
時国家(本家上時国家) 前編 殿さま専用ゴージャス仕様に唖然
2023年04月15日

祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。
平家物語の書き出しです。
この世の全てを手に入れたと言える程の栄華を誇った平家が、壇ノ浦の合戦によってあえなく滅ぼされてしまった史実はあまりにも有名ですが、その生き残りがここ能登に流れ着いていたという事実はご存知でしょうか?
それも大物中の超大物。
平清盛(たいら の きよもり)の義弟にして、あの有名な言葉「平家にあらずんば人にあらず」などとふざけた事をのたまった平時忠(たいら の ときただ)です。
その21代目の子孫が建てた大豪邸が、今回紹介する上時国家です。

エントランスがいきなりコレ。
要塞かよ!?みたいな。
この高低差は恐らく河岸段丘でしょうね。
すぐ近くを流れている町野川が作ったものでしょう。
その自然地形を巧みに生かし、強烈なほどの『オレ様』感を演出。
大名屋敷と言っても遜色ないほどの門構えです。

そのスロープを登って門を抜けると、茅葺の大家屋がどどーん!と登場。
これまたぶっ飛ぶ程の迫力です。
デカいんだ、とにかくデカいんだ。
それ相応の屋敷があるんだろうな~と分かっててもビビるくらいのデカさ。
まー『オレ様』感ハンパありません。

入口の唐破風がまたイッカスーー!
単なる民家にすぎないのにバリバリの寺院建築様式。
天頂には鬼瓦までガッツーン!
シビれるほどのカッコ良さです。
さらに見て欲しいのが、屋根の両端。
何気に亀の瓦が乗せられています。
亀は長寿の象徴、そして(水に棲む生き物なので)火除けの意味もあります。
その霊力を入口に込めているんですね。
シブイ!

で、この玄関ですわ。
ホントに大名屋敷レベル。
天井なんか格天井になってます。
一般庶民の屋敷としては少々やり過ぎな仕様。
実はこの時国家、江戸時代は庄屋(地域のまとめ役)を務めていました。
なのでこの建物は個人宅であると同時に役所的性格も帯びていたのです。
時には藩主が出入りすることもあったそうで、それゆえこうして大名屋敷レベルなデコレーションが許されたのでしょう。

室内に入り、最初に目にする部屋がこちら、上広間。
ここもまた別世界感満点。
襖には金箔で彩られた家紋!家紋!家紋!
ボロっちさが少々物悲しいものの、格調高い空気は今も健在です。
天井も高く、実面積以上のスケール感。

天井は格天井。
それも玄関で見たのよりもさらにワンランク上の「折り上げ」格天井。
カッコイイーー!!
黒漆の艶が美しいですな。
まるで高級旅館のよう。
この天井だけでも相当カネ使ってんだろうな。

お隣には立派な床の間がズバーン!
御前の間と呼ばれる部屋です。
バッキバキに武家屋敷の造りですな。
付書院の花頭窓(右側の窓)なんかニクイほどにオシャレ。
「派手さ」よりも「風格」と「教養高さ」を追求した、大人好みの仕様になっています。

ここも見て欲しいのが天井。
隣の部屋と同様折り上げ格天井になっているのですが、よーく見ると金のラインが入っています。
つまりこの部屋は隣の部屋よりさらにワンランク上って事なんですね。
実際ね、雰囲気が全然違いますよ。
たかだか金のラインが入っただけなのに、明らかに感じられる格上の印象。
まさに装飾の妙です。

そして欄間にも注目。
左下に民家を置き、そこから松、波、右上に蜃気楼に浮かぶ楼閣。
素敵だわな~。
こんな欄間のある家に住んでみたいわ。
毎日この欄間眺めて優越感に浸ってにやにやして。
思う存分殿さま気分味わって。
もう外に出たくなくなるだろうな(笑)。

ついでに畳の敷き方にも注目。
中央だけ縦に敷かれています。
花道ですね。
殿さま専用のウォーキングスペースです。
この畳の敷き方、以前にも見ましたが覚えてますでしょうか?
そう、加賀藩十村役喜多家の住宅ですね。
あそこも畳を縦に敷いた殿さま専用ストリートが設けられていました。
殿さまってのはどこへ行ってもこうして別格の扱いを受けていたんですね。

今回はここまで。
次回はもう半分と庭を見ていきます。
ここから先は家人のプライベートスペースとなります。
なので一転して地味。
でもそんな中にもチラッチラッと「ザ・お金持ち」なセンスが垣間見えて。
詳しくは次回。
関連タグ >> 古民家 古建築 上時国家
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