店主たみこの観光案内ブログ

木越山 光徳寺 このお寺の山門は動物園かよ!?

2022年07月27日

光徳寺の境内

 

小丸山城址公園の駐車場に降り立つと、すぐ隣に大きなお寺の本堂が見えます。
光徳寺です。

 

創立は1226年との事なので鎌倉時代中期、ここから約80km以上も離れた金沢の木越という場所で開かれました。
戦国期には一向一揆の大勢力として大いに気を吐きましたが、最終的には柴田勝家に敗北し、その後寺地を転々と移して現在地へと流れ着いたそうです。

 

金沢にあった光徳寺の跡地

 

その金沢時代の跡地がこちら。
千田町にある八坂神社の隣の畑に案内板が立っています。
意識して通らなければ100%スルー確定の地味さ。

 

多分横の神社も元はお寺の境内の一部だったんじゃないですかね?
全盛期は結構ブイブイ言わせてたようなので、敷地もそれなりに広大だったはず。
恐らくこの辺りに広がる畑や田んぼをいくつも合わせたくらいの寺地を持っていたでしょう。

 

光徳寺の山門

 

改めて話を現在地に戻して、こちらは入口の山門。
スペシャル感ギンギンの唐門です。

 

いきなりですが、この山門がこのお寺のクライマックスです。
この山門だけで記事1本書けるくらい見所満点の凝縮度。
ンも~~惚れ惚れするほどのスーパーワンダフルな山門です。

 

軒下の彫刻

 

どーーですか、この彫刻!?
破風直下に両翼を大きく広げた鳳凰、その奥に轟々とうねる龍、その真下には荒波がどっぱどぱ暴れまくり、さらに木鼻には猛々しい獅子。
これでもかと言わんばかりの、霊獣オンパレード!
放たれる霊的エネルギーがハンパない!

 

誰ですかね、この彫刻担当したの?
気合の入り方が完全に異次元。
鬼気迫る熱量で見る者を圧倒します。

 

鏡柱の彫刻

 

鏡柱には滝登りの鯉。

 

これまた息を飲むほどの迫力!
激しく飛び上がる鯉が生き生きと躍動し、弾ける水しぶきが今にも目の前まで飛んできそう。

 

ちなみになんで鯉なのかと言うと、先に見た龍が関係しています。
中国の伝説に「急流を上る鯉はやがて天に昇って龍となる」ってのがあり、その鯉と龍を描いているのです。
つまりあの龍は鯉の進化した姿なんですね。

 

いやーイカスわー!!!

 

竹と虎の彫刻

 

虎もいます。
竹と虎。
どんだけ動物大好きなのよ?(笑)。

 

この虎がまたね、不気味なほど悠々と休んでんですよ。
王者の風格と言うか貫禄と言うか、どっしり余裕の横臥。
ゴロゴロゴロ・・という喉鳴りまで聞こえてきそう。

 

守ってんですね、こうして門を。
そして悪いヤツが来たらガッ!と襲い掛かるのです。
自分は悪いヤツという自覚のある人は十分注意して通ってください。(←?)

 

山門の裏の鳳凰の彫刻

 

裏に回ると表と同じ位置に再び鳳凰。
ただこの鳳凰、よく見ると表と裏とで微妙に仕様を変えてあります。
表の鳳凰は口を開き、裏の鳳凰は一文字。
つまり表裏で阿吽の呼吸をやっているのです。

 

さらに表側の鳳凰、よーく見ると口に何か玉みたいなものをくわえています。
これは恐らく宝珠(ほうじゅ)。
宝珠とはあらゆる願いを叶えるとされる玉で、仏像の持物(じぶつ・手に持っている法具)なんかにもよく登場します。
それを山門正面の鳳凰がくわえているという事は、「このお寺を訪れる者全ての願いを叶えます」という事を暗示しています。
何気に幸せを呼ぶありがた~い鳳凰なのです。

 

光徳寺の本堂

 

そんな見所ギンギンの門をくぐると、正面に本堂。
堂々たる体躯とサイズでずどーん!

 

これも素晴らしいですな。
重厚な黒瓦に覆われた大屋根、ガッシリと太い柱、黒く沈むマスク。
お寺の中心に相応しい、威厳あふれるいで立ちです。

 

本堂の頑強な柱

 

この柱の列がまた強烈!
多いんですわ、柱が。
しかもそのどれもが太くて力強くて、まるで要塞のよう。

 

さらに見て欲しいのが形。
何気に屋根下を支える柱は角柱、建物本体を支える柱は円柱となっています。
これは内部に祀られている仏さまへの敬意の表れ。
つまり丸柱の内側(本堂内部)は特別な聖域なんですよという事を示しているのです。

 

鐘楼

 

本堂の左側には鐘楼。
これまた素晴らしいプロポーションです。

 

安定感のある内転び(上に向かってすぼまっていく形)の柱。
その上にガッチリとかぶさる黒瓦の屋根。
中央にゆったりとぶら下がる重厚な鐘楼。
一部の隙もない、見事な美しさ。

 

親鸞聖人像

 

その鐘楼の斜め前には親鸞(しんらん)聖人像。
親鸞とはご存知、浄土真宗の開祖ですね。

 

親鸞の教えの画期的だった点は、阿弥陀信仰を至上とした事。
ただ一念に阿弥陀さんを信じれば、誰でも極楽浄土へ往生できると説いたのです。
そのお手軽かつ明快な教理は、それまで仏教と縁遠かった一般庶民の間に見る見る浸透していきました。
しかし時代が下って戦国という不安定な世になると信徒達は徐々に制御不能な暴徒へと変貌、やがては一向一揆という巨大戦闘集団へと発展していきます。
その急先鋒として暴れまくったのがまさにこのお寺でした。
今でこそ片田舎の静か~なお寺ですが、当時はバリバリの超武闘派だったんですね。

 

光徳寺の入口

 

とにかく山門がカッコイイ光徳寺。

 

見惚れますゼ!
シビれますゼ!
オシッコ漏らしそうになりますゼ!
このお寺に来た時はとにかく山門を隅から隅までじぃーーーーっと鑑賞してってください。

 

ビバ!
仏教建築!!

 

 

木越山 光徳寺

住所:石川県七尾市馬出町 35

TEL:0767-53-0555

 




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