佐味今田谷内古墳群 このボロボロな姿こそ現代まで生きた証
2022年09月20日
哀愁漂う古墳が見られる佐味今田谷内古墳群(さみいまだやちこふんぐん)。
昔は「藤平谷内古墳群(とうべいやちこふんぐん)」と呼ばれていたようですが、なんか場所的に「藤平谷内」じゃなくて「佐味今田谷内」にあるとの事で、現在の名称に変更されたそうです。
場所は民家の裏山の私有地。
民家と言っても人は住んでおらず、磯貝記念佐味古墳保存会という財団法人が事務所として使っているようです。
基本的に山への出入りは自由で見学も自由。
常識的なマナーさえ守ってもらえば(ゴミを捨てないとか現場を荒らさないとか)、誰でも入ってオーケーです。
古墳の配置はこんな感じ。
入口に例の磯貝記念佐味古墳保存会の建物があって、その奥に裏山。
その山の上に古墳が3基(4基?)。
山と言っても丘程度で、2分も歩けば頂上に着きます。
ただ足場はそんなに良くないので、汚れてもいい靴で。
間違ってもヒールのある靴なんかで来ないで下さい。
メインの1号墳!
ボロッボロ!
形状としては前方後円墳になります。
でもドッチが前方でドッチが後円よ!?と突っ込みたくなるくらい崩壊しまくり。
古墳としての威厳もクソもあったもんじゃありません。
そりゃまあ1400年くらい前のものなんでね。
そんだけ時間が経ちゃこうなりますわな。
後円部の墳頂はほんのりフラットになってて、中央がちょびっと窪んでいます。
これは盗掘の跡。
いつの時代か分かりませんが何者かによって掘り返され、石室も破壊されて残っていないそうです。
ただ周りに石室の残骸と思われる海石が転がっていることから、恐らく三室まどがけ古墳群で見られたような石室があったのではないかと考えられています。
今も昔も悪ぃーヤツってのはいるんですね。
わたしなんかまだまだヒヨッコですわ!(←ソッチ側か?)
前方部と後円部が接続するくびれ付近では、多くの須恵器(すえき・朝鮮式登り窯で焼いた陶器)の破片が発見されています。
恐らく何らかの祭祀が行われた痕跡ではないかと考えられています。
何やってたんですかね、古代人?
お葬式?お墓参り?
それとも神や先祖に祈りを捧げるみたいな宗教儀礼?
謎じゃ~・・。
その前方後円墳の後円の先にある藪。
この奥に3号墳があるそうです。
「出土遺物はない」と報告されていることから、過去に発掘調査されている模様。
分からんの~。
どこや?古墳?
直径11メートル、高さ1メートルの円墳だそうなので、そこそこ膨らんでいるとは思うんだけど。
こんだけ草木ぼーぼーやとさっぱり分からんわ。
1号墳のすぐ横にある2号墳。
サイズは直径30メートル、高さ6.4メートル。
間近で見ると結構な大きさです。
これを手作業で盛ったんですからね、重機ナシで、しかも山の上に。
ちょっと考えられんですわね。
汗だく土だくになってこんなの造り上げた、そのモチベーションは一体何だったんですかね?
ここも墳頂はフラット。
しかも結構きれいにならされています。
埋葬室は縦穴式になっていて、現在も未盗掘のまま足元に眠っていると考えられています。
ありますよ~、この下に『ナニ』か。
何があるのか興味ソソルわ~~。
いつか発掘ってなったら、掘るの手伝うし立ち合わせて欲しいーー!!
西側の足元にはなだらかな窪み。
これは恐らく周溝であると考えられています。
調査した限りでは溝が掘られているのはこの部分だけとの事。
なんで一部だけなんだろ?
普通周溝って言ったら、墳丘の周りをぐるりと囲むもんなんだけど。
わざわざこんな形にしてあるからには、そこに必ず何か意味があるはず。
一体なぜ?
分からん・・・(悩)。
墳頂から見下ろした東側。
がっさりと深い藪になっています。
話によるとこの奥に4号墳があるそうで。
ただ現段階ではまだ調査が行われておらず、実在するのかどうかも未確認なんだとか。
勇気がある人、突っ込んでみて下さい。
眠ってますよ、この先に知られざる第4の古墳が。
やべーくらいいいモンあるかもしれませんよ~!(※私有地なので勝手に変な所ウロチョロしたらダメです)
保存状況が決していいとは言えない佐味今田谷内古墳群。
でもね、それが逆にいいんですよ。
おおーー待っててくれたんだー、こんな姿になってもオレ様が来るのを今までずっと~!(喜)みたいな、そんな感動を味わえます。
どうか敬意を持って、ジロジロぐりぐり鑑賞してって下さい。
次回は矢田遺跡。
古墳からはいったん離れて、古代の生活の痕跡を辿ります。
生々しい出土遺物の数々にハートどきどきですゼ!
佐味今田谷内古墳群
住所:〒926-0011 石川県七尾市佐味町
関連タグ >> 遺跡 古墳
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