
敦賀市立博物館 後編 こんな会議室があるから上は変な事言い出すんだ!
2022年06月25日

元銀行として建てられた敦賀市立博物館。
西洋の石造建築をモチーフにした、レンガ+鉄筋コンクリートの建築です。
前回はその外観、および1階の様子を見てきました。
今回はさらにその先、2階以降を見ていきます。

2階に上って最初に現れるのが、この撞球室(どうきゅうしつ)と呼ばれる展示室です。
撞球ってのはビリヤードの事で、かつてここには娯楽のためのビリヤード台が置かれていたそうです。
現在は敦賀の歴史を紹介する展示室となっています。
ここも色々面白いものがあるんですけどね。
残念ながら展示品は撮影禁止なのでスルー、次へ行きます。

その先にあるのが貴賓室。
コッテコテにゴージャスなVIPルームです。
スゲーな、おい。
どんだけカネかかってんのよ?
やっぱ銀行ってのはカネあんだな。
浮世離れ感ハンパねーわ。

この重苦しいカーテンなんかどうよ?
今あるこれは復元らしいけど、椅子とデザインが統一されている所を見ると、多分オーダーメイドでしょう。
恐らく生地にもこだわりまくった、超高級品。
こんな部屋で会議すりゃー、そりゃイイ案浮かびますわ。
実行する下の者にすりゃ、は?そんなんマジでできると思ってんの?的な。
いつの世も上の連中ってのは、現実を飛び越えたバカバカしくなるような世界の中でモノを考えてるのです。

この壁面の縦と横のリズムの交錯も見事ですな。
直線を連続させることで視覚的高さ・広さを伸長し、圧迫感を感じさせない伸びやかな空間に仕上げられています。
さらに色使い。
何気に下から上に向かって軽くなっているのにお気づきでしょうか?
これも意識を上に浮かせて、空間をより広く感じさせる仕掛けなんですね。

続いて3階。
ここはホールとして使われていたそうで、ワンフロアの大きな部屋になっています。
銀行になんでホールがいるの?と思われるでしょうが、ここは市民の娯楽の場として用意されたんだそうで。
要は利用者との交流を図るイベントスペースですね。
こうして多くの人に出入りしてもらう事で、ただカネを集めるためだけのイカツイ建物みたいなイメージを払拭しようとしたのでしょう。

ただここね、なんでか知らんけど妙ぉ~にステージが狭いのですわ。
え?たったこんだけのスペースで何すんの?みたいな。
実際何ができんのかね?
保育園の体育館のステージでももっと広いですわ。
ちょっとこの辺り、どういう使い方を想定していたのか全く意図不明。

それよりも見て欲しいのが開口部。
これが面白い!
形は西洋建築を意識したアーチ型にし、キワには卵鏃(らんぞく)模様やビーズ・アンド・リールといった洋風装飾をズラリ。
かと思えばアジア的な唐草模様も入ってて、さらにアーチ上部の両端には羽根を広げた鳳凰。
西洋?東洋?ドッチ路線なのよ?みたいないびつなフュージョン。
好きだわ~、こういうアバウトさ(笑)。

さらに柱頭の仕様、先に1階で見たものとは変えてあります。
1階の柱頭はイオニア式、それに対してこちらは葉っぱをくるりとカールさせたコリント式(的な感じ)。
変化ですな、変化。
さり気なーく装飾に変化を加えることで、意匠に多彩性をもたらしているのです。
単調さを払拭する、小さな工夫です。

室内には昔のエレベーターなんてのもあります。
平成24~7年にかけて大掛かりな補修工事を行っているそうなので、恐らくその時に撤去したものでしょう。
現存するものとしてはとても貴重なものだそうで、日本機械学会の機械遺産に認定されています。
高級感あるわな、こんなんひとつ取っても。
どんな乗り心地だったんですかね?
動くもんなら1回乗ってみてー!

そして最後、地下。
専用のエレベーターで降りると、いきなり目にするのがトイレ。
当時最新鋭の水洗式のトイレです。
これも画期的だったんでしょうね、昭和初期の頃は。
こんな素敵なトイレで用を足すのはそりゃーもー気持ち良かったはず。
きっといっぱい出た事でしょう!(←何が?)

その先はガラーンとした部屋。
ほぼ何もありません。
ここはかつてレストランだったそうです。
一般の人も利用可能で、ここ専用の出入り口が銀行とは別にありました。
どんなメニューが提供されていたのかは資料が残っておらず分からないそうですが、この雰囲気の中で和食って事はないと思うので、恐らく洋食が提供されていたのでしょう。
ハンバーグとかオムライスとか、きっとそんなのでしょうね。

とにかく建築が素晴らしい敦賀市立博物館。
古いんだけど今でも十分通用するクオリティで。
古いんだけど全然みすぼらしくなくて。
古いんだけどめちゃめちゃスタイリッシュで。
そんな超絶グレートな昭和初期の洋風建築、追う存分堪能しちゃって下さい。
展示については撮影不可ばっかだったのでカット。
何が見られるかは自分で現場まで行って確認してください。
特に2階が面白いですよ!
関連タグ >> 美術館・博物館 古建築 敦賀市立博物館
データベースの接続に失敗しました。