野々市市ふるさと歴史館 ディープに浸かるゼ、古代縄文ワールド
2022年04月23日
御経塚遺跡の真ん前にぽこっとある、野々市市ふるさと歴史館。
縄文時代の出土遺物の展示をメインに行っている、縄文フリークにはわくわくのワンダーランドです。
ただ少々不案内でしてね。
知ってないと、え?ココ勝手に入っていいの?的な雰囲気があります。
通りがかりにたまたま見付けて入った人なんて恐らくほぼ皆無。
知ってても最初の1回目は躊躇してしまうくらいの入りにくさ。
そんな所です。
でもね、勇気を持って入った人にはちゃんとご褒美が待っています。
受付のおねーさんが美人なのです!(←なんのご褒美?)
展示室は1階と2階にそれぞれ1部屋ずつあり、基本2階の部屋から見て回る形になります。
最初の部屋のテーマはズバリ「縄文」。
ひと部屋丸ごと縄文ワールドとなっています。
展示品は主に石器と土器。
完全体もあれば断片だけのものも。
それらが種類ごとに区分され、丁寧な説明を添えて並べられています。
まずいきなり目にするのが縄文集落の再現ジオラマ。
あくまで想像の世界ではありますが、大体こんな感じの集落が営まれていたんだな~ってのが見られます。
ここで注目して欲しいのが、ジオラマの右側にあるなんか円形のもの。
これは「環状木柱列(かんじょうもくちゅうれつ)」と呼ばれるもので、見たまんま、柱がグルリと円形に立てられたモニュメントです。
恐らくこれは祭祀場の跡だろうと考えられていますが、ハッキリした目的は今も分かっていません。
その奥には、無造作にがっさーと積まれた石の山。
これ全部石器です。
左の山が斧、右の山が磨石(すりいし)・敲石(たたきいし)・凹石(くぼみいし)。
磨石・敲石・凹石とは食物を加工するのに用いられた石です。
スゲーな数が。
これ全部が貴重な古代遺物なんですからね。
でもこんな風に積み上げちゃうと、なんか蚤の市の処分品みたい。
1個100円くらいに見えるな(笑)。
そして登場!わたくしのこよなく愛する縄文式土器~~♪♪
壁面一面にズバーーー!!!
素晴らしいわな、この芸術的造形。
ごってり肉厚で、ぐんねり粗野で、装飾が野暮ったくて。
でもそこに生き生きと燃えたぎるようなエネルギーがあって。
縄文人の息遣いと美に対する高いセンスがビンビンと伝わってくるようです。
こちらは土偶。
ご覧の通り立体感のない板状の土偶です。
この辺りから出てくる土偶はほとんどがこの板状タイプで、よくテレビなんかで見る遮光器土偶(しゃこうきどぐう・あの宇宙人みたいなヤツ)のような立体的なものはほぼありません。
さらに注目して欲しいのが状態。
どれもことごとく破損しており、故意的な破壊行為があった事を伺わせます。
壊した理由については不明ですが、恐らくは宗教的な復活再生の祈りがあったのだと考えられています。
続いて石棒。
見ての通りチンチンの形をしています。
コレ、別にふざけて作った訳じゃなく、切実な祈りが込められています。
チンチンに何を祈るかって、そりゃもちろん「子孫繁栄」。
「チンチンの神さま~子供いっぱい授けてくれ~」という、強い願いが込められているのです。
いわゆる「陰茎信仰」ってヤツです。
これね、マジで当時は死活問題だったのですよ。
この頃の死亡率は今とは比較にならないくらい高く、15歳まで生きられたのは半分にも満たなかった言われています。
つまり10人生まれても5人以上は子供のうちに死んじゃうんですね。
だからとにかく沢山生むことが大事だったのです。
ゆえにチンチン神に強く強ーーーく祈ったんですね、子供いっぱいください!と。
頑張れ!チンチン神!(←?)
1階に降りると2番目の展示室。
こちらでは弥生・古墳・古代・中世・江戸時代の展示がひと部屋に詰め込まれています。
2階に比べてかなり大雑把。
見所は弥生・古墳・古代までですかね?
中世・江戸時代まで行くと、そんなに面白いものはありません。
まあその辺は見る人の興味次第ですが。
こちらは弥生土器の欠片。
ルーペで拡大しているのはモミの圧痕です。
モミがあるって事は、稲作が行われていた証明になります。
この時代の稲作はまだまだ原始的で、痩せたドロ地に稲を植えて収穫するといスタイルでした。
おまけに道具や技術が未熟だったために生産効率が悪く、苦労の割にはごく少量の米しか採れませんでした。
それでも計画的に食料が生産できるというのは当時としては画期的で、しかも米は保存も効くので、これによって食糧事情が大きく改善されたと言われています。
再びジオラマ。
すぐ近くにある御経塚シンデン古墳群を、1/120のサイズで再現したものです。
確認されている古墳は、方墳11基、前方後方墳4基。
ただ現在は全て削平されてなくなっており、その姿を見ることはできません。
神秘的だったでしょうね、いくつもの古墳が連なる古代の風景。
この時代の古墳ってのは、人工物としては最大級のサイズですからね。
今の感覚で言えば、巨大なドーム球場がいくつもドン!ドン!ドン!と建ち並んでいるくらいのインパクトがあった事でしょう。
さらに時代は進んで、飛鳥・奈良時代。
この模型は末松廃寺に当時建てられていた金堂と七重塔のイメージモデルです。
現場は現在、史跡保護の観点から公園として整備されています。
あったんですかね~、こんなのが?
だって今から1300年も前ですからね。
当時文化の最先端だった飛鳥・奈良の方ならいざ知らず、こんな裏日本のこんなド田舎にこんな高度な技術を要する高層建築が建っていたなんてちょっと信じられない。
でもあったんでしょうね。
その跡がちゃんと残ってんですから。
石仏どん!
これはこのすぐ近くにある経塚の祠の中に収められていたものです。
制作は1839年(江戸時代)。
の割りにやたら生々しくて状態がいいのは、ずっと祠の中に安置されていたから。
道端のお地蔵さんのように、雨風にさらされていたらこうはいきません。
モチーフは「傅大士(ふだいし)」。
古代中国の僧で、転輪蔵(てんりんぞう)を発明した人とされています。
転輪蔵ってのはクルクル回転する本棚です。
以前レポートした總持寺祖院の経蔵なんかにあるヤツですね。
古代遺跡の生の出土品に出会える野々市市ふるさと歴史館。
メインは縄文時代です。
特に縄文式土器のコレクションは量・質ともに必見。
心臓ばくばくレベルで楽しめます。
縄文式土器大好きー!って病的マニア(?)の方には間違いなく夢の世界ですので、我こそはソッチ側の住人!と自負する人はぜひどうぞ。
もちろんそこまで病気じゃない人にも楽しめる場所です。
古代、なんかちょっと面白そうだな~、くらいの軽い感覚で訪ねてみてください。
関連タグ >> 美術館・博物館
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