末松廃寺跡発掘調査現地説明会 発掘中の生遺跡ってわくわくするわ~♪
2023年11月08日
過日実施された末松廃寺跡の発掘調査説明会。
行ってきましたよ、たまたま仕事が休みになったので。
こちらについての詳細は過去に2度レポート済み。
ザックリ言えば奈良時代終わり頃のお寺の跡なんですが、詳しくは過去記事をご参照ください。
・過去記事 その1
・過去記事 その2
今回は説明会の内容に絞ってレポートいたします。
まずは発掘位置。
上は公園の全体図ですが、赤で囲ったエリアが令和5年度の調査エリアになります。
金堂跡の北西隅部分あたり。
えらいちょびっとしか掘り返してませんが、生の状態をできるだけ未来の研究者のために残そうという配慮なのでしょう。
とは言え、昭和の調査時にこの辺一帯、結構がぼっとやっちゃってるそうです。
なので今回の調査は「掘り直し」による昭和調査結果の検証と再調査という位置付けになっています。
掘られてるのはこんだけ。
8畳分くらいの広さですかね?
たったこれだけの発掘なんですけどね、それでも結構色々出てんですよ。
瓦、丸石、溝、版築の痕跡。
そしてここから先が考古学のやっかいな所。
「出た」ことによって「なんで?」が発生し、それらをひとつずつ潰していくという作業が発生します。
まず瓦。
土中からボコボコ突き出てるのが全部ソレなんですが、量がハンパない。
まるでゴミ捨て場状態。
この解釈について、現在色々な検討が進められています。
自然と屋根から落ちてきて積もった説、人間が整理・廃棄して積み上げた説、あるいはそれ以外の経緯によるもの等々。
一応人間廃棄説が有力みたいですが、まだはっきりとした結論は出ていません。
こちらは瓦のサンプル。
左が平瓦、右が丸瓦ですね。
釉薬(ゆうやく・強度アップのために表面に施されるガラスコーティング)の塗られていない、いかにも古代の瓦。
ここから8kmほど離れた湯屋って所にあった窯で焼かれたものだそうです。
当時の瓦ってのはスゲー貴重品でね。
こんなの使えるのはごく限られた大寺院か上流貴族のみ。
つまりここにあったお寺はそれだけ格の高い存在だったって事がこの瓦から判明します。
そして丸石。
チョロっとしか露出してませんが、こんな石敷きが地面の下にずっと続いています。
推定では金堂の建物が建っていた真下全面。
これも謎。
何でこんなコトする必要があったのか?
恐らく土台の基礎固めのためと考えられていますが、でもそんな例が他にない。
こんな事やってるのはここだけ。
ゆえに目的不明。
なんやろね?
この溝も意味不明。
昭和の調査では建物の周囲に巡らした排水溝だろうと考えられましたが、改めて検証すると無駄にデカい。
広い所では幅2メートルにもなるし、深さもかなりあるし、それに形がいびつ。
排水溝と考えるにはあまりに不自然。
ひとつの可能性として、基壇を積み上げる際の土を掘った跡なのではないかとの説明でしたが、う~んどうかな?
だってそんな事したら後で埋め戻さなきゃいけないし、二度手間になるからね。
かと言って、他に有力な理由も思い付かないし。
う~~~ん????
その他にも面白いものがチラホラ。
例えばこの土の断面。
上部に雑な層があって、その下にキメの整ったきれいな層があります。
これ多分、下が古代の土で上が現代にかぶせた土。
50年前、ここを公園化する際に新しい土をどばっと放り込んだ、その名残りでしょう。
ただ元々ここは田んぼだったと聞いてますが、その層が見当たらない。
昭和の発掘調査の時に全部剥ぎ取ったんですかね?
そして下の古代層ですが、シマシマ模様になっています。
これは版築(はんちく)の跡。
版築とは20~30センチほど土を敷いて丸太かなんか重いものでゴチゴチ押し固め、また土を敷いて押し固め、を繰り返す作業です。
これによって地盤を固め、建物を安定させます。
このやり方、上手にやるとコンクリート並の硬さにできるそうです。
確かに古い民家なんかで、コンクリートかと思ったら土だった、みたいな土間に出会う事がチョクチョクあります。
あれで土台作ったら、そりゃ頑丈になるでしょう。
と言っても、ここのは柔らかくてイマイチな仕上がりらしいんだけど。
現在も発掘調査が進んでいる末松廃寺跡。
まだまだ新しい発見があるかもしれません。
こうご期待です。
なお末松廃寺跡の発掘資料については、野々市市ふるさと歴史館や能美ふるさとミュージアムなどで見られます。
興味のある人はそちらもどうぞ。
関連タグ >> 遺跡 末松廃寺跡
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