
輪島塗会館 この美しさは妥協のない職人魂から生まれるのです
2023年02月18日

日本有数の伝統工芸、輪島塗。
その素晴らしい技術と制作の工程を紹介している施設が輪島塗会館です。
スゴイですよ、輪島塗。
え?こんなに手掛けてんの?みたいな。
たかが器、されど器。
ここに来ると器を見る目が変わります。

展示室の扉がいきなり輪島塗。
黒漆の地に金の装飾がビビッドに映えまくってます。
贅沢だわね。
わたしもこんな贅沢してみたい。
家の扉が輪島塗だったらカッコえ~だろうな~♪
おカネないから無理だけどね。

その先、壁面左右にズラリと並ぶ輪島塗のサンプル。
その数実に133。
圧巻です。
これ、意味もなく一杯並べてある訳じゃありません。
ひとつひとつが製造工程を表しています。
つまりたったひとつの器が仕上がるまでには133もの工程があるという事なんですね。

角度を変えるとこんな感じ。
木地作りから始まって、下地塗り、本塗りまで。
さらにこの後装飾も施されるので、実際には133+αの工程がある計算になります。
そりゃ高くなるわな、こんだけ手間暇かけりゃ。
低価格の汎用品は多分もっと手間を省いてコストカットしてんだろうけど、『本物』はここまでやってます。
『本物』を見て、あー高ぇー!とか思わないように!
思うけどな。(←!)

こちらは器作りの初期段階のサンプル。
元となる木地です。
制作に使う道具も展示されています。
見るとふ~んって感じなんですけどね。
実際作ると難しいんでしょうね。
わたしみたいな超大雑把人間には絶対無理だな。

そんな木地に下地を塗っていく様子。
下地なんて見えない部分なんですけどね、それでもこれだけの手間が掛けられています。
この辺りが「輪島塗は強い」と言われる所以なんでしょうね。
輪島塗ってのは頑丈なんですわ。
ちょっとやそっとじゃ壊れない。
その秘密はこのブ厚い下地から来てるのです。

頑丈を支えるもうひとつの秘密がこの「布着せ」と呼ばれる工程。
こうして縁の部分に布を貼り付けることでさらに強度を増しているのです。
ただこれをやっちゃうと貼った布の分だけ段差ができます。
そこでこの段差を埋めるために、下地塗りを重ねて重ねて重ねまくるのです。
それがさらに漆器を頑丈にするというパワーのスパイラル。
何もここまでやんなくていいんでないの?と思うんですけどね。
でも輸送環境が劣悪だった江戸~明治の頃はここまでやらないと途中で壊れてしまう事があったんだそうで。
「強くて丈夫な輪島塗」が生まれた背景にはそんな事情があったのです。

そんなストロングな輪島塗を飾る3大技法。
左から順に「沈金(ちんきん)」「蒔絵(まきえ)」「呂色(ろいろ)」。
沈金とは漆の表面に傷を付けてその溝に金粉などを塗り込む技法。
蒔絵とは塗り立ての漆の上に金粉などを落として定着させる技法。
呂色とは上塗りした漆を磨いて鮮やかな艶を出す技法。
いずれも高い技術を要求されます。
これらの技法は単体で使われることもあれば、複合的に使われることもあります。
漆器の装飾を鑑賞する際には、これら3つの技法を頭において観察してみてください。

こうして作られた輪島塗の完成品。
深い黒、みずみずしい艶、そして豪勢な金。
この息を飲むような至高の芸術美は、手間を惜しまない職人の手技の結晶から生まれるのです。
素晴らしいわね。
こんな器でメシ食ったらさぞかし美味いメシになるんだろうな。
永谷園のお茶漬けさえも高級料亭の味になりそうだ(笑)。

輪島塗の秘密と精神が見られる輪島塗会館。
圧倒されますよ。
今でもこんなコトやってんの?と聞きたくなるくらいの面倒臭さ。
でもねやってんですよ、『本物』は。
どうぞそんな職人の気質とプライドそして高い精神性を腹いっぱい感じてみてください。
1階では輪島塗の製品が実際に購入できます。
決して安くはないですが、そこは『本物』。
納得のいくものがあればぜひ購入して家で使ってみて下さい。
実用こそ最高の評価です。
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