二ッ城跡 軽い山歩き感覚で楽しめる気軽な山城
2022年11月29日
地元住民のトレッキングコース上にあるお城、それが二ッ城(ふたつじょう)跡です。
場所は山奥。
まあまあ山奥。
でも現場へのアクセスは比較的良好で、すぐ近くまで車でブルンと行けます。
駐車場からお城本丸までは徒歩10分程度。
それもトレッキング用の歩きやすい山道。
山城初心者でも攻めやすい、楽ぅ~なお城です。
本丸を中心としたマップはこんな感じ。
ぶっちゃけね、え?こんだけ?みたいなお城です。
スタートしたと思ったらもうゴール。
こんなんで敵に攻められた時、守り切れるの?みたいな。
あまりガチンコな戦闘を意識したお城じゃなかったのかもしれませんね。
一時的な兵の駐屯・戦闘準備基地、程度のものだったのかもしれません。
入口の目印はこの案内板。(※左側が駐車場)
かつてここには寺院が立ち並んでいたとか、山岳修験の場だったとか、そんな事が書かれています。
結構多いですよね、『寺院の密集した山=お城』みたいな図式。
以前にレポートした石動山城なんかもそうだったし。
宗教勢力って意外と暴力的だったりするんですよね~。
このすぐ先にある入口がこちら。(※先のマップの入口1)
いきなりハンパないヤバさ。
え?この先進んで大丈夫なの?的なヤバさ。
結論から言いいます。
ヤバイです。
正規のルートは入口3です。
でもここから入っちゃったので、このまま話を進めます。
行く手を遮る熊笹、そして倒木。
おい、おい、おい、おい、ここ本当に入口なの?みたいな焦燥感に駆られます。
これが山城歩きの怖さ。
道1本間違えるとこの始末。
でもここは50メートルも歩けばこの状況が終わるのでまだマシです。
ガチでヤバイ山城はこんな道なき道を何100メートルも歩かされます。
アホじゃなきゃ進めません。
わたしはアホじゃないけど。(←アホです)
数分ほどでちゃんとした山道に出て、分岐路を左→右と進むとゴボッとした凹みに出くわします。
堀切(ほりきり)です。
堀切とは敵の侵入を阻むための横溝。
なんか浅~くて全然意味なく見えますが、それは何百年も放置されている間に風化してしまったから。
お城だった当時はもっとガッチリ窪んでいて、簡単には乗り越えられない高低差が設けられていたはずです。
堀切その2。
先の堀切から数メートルの場所にしつこく現れます。
こちらはもうちょっとしっかりした高低差が確認できます。
ただここも本来はもっと露骨な窪みだったはず。
さらに堀切の左右はそのまま竪堀(たてぼり)へと展開し、「横線」で敵の侵入を阻む造りになっています。
攻め手にすれば、なかなかに面倒臭い仕掛け。
堀切その3。
しつこく続きます、堀切。
高低差的にはここが一番深く、露骨。
この先は本丸になります。
なのでこの堀切は本丸侵入を阻む最後のバリケード。
だから入念に高低差が付けられているのでしょう。
はいゴール、本丸です。
広さは東西30メートル×南北25メートル。
ごくごくコンパクトなサイズです。
中央には意味不明な展望台。
いらねんでねえのコレ?みたいな感じですけど、せっかくなので登ります。
その眺めがこちら。
意外といいね、景色。
山頂+展望台なので足場の高さは十分、周囲360度が大パノラマでざっと見渡せる。
もー抜群の爽快感!
前言撤回。
「アリ」ですわ、この展望台(笑)。
その展望台の脇に謎の地蔵菩薩像。
鉄製の祠の中にちょこーんと祀られています。
激しく意味不明やな。
なぜここにお地蔵さん?
意図が全く分からん。
謎や・・・・(悩)。
こちらは本丸の反対側の入口。
見ての通りごっぼーっと急斜面になっています。
これも堀切ですね。
それもかなりの高低差。
キツイですよー、これを突破するの。
戦闘時は本丸側に柵も立てられますからね。
堀切の高さ+柵の高さ、この恐らく5メートル以上にはなるであろう高さを、お城側の攻撃をさばきつつ乗り越えなきゃいけないんですから。
本丸を落とす頃には、恐らく辺り一面血の海です。
本丸に入る道はさらにもう1本あり、こちらにも堀切。
ここが一番浅いですが、それでもはっきり掘り窪められているのが分かります。
要するにどのルートから攻めても容易には本丸にたどり着けないという事ですね、当たり前だけど。
その道からトコトコ降りていくと、こんな光景に出くわします。
地獄のカーブ。
このカーブ、ボーっとしてるとただのカーブにしか見えないかもしれませんが、実は合理的に設計されて作られています。
道なりに進むと攻撃側は縦一直線の形にされ、対する城側は横一線、つまり「T」の字の形ができあがるのです。
この形で一斉射撃。
城側にとって圧倒的に有利な戦いが展開できます。
うっかり突っ込むとトンデモナイ被害を被る、悪魔のトラップなのです。
そしてゴール。
標柱には「三千坊山登り口」の案内。
ここが正式な入口(入口3)です。
でも現場には何の案内もなく、どこから入るかは成り行き次第。
多分わたし以外にも入口1から入っちゃった人はたくさんいるでしょう。
なんか案内出しといてくれんかな・・・。
お城としてはやや緊張感に欠ける緩~いお城、二ッ城跡。
本当に楽です。
散歩感覚で登城できます。
山城は見たいけどシンドイのは嫌って人には多分ピッタリ。
小さなお子様連れでもなんなくゴールできますので、気楽~な感覚でお越しください。
展望台からの眺めは本当に爽快ですよ!
二ッ城跡
住所:富山県高岡市手洗野
関連タグ >> お城
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