矢田遺跡 手間暇かけて遺跡発掘しても最後はシュールに終わるのです
2022年09月24日
現在進行中の七尾外環状線の整備事業。
矢田遺跡はそんな工事予定区域の一角にある遺跡です。
時代は弥生~中世頃。
注目なのは「工事予定区域の一角にある」という点。
つまりここの発掘は期間限定であり、調査が終わり次第埋め戻して道路になるという事です。
要は遺跡が見られるのは今だけって事ね。
現場の概観図はこんな感じ。
エリアをA・B・Cの3区画に分け、A・Bは令和3年度中に調査終了し、既に埋め戻されています。
現在掘り返しているのはC区のみ。
調査期間は決して長くないですが、それでも土師器(はじき・野焼きで焼いた陶器)や須恵器(すえき・登り窯で焼いた陶器)、石製品・木製品など、数々の遺物が見つかっています。
他にも川の痕跡や建物遺構なども出ており、意外に「濃い」調査結果が出ています。
ズラリと並ぶ木製品。
水に浸けられているのは空気を遮断するためです。
こうしておかないとあっという間に劣化するのです。
時代は中世くらいですかね?
船のオール(祭祀具?)とか、建物の断片と思われるもの、何かさっぱり分からんものなど様々なサンプルが見付かっています。
これが博物館の展示ならお触り厳禁だけど、今回は気楽な遺跡説明会、自由にいぢくらせてもらえました。
ちょっと優越感♪
土器もいっぱい。
しかも掘りたてほやほやの土付き。
まるで農家の朝採れ野菜のようなフレッシュさ。
生々しいですわな、土が付いてると。
あーホントに地面の下から出てきたんだーってのが、リアルに実感できます。
なんか今まさに発掘の現場にいるような気分。
こんな状態のいいのも出ています。
欠け・割れナシの完全体。
時代はいつですかね?
弥生っぽい感じだけど、シロウトなのでさっぱり分からん。
でも見る人が見ればズバッと分かっちゃうんでしょうね。
まだまだ勉強が足りんのー。
これもサッパリ分からん。
なんやろ?
何かの断片なのか?部品なのか?これでひとつの完成形なのか?
さーーーーっぱり分からん。
なのに不思議と湧き上がるわくわく感。
遺跡からの出土品ってやっぱり楽しいわ~♪
こちらは発掘現場。
先の図面で言えばB区のエリアです。
既に書いた通り、この区画の発掘調査は終了して埋め戻されています。
なんか残念だわな。
せっかく手間暇かけて(予算もかけて)掘ったのに、最後は埋め戻して全部チャラ。
悲しーーー!!!
とは言え、遺跡があるからっていちいち保存してたら道も市街地も全然開発できないし。
残すか?潰すか?
なんとも悩ましい問題です。
唯一まだ発掘が進行中のC区。
丁寧に表土を剥ぎ取りながら、慎重に検証を進めています。
「掘る」ってのは1発やったら終わりですからね。
掘ってしまってから、あ、やっぱり前の状態が確認したい、と思っても後の祭り。
もーどーーーーーにもなりません。
なのでどこを掘るか?どう掘るか?どこまで掘るか?を何度も検討しながら、やり直しの効かない1発勝負を神経をすり減らしながら進めていくのです。
こちらはそんな試行錯誤のひとつ。
石灰でラインを引き、今から掘る箇所をマーキングしてあります。
このラインに沿って発掘を進め、かつての生活痕を浮かび上がらせるんですね。
こうして見ると、なんかナスカの地上絵みたいだな。
航空写真撮っときたいわ(笑)。
こちらは川の跡。
手前と奥とで土の色が変わっているのが分かると思いますが、奥が川跡、手前が岸跡です。
川跡は泥が堆積しているので粒子が細かく色も黒、岸跡は主に砂なので粒子が荒く色も白っぽくなります。
1000年くらいは経ってると思うんだけど、それでもこんなにクッキリ残るんですね。
なんか不思議。
現在の地形も1000年後には全然違うものになってるのかな?
まだまだ面白そうな発見が期待される矢田遺跡。
くどいけど道路建設に伴う期間限定調査です。
遺跡の様子が見られるのは今だけ。
後になってから見とけば良かったー!って後悔しないよう、今の内にしっかり見ておいてください。
次回はここから歩いて10分の場所にある矢田高木森古墳。
住宅地の中に唐突にポコッとある妙ぉ~~~な古墳です。
なんか時代感チグハグな感じが楽しいですよ~!
矢田遺跡
住所:石川県七尾市矢田町カ
関連タグ >> 遺跡
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