の通り、どんな旱魃でも水が枯れることがないんだそうです。
この辺りは小矢部川が作る扇状地の終端にあたるので、地理的に水が湧くのは普通。
この池もそのひとつって事なのでしょう。
湧水地にはよくある話で、特に珍しいものではありません。

そんな池の脇に謎な石碑がひとつ。
越中国庁址碑(えっちゅうこくちょうしひ)と呼ばれるものです。
なんやら漢字だらけでよー分かりませんが、「越中国」とは奈良時代、全国に60あったと言われる小国のひとつで、「庁址」はその庁舎のあった跡という意味。
つまり現代的に言えば「昔県庁があった場所」、みたいなイメージ。
ただね、どうも推定って事らしいんですわ。
そもそもこの石碑自体、昭和51年に建てられたもので、奈良時代からここに建ってるって訳じゃない。
本当にドンピシャこの場所が越中国庁だったのかどうかは、神のみぞ知るです。

なんか七不思議のケチばっかになってしまったな(汗)。
次回も引き続き境内の様子を。
経蔵や宝蔵・鼓堂などを見ていきます。
このお寺は建物ひとつひとつがお宝揃い。
ケチつけてチャカさんと(←?)、ちゃんと真面目にレポートします。
関連タグ >> お寺 勝興寺 国宝
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