金沢湯涌江戸村 旧平家・旧高田家◆江戸時代の農家の生活はとても厳しかったんです
2022年05月04日
江戸期の建物を移築公開している金沢湯涌江戸村。
楽しいのですわ。
古建築好きには心臓ばっくん!ばっくん!するくらい楽しいのですわ。
今回はそんなタイムスリップ・トゥ・江戸時代な湯涌江戸村の農家ゾーンへと突入します。
まずは旧平家。
間取り図はご覧の通り。
旧時代感全開、めっちゃくちゃシンプルです。
元々は能登半島の柳田村にあった屋敷で、建造は18世紀中頃(江戸時代末期)。
肝煎(きもいり)、要は村の大元締めを務めていた人の家だそうです。
にも関わらずこのシンプルさ。
決して裕福という訳ではなかったようです。
家に入る前にまず屋根下を見て下さい。
茅葺が3色カラーになってます。
これ、「三段階葺き替え」の痕跡ですね。
三段階葺き替え(わたしが勝手に付けた名前だけど)とは、葺き替えの際、前回・前々回に吹き替えた茅は残して、前々々回に葺いた分のみを葺き替えるというやり方です。
以前に岡部家で見たのと同じヤツですね。
これによって葺き替えのコストと手間を減らしたのです。
入口を入ると広い土間がどーん!
この家の玄関です。
謎にだだっ広いのは作業場でもあったから。
この家は農家ですのでね、当然脱穀やら農器具のメンテナスやらの作業のスペースが必要でした。
それをここで行っていたんですね。
茶の間の様子。
ここもガッチガチの田舎の農家風景ですな。
部屋全体がえれー黒いのは囲炉裏のススが付着しているためです。
今は時間が経っているので全然感じませんが、現役当時は臭いもススの臭いがぷんぷんしてたはず。
天井裏にはマックロクロスケもうじゃうじゃいた事でしょう。(←?)
この天井の眺め、イカスわ~♪
ゴテゴテとブサイクに梁が行き交って、屋根の萱が丸見えになってて。
そのどれもがススで真っ黒にいぶされてて、ドン臭くて、でも愛おしいほどに心に沁みて。
じ~っとり見入ってしまうほどの美しさ。
原風景です!
これこそが日本家屋の原風景なのです!
この家で唯一畳が敷かれている座敷。
畳は縁に装飾のない縁なし畳。
ぶっちゃけ貧乏臭い畳です。
これは多分、江戸時代の能登の農家の生活風景をイメージしているんでしょうね。
決して豊かとはいえないこの環境。
そんな中でも人々はたくましく生きたのです。
そのツラさ、分かるぞ~~~、わたしも貧乏だから!!!(←ガチ貧乏)
続いて旧高田家。
こちらは金沢の山奥にあった家です。
建てられたのは18世紀前半。
見て欲しいのが屋根の勾配。
断崖レベルに急勾配となっています。
この角度は雪を落とすためのものですね。
こうしておかないと雪の重みで家がグチャッとイっちゃうのでしょう。
内部の間取りはご覧の通り。
これまためちゃめちゃシンプルになっています。
これでも肝煎の家だったそうで。
能登と同じく、山村の生活も厳しかったんですね。
冬場なんかはほとんど身動きが取れず、春までずーっとこの中で過ごしていたのでしょう。
ある意味シェルターです。
入口入ってすぐにあるニワ。
下は便宜上コンクリートになってますが、本来は土間でした。
すごいね、古民家感ぷんぷんで。
わたしが子供の頃は、まだかろうじてこんな家がありました、田舎に行けば。
うちの母方の実家も、流石に茅葺じゃなかったけど、こんな感じだったような記憶があります。
今はもう建て替えちゃって、影も形も残ってないけどね。
その片隅に馬屋なんてスペースがあります。
その名の通り、馬を収容しておくスペースです。
ここで冬の間馬を飼育し、夏場になるとふもとの農家にレンタルして収入を得ていたんだそうです。
臭かったろうな~、家の中で馬なんか飼ってたら。
でも室内に入れておかないと凍死しちゃうし、臭くてもガマンしてたんでしょうね。
キツイーー!!
こちらはオイと呼ばれる部屋。
今で言えばリビングルームですね。
中央には囲炉裏。
ここは生活の中心であり、家族団らんの場でもありました。
この囲炉裏を囲んで食事をしたり、内職をしたり、子供と遊んだりといった日常風景が繰り広げられていたのです。
そこには今と変わらない、温かな毎日があった事でしょう。
そんな一角に。
疲労感満点の柱~~!!
どーよ、このボロボロ具合?
割れまくりで、色落ちしまくりで、虫食い穴まで空いてて。
100年以上使い込まないと出せない独特の風情。
イケてる~~♪♪
その奥の部屋の壁!
コレもいいわ~♪
土壁ですね。
ちょっと触るとボロボロ落ちる、もろーい壁。
壁自体は2005年と比較的最近塗られたものですが、でもこのドロ臭さがなーんとも郷愁を誘って、古き時代の息吹が生々しく感じられて。
素敵だ~♪
江戸時代の農家のリアルな生活風景が見られる、旧平家&旧高田家。
質素です。
素朴です。
貧乏臭いです。
でもその雰囲気が、めぇ~~っちゃノスタルジ~♪
厳しくもたくましく生きた当時の人のパワーと温かさが今でも感じられるようです。
次回は残り2軒の農家、旧園田家・旧野本家を見ていきます。
この2軒は同じ農家でも様相がガラリと変わります。
詳しくは次回!
関連タグ >> 古民家 古建築 金沢湯涌江戸村
コメントをする
湯涌荒屋町の最新記事一覧

金沢湯涌江戸村 旧園田家・旧野本家◆古建築はやっぱり美しい!
2022年05月07日
江戸時代に建てられた4棟の農家建築が残されている金沢湯涌江戸村。前回はその内の2棟、旧平家・旧高田家を見てきました。今回・・・
カテゴリー:観光名所

金沢湯涌江戸村 旧平家・旧高田家◆江戸時代の農家の生活はとても厳しかったんです
2022年05月04日
江戸期の建物を移築公開している金沢湯涌江戸村。楽しいのですわ。古建築好きには心臓ばっくん!ばっくん!するくらい楽しいので・・・
カテゴリー:観光名所

金沢湯涌江戸村 旧永井家・旧平尾家◆同じ武家屋敷でもこんなに違う
2022年05月02日
江戸時代のホンモノ屋敷が見られる金沢湯涌江戸村。県内外に残っていた江戸期建築を移築公開している施設です。その金沢湯涌江戸・・・
カテゴリー:観光名所

金沢湯涌江戸村 旧石倉家◆VIPのオレ様ぶりに敬礼!
2022年04月30日
金沢湯涌江戸村レポート、前回は旧松下家・旧山川家の2棟の商家を見てきました。今回は旧石倉家の紹介。こちらは江戸時代に宿場・・・
カテゴリー:観光名所

金沢湯涌江戸村 旧松下家・旧山川家◆おカネある人の住んでる家はやっぱりスゲー
2022年04月27日
金沢の奥山にある古建築のワンダーランド、それが金沢湯涌江戸村です。簡単に言えば江戸時代の民家・屋敷を移築保存している建築・・・
カテゴリー:観光名所
- 羽咋市歴史民俗資料館 渚の正倉院 氣多大神宮展 part2 等伯の神画が見られるゼ~♪
- グリル&ハンバーグNINO ハンバーグ&ソーセージ&から揚げ コスパ高すぎ!腹いっぱい食えます
- 旧橋本家住宅 ここに人間が住んでたのが信じられない
- 富山市ガラス美術館 展示編 難しいゾ~、ガラスアート
- 富山市ガラス美術館 建築編 富山という土地を表現した建築アート
- 白山町遺跡現地説明会 永遠に答えが分からないのが考古学
- 薬王院 温泉寺 「あいうえお」はここから始まりました
- 餃子のあひる 餃子定食 この餃子、エンドレスに食えるわ~♪
- 栄谷丸山横穴群 コウモリに注意してご鑑賞ください
- 富山市郷土博物館 復元模型のテクノな仕掛けがイカスのよ!
- 富山城跡 千歳御門~日本庭園周辺 庭園の読み解き、楽しいわ~♪
- 富山城跡 水堀~西の丸 石垣の詳細がよー分からん、謎多きお城
- 羽咋市歴史民俗資料館 渚の正倉院 氣多大神宮展 今しか見られない貴重なお宝がいっぱい
- 香満居 豚トロ黒胡椒炒め定食+担々麺 ボリュームも美味さも文句ナシの街中華
- 一乗谷朝倉氏遺跡 中の御殿跡・諏訪館跡庭園 こんなカッコエエ庭に憧れるわ~
- 一乗谷朝倉氏遺跡 南陽寺跡庭園・湯殿跡庭園 ちょっともったいないなココは
- 一乗谷朝倉氏遺跡 朝倉館跡 ここにはロマンが眠っています
- 一乗谷朝倉氏遺跡 雲正寺地区・平面復原地区 今も残る生々しい生活の痕跡
- 一乗谷朝倉氏遺跡 下城戸跡・上城戸跡 ここがディフェンスラインの最前線
- とんかつ勝亭 立山ロース定食 この肉、味もボリュームも極上だわ~♪