芭蕉の館 2階 重箱の隅をつつくように隠れた意匠を見つけ出せ
2022年07月16日
元旅館の別邸だった芭蕉の館。
現在は芭蕉の事績を紹介する施設となっています。
芭蕉や俳句もいいんですけどね、わたし的には断然建物。
も~い~いんですよ、建物が!
前回はそんな芭蕉の館の1階部分を見てきました。
今回は2階へと進みます。
2階の部屋構成はこんな感じ。
左に「展示室」、中央にメインとなる「奥の細道 芭蕉 展示室」、右に「研修室」。
部屋数は少ないですが、それぞれの個性はしっかり。
各部屋の違いを探りながら見ていくと面白いんですわ。
幅広の大階段を上って最初に現れるのがこちらの展示室。
主室+副室の構成になっていて、両部屋繋げると結構な広さ。
室内には俳句に関する資料や古文書なんかがズラリ。
喰い付くんだろうな~、こんなん好きな人は。
わたしゃ俳句も古文書も守備範囲外なのでイマイチどこを面白がっていいのか分からんけど。
この部屋も独特の意匠になってまして、特に目につくのがこの床の間。
奥行浅め、中央の床柱や仕切りはカット、床面は床框(とこかまち・段差)ナシの踏込み床。
めっちゃめちゃラフなスタイルです。
部屋のグレードとしては中の上くらいですかね?
宿泊用としてはもちろん、そこそこ広さがあるので宴会の広間としても使われていたでしょう。
縁側からは庭が見下ろせます。
1階で見る額縁庭園とは違って、高角度から見通せる立体的な眺め。
何気に木の高さが手前→奥に向けて高くなっているのにお気付きでしょうか?
これ、遠近法を意識しています。
こうやって限られた空間をより広く大きく見せるんですね。
もうひとつ見て欲しいのが瓦。
艶のないいぶし瓦。
重く沈む色調がカッコエエ~~♪♪
かなりくたびれているので、まだ一度も葺き変えられていなのでしょう。
恐らく建造当時のオリジナルの状態がそのまま保たれていると思われます。
好きやわ~いぶし瓦♪
こんな家に住みて~!
その先に再び展示室。
3部屋が繋がった形になっていて、ここも襖を外せばひと繋がりの大広間にできるようになっています。
この建物最大の大宴会ルーム。
室内には所狭しと芭蕉や俳句に関する資料を展示。
学者さんクラスじゃなきゃこんなの喰い付かんだろ?ってくらいのマニアックなものが並べられています。
ここも見て欲しいのは床の間。
すっげ~シブイ作りになっています。
何と言っても床柱ね。
自然木の風合いをそのまんま生かした黒木。
遊び心満点、数寄屋風のカジュアルスタイルです。
さらに見て欲しいのが床の間の天井。
下から覗き上げてみると分かりますが、材質を変えてあります。
床の間側は網代天井、床脇側は板張り。
しかも段差まで付けて。
見えんよ。
こんなの正面からは全然見えんよ。
でもそんな見えん所にコッソリ隠れた意匠を潜ませるイタズラ心。
遊んでるわ~(喜)。
脇にあるこの下地窓もイカしてるじゃないですか~♪
円形にぐるりと切り抜かれた幾何学的形状、その中に走る細竹と蔓のぐねぐねした不安定なライン。
そしてダイナミックなサイズ!
風流ここに極まれりって感じですね。
ピッカピカのデザインセンスにひたすら脱帽ですわ。
最後の部屋、研修室。
何が研修なのかは不明です。
ここは一面のブルー。
ばっさりとブルー。
VIPルームですな。
最上のお客様をもてなすための部屋。
ちょっと部屋中ブルー過ぎて目がチカチカするけどな(笑)。
欄間は塗り回し欄間。
欄間も1階と2階とでは趣向を変えてあります。
1階は壁の横幅をいっぱいに使った通し欄間、2階は壁をくり抜いた塗り回し欄間。
ホントこの建物ね、部屋ごとや階層ごとにチョコチョコ変化が付けられてて、そんなのを見付けていくのが楽しいんですわ。
見学する時は目を凝らして隅から隅までじーっくり観察して間違い探ししてください。
最後に廊下に出て、吹き抜けから最初に見た資料展示のスペースを上から俯瞰。
どう?何か感じません?
梁のパターン、横に4本通ってますが、よく見るとなぜか手前2本だけは縦にも1本渡されています。
これ、囲炉裏の痕跡ですね。
かつてはこの真下に囲炉裏があって、その囲炉裏の自在鉤(じざいかぎ)をぶら下げるためにこの縦の梁があったのでしょう。
リフォームしても残るんですね、こういうのは。
古建築好きにはヨダレじゅるじゅるに楽しい芭蕉の館。
住宅ではなく旅館の建物だったというのが大きな鑑賞のポイントとなります。
ここを訪れた時はそんな旅館独特の意匠に注意を向けながら見学していってください。
すぐ目の前には総湯なんかもあります。
何と言ってもここは温泉街ですからね。
帰る前にひとっ風呂ってのもイイですよ!
関連タグ >> 古建築 芭蕉の館 山中温泉
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