国分山 医王寺 聖母マリア様?に会えるお寺
2023年05月20日
山中の温泉街から徒歩圏内、西側の山裾にちょっと目立つお寺があります。
医王寺(いおうじ)です。
宗派は真言宗。
天平年間(729~748年)の創建で、あの東大寺の大仏建立に尽力したことで有名な行基による開基と言われています。(←本当かな?)
ご本尊は一時期廃れたこのお寺の再興に力を尽くした長谷部信連(はせべ のぶつら)が奉納した薬師如来像。
以来、山中温泉を訪れる湯治客の癒しの場として尊崇されてきたそうです。
山門手前にはシッブ~イ銅製の護国塔。
由来は不明。
いつ頃から建っているのかも不明。
正面の扉にイカリの形をした鍵が掛かってるんですが、これってひょっとして北前船絡みですかね?
でもそれじゃ「護国」に繋がらんし。
護国と言えば戦争絡みな気がするけど、忠霊塔なんかな?
でも忠霊塔にイカリの鍵を飾る意味が分からんし。
ん~~~謎じゃ・・・(悩)。
そのすぐ先に山門。
特に趣向を凝らしたわけでもない、シンプルな四脚門。
そんなに古くなさそうだけど、建てたのは昭和後期くらいですかね?
建材に深い黒味が現れてて、なかなかにいい感じ。
小さいけど貫禄十分な門です。
その門を抜けて、ちょっと参道を外れた左手の脇道の上に行くとこんなのがあります。
愛宕地蔵(あたごじぞう)。
火伏の願いを込めて明治初期に建立されたものです。(見た目に新しいのは内部の石仏を除いて平成20年にリニューアルされているから)
面白いのが足元にある狛犬・・・・ならぬ狛猪。
なんで猪なのかと言うと、愛宕神社の興隆に大きく関わった和気清麻呂(わけ の きよまろ)の命を猪が救ってくれたという伝説があるからです。
ゆえにここを守るのは犬ではなく猪なのです。
再び参道に戻ると、今度は右側に宝塔が1基。
苔むしまくって、ワビサビ感全開。
ここで見て欲しいのは、中央の箱みたいなものの中に収められている石仏。
ちょっと暗くてよく見えんのですが、恐らく薬師如来です。
薬師如来は先に説明した通り、このお寺の本尊仏。
その仏さまがここで早くもお出迎えしてくれているんですね。
ん~フレンドリ~♪
そのまま参道を進むと、左手に山肌を洗うような厳かな滝が現れます。
その名も滝不動。
お不動さんを祀った滝です。
滝の左側には不動明王の石仏がどーんと鎮座。
そしてこの滝、よーく見ると中央上と右側にも何かの石仏があります。
多分これらの像も不動明王だと思うのですが、遠過ぎて視認不可能。
崖登りが得意な方、いらっしゃいましたらちょっと登って見てきてください。
そこから階段を登ると、今度は右手に大きな観音像。
身長を大きく超える、なかなかのサイズです。
この観音さま、ちょっと風体が変わってましてね。
フードみたいなのを被ってて、ローブみたいなのを羽織って、どこか西洋的。
そう思って見ると瓔珞(ようらく・胸飾り)も、なんとなーくキリスト教のロザリオみたいに見えてくる。
聖母マリア観音?
聖母マリア観音の反対側には、山肌に沿って石仏がゴチャゴチャ。
主にお地蔵さん、時々観音さまや如来さま、みたいな感じ。
完全に寄せ集めですな。
恐らく昔は道の辻なんかに祀ってあった石仏が、近代の道路整備で行き場を失い、ここに預けられたのでしょう。
なん~とも仏さまにとって生きにくい時代になったものです!
そして境内最奥、ラストに控えるのは本堂。
鉄筋建築なのでやや風格に欠けますが、デザイン性は秀逸。
特に中央上部の八角形の反り屋根と天頂の相輪(そうりん・アンテナみたいなヤツ)がイッケイケにイケてます。
色使いもいいですわな。
紅・白・緑がビビッドに映えてて。
重苦しい木造建築とはまた違った、キレのあるビジュアル。
右側には謎の石塔。
特に説明はなく、全く意図不明。
これ、金剛薩埵(こんごうさった)が龍猛(りゅうみょう)に密教の秘儀を伝えたとされる鉄塔じゃないですかね?
真言宗の根幹である密教は、大日如来という最高ランクの仏さまが金剛薩埵という菩薩に教えを説いたのが始まりとされています。
その金剛薩埵からさらに教えを受けたのが龍猛という僧侶(※こちらは人間)で、南インドにあった南天鉄塔(なんてんてっとう)で伝授されたと伝えられています。
この石塔がどーもその南天鉄塔を表してる・・っぽい。
単に須弥山(しゅみせん・世界の中心にあるとされる山)かもしれんけど。
本堂左手にはおびんずるさん像。
おびんずるさんとは釈迦の高弟である十八羅漢(じゅうはちらかん)の1人、賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)です。
獅子吼第一と称され、病気を治す力があったと伝えられています。
その信仰から生まれたのがこのおびんずるさん像で、体の悪い所をなでなですると平癒すると信じられています。
わたしもね、なでなでしまくってきましたよ。
体中悪い所だらけだしね。
おびんずるさん、お願いしまーーーすっっっ!!!
内部には黄金キンキラリンの須弥壇がでーん!
ハンパない荘厳さです。
おカネあんのね~このお寺。
中央の宮殿(くうでん)の中に、恐らく長谷部信連が奉納したと伝えられる薬師如来像が入ってるのでしょう。
どんな像なんだろう?
見てみたいーーーー!!!!
派手さはないけど地味~に面白い医王寺。
心洗われる清浄な場所です。
訪れた際には、時間をかけてじ~っくりお参りしていってください。
このお寺の裏山を登ると柴田の付城跡という中世の山城跡もあります。
時間があったらそちらもどうぞ。
山の斜面を登る事になるので少々道のりは険しいですが、途中に「面白~いモノ」が見られますよ!
関連タグ >> お寺
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