店主たみこの観光案内ブログ

南谷発掘地 平泉寺の町開発プロデュース力に脱帽

2022年04月13日

南谷発掘地

 

中世の時代、一大宗教都市を形成した平泉寺
最盛期には周囲に6000もの僧房が建ち並んだと言われています。

 

そんな壮大な中世の景色を今に残すのが南谷発掘地。
平泉寺の南側に展開した僧侶の住宅街の跡地です。

 

南谷発掘地の全体図

 

まずは全体図。

 

現場は結構広大で、ぐるりと1周するだけで1時間くらいかかります。
ただあくまで跡地ですので、見られるのはほぼ更地のみ。
まあ散歩感覚で回ってみてください。
どこから見てっても自由ですが、今回は平泉寺側の通路からスタートします。

 

謀反岩

 

いきなり一発目の見所、謀反岩。
一見ただの崖ですが、この崖にはあるストーリーが隠されています。
それはお坊さんの喧嘩。

 

かつて平泉寺の石垣を築くにあたって、波多野玉泉坊(はたのぎょくせんぼう)と飛鳥井宝光院(あすかいほうこういん)という二人のお坊さんが意地の張り合いを始めました。
ポイントはズバリ「どちらがでっかい石を積むか」。
すげーどーでもいいこの喧嘩、最後は宝光院がこの崖からサイズ14メートルもの石を切り出そうとした所で時の有力者朝倉義景(あさくら よしかげ)がストップ。
やめとけ、と仲裁に入る事で決着をみたのです。

 

まーね。
あほだな(笑)。

 

造成の痕跡

 

そこからとことこっと歩くと、ひたすら段状の平地×平地が続きます。

 

これはすべて造成の痕跡。
元々はゆるい傾斜地だったのをこうして段々にならし、建物を建てる下地を作ったのです。

 

今でこそブルドーザーやパワーショベルで一気にガガガーっとやれますが、当時はこれ全て手作業でやんなきゃいけないんでね。
そりゃもー凄まじい労働量だった事でしょう。
大量の僧侶を動員できた平泉寺の力なくしては成しえない、巨大土木事業です。

 

南谷発掘地の復元門・土塀

 

そこから道なりに進むと次の見所ポイント、復元門・土塀が現れます。
ただ見ての通り、復元と呼ぶにはイマイチ中途半端な仕上がり。

 

本来はこんなのが一面にズバーっと広がっていたんでしょうね。
プラス建物。
そこに多くの人が行きかい、喧騒や活気にあふれた生活模様がこの場を包んでいたのでしょう。

 

長町武家屋敷の土塀

 

ちょっと感じは違うかもしれませんが、こちらは金沢の長町武家屋敷界隈の様子。
石畳の細道がジグザグと通って、その両側には土塀がズラリ。
この場所もかつてはこんな眺めだったのかもしれません。


ただここに並んでたのは武家屋敷じゃなくて僧房ですからね。
もうちょっと地味でお寺の匂いがする、宗教的な空気だったかもしれません。

 

南谷発掘地の石畳の通路

 

そこからズバッと続く石畳の通路。

 

この眺めも素晴らしいな~♪
ノスタルジックなムードでむんむん!

 

やっぱ遺跡ってスゴイわ、説得力が。
見てるだけで当時の人々の息遣いまで聞こえてきそう。
なんか突然別世界に飛ばされたみたいな不思議な感覚!

 

別の石畳通路

 

こちらはもうちょっと先の石畳通路の様子。
杉林に挟まれて、一気に趣きが変わります。

 

ええな~この眺めも♪
深遠な宗教的空気でいっぱい!
もちろん住宅地だった当時は杉の木なんか生えてなくて、今とは全然景色が違ったわけですが。
でも今のこの眺めもメチャメチャ素敵♪

 

家の出入り口

 

通路脇の石垣には、所々にこんな感じの切れ目があります。
これらは全て家の出入り口の跡。
かつてはここに門があったんですね。

 

そしてこの門跡、よーく観察すると規則正しく配置されています。
これはつまり、計画的な町割りが行われていたって事を物語っています。
行き当たりばったりでなく、きっちり図面を引きながら町を作っていたんですね。
何気に平泉寺の高い都市設計能力が垣間見れます。

 

南谷発掘地の説明版

 

さてこれほどの隆盛を誇った大宗教都市がなんで現在の姿になってしまったかと言うと、そこには一向一揆という超巨大勢力との衝突がありました。
早い話が一揆勢によって焼き討ちをくらい、滅ぼされたんですね。

 

北陸の一向勢力ってのはハンパなかったですからね。
町ひとつ焼くなんて朝メシ前だったでしょう。
ある意味、狂気の集団でした。

 

空堀跡

 

そんな武力衝突の痕跡がこの空堀跡。

 

空堀とは敵の侵入を封じるための溝で、お城の防御施設の定番です。
そんなものがお坊さんの住む住宅地の前線に張られているという事実に、当時の緊張感が伺えます。
まさに臨戦態勢ですね。
恐らくこの堀に沿ってバリケードとなる高い柵もザーッと並べられていた事でしょう。
つまり都市であると同時に、要塞としての機能も兼ね備えていたのです。

 

若宮八幡宮

 

その空堀の端、通路からちょっと離れたところに小さな神社がちょこん。
若宮八幡宮です。
神社と言ってもちっちゃい祠がひとつあるだけです。

 

ここで見て欲しいのは、その傍らに生えている巨大な杉。
この杉、先の話に出た一向一揆の焼き討ちに耐えた奇跡の生き残りなんだそうです。


確かにそう言われるとすげー樹齢古そう。
1000年くらいは生きてんじゃないかな?
いかにも霊力ありそうだ~。

 

中世石畳道

 

中世の宗教都市の面影を今に伝える南谷発掘地。

 

まーいいですわ。
特に石畳の通路はたまらなく素敵ですわ。
実際にここを歩いてみなきゃ分からない、独特の空気感。
これはぜひ現場に来て味わってみてください。

 

すぐそこには神秘の苔ワールドが楽しめる平泉寺があります。
ここも必見。
せっかくなので合わせて楽しんでってください。

 

 

南谷発掘地

住所:福井県勝山市平泉寺町平泉寺

ホームページ:勝山市公式サイト

 




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