芭蕉の館 1階　貧乏人には目に毒だゼ・・・

 

山中の温泉街のほぼ中央にある芭蕉の館。
かつてこの地を松尾芭蕉（まつお ばしょう）が訪れたことにちなんで作られた施設です。

 

カッコイイのよ、これが！
建てられたのは明治38年で、元は扇屋という旅館の別邸でした。
それゆえか民家建築とは違う面白さがあって、見応え満点。
古さ・格調高さ・ダイナミックさが融合した、素晴らしい建物になっています。

 

 

1階の見取り図。

 

入口を入ると右手に資料展示。
山中漆器の見事な工芸作品が飾られています。
そこから廊下に上がり、まず最初に川北良造（かわぎた りょうぞう）の部屋、その奥に広間→茶室→交流室と続きます。
さらに庭園も。

 

鑑賞のポイントはズバリ「部屋ごとに違うしつらえ」。
元旅館なのでね、部屋ごとにそれぞれ違う個性にしつらえられています。
この違いを探っていくのが楽しい！

 

では早速見ていきましょう。

 

 

まず最初は資料展示のスペース。
ガラスケースに入れられて山中漆器の作品がズラリと並んでいます。

 

高いんだろうな～こんなの買ったら。
ウン万とかウン十万とか、大皿なんかになったらウン百万とか。
金額が完全に雲の上。
わたしなんか100均で売ってる茶碗で十分ですわ・・（貧）。

 

 

その展示スペースに隣接するような形で最初の部屋、川北良造ルーム。
川北良造ってのは木工芸作家にして人間国宝の大先生です。
そんな偉人の作品がズラリ。

 

わたしも呼ばれてみたいな～、人間国宝。
カッコええ～！
飲み屋さんなんか行ったらきっとモテるんだろうな～。（←それが目的か？）

 

 

広間バーン！
間に細長い部屋を挟み、ふたつの座敷を並べた構成になっています。
少人数の時はそれぞれ独立させて、大人数の時は3部屋繋げて大広間として使える仕組み。
恐らくこの建物のメインとして使われていた部屋でしょう。

 

繰り広げられたんでしょうね、ここで盛大な宴会が。
芸者さんなんかも呼んでドンチャカ♪ドンチャカ♪
楽しそうだ～。

 

 

この床の間がまた見事じゃないですか。
ブラックの床柱がシブ過ぎる！

 

格としてはこの部屋がこの建物で最上。
ゼニどっさり持ってた上級客のみがここで遊べたのでしょう。
いつの世もカネ持ちってのはいい思いができるのです。

 

 

床の間を背に庭を眺めると、目の前には四角い枠に区切られた美しい景色。
いわゆる「額縁庭園」というヤツですね。

 

粋だわな～。
こんな庭を眺めながら美味しい料理食べて、美味しいお酒飲んで、（芸者さんと遊んだら）、メチャメチャ楽しいだろうな～。

 

チキショー！
金持ち羨ましいー！！！

 

 

庭は散策可。
自由にウロチョロできます。

 

これがまたいいのですわ。
多種多様な植栽、不規則に配置された飛び石。
とにかく「単調さ」ってのがなくてね、見る角度や立つ位置によってそれぞれ違った景色が楽しめるのですよ。
ちょーっとメンテナンスが雑なのがやや残念ですが、その分を差っ引いても素晴らしい庭園です。

 

 

再び室内に戻り、今度は茶室。
ここは先に見た広間と違って、四畳半しかない狭ーい部屋です。
天井まで低くなってて、とにかく圧迫感がハンパない。

 

でもこの狭さこそが茶室の精神なんですね。
茶室ってのは主人と客とが一対一で向き合う心の交流の場。
ゆえに両者の心の距離を少しでも近づけるよう、こうして物理的にも狭くしつらえられているのです。

 

 

その奥には交流室。
全体にややカッチリとしたフォーマルな部屋になっています。

 

ここも庭側の開口部には額縁庭園がしっかり。
ただ先に見た広間と違って、ちょっと落ち着いた印象になっています。
床の間なんかも奥が浅くてあっさりしてて、どことなくカジュアル。
酒飲んで騒いで遊ぶというより、家族連れでゆっくりとした時間を過ごしたい人向けの雰囲気です。

 

 

とにかくひと部屋ひと部屋の変化が楽しい芭蕉の館。
ここを訪れる時はそんな各部屋の個性をじっくり吟味しながら見てってください。

 

次回は2階の様子を紹介します。
2階の部屋もまた個性満点。
1階とどう違うのか？そのあたりも交えてじ～っくり見ていきます。

 

 

 

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