遊泉寺銅山跡 ラピュタ感全開のこの場所に諸行無常を見る
2022年03月19日
機械工業の街、小松市。
その礎となったのが世界に誇る建設機械メーカー『小松製作所』です。
「KOMATU」のロゴが入ったブルドーザーやパワーショベルを見たことがない人はまずいないでしょう。
その小松製作所のルーツとも言える場所が、今回紹介する遊泉寺銅山跡です。
場所は山奥、すげー山奥。
元銅山なのでね、当然山の中にあります。
入口に立っているこの銅像は竹内明太郎(たけうち めいたろう)。
あの戦後を代表するビッグ総理大臣、吉田茂(よしだ しげる)のにーちゃんです。(※名字が違うのは養子に出されたから)
明治35年に遊泉寺銅山の経営に乗り出した彼は、その過程で小松鉄工所(後の小松製作所)という新会社を発足させました。
その後銅山は鉱石の枯渇により閉山となったものの、小松製作所は順調に発展を続け、今や世界に誇るビッグカンパニーへと成長したのです。
なのでここはある意味、小松製作所誕生の地と言えるのです。
では遊泉寺銅山跡の全体マップ。
現場は山をグルリと回る遊歩道となっています。
普通に歩けば1時間程度の距離。
銅山跡なのでさぞかし元銅山的な眺めが楽しめるのかな~とイメージされるかもしれませんが、否!
ほぼ山歩きです。
山道と木々と小鳥のさえずりとキレイな空気が待っています。
運が良ければ熊も待っています。(←!)
そんな場所です。
まず最初に目にするのが里山みらい館。
遊泉寺銅山稼働時の様子や、成り立ち、その後の顛末などが見られるようになっています。
ここね、行けば分かるんだけど、びっくりするくらいガラガラなんですわ。
え?展示こんだけ?みたいな。
ただ案内のじーちゃんがものすごく親切な人で、詳しーく詳しーく説明してくれるんですよ。
どうも小松製作所のOBらしいんですけどね、あれってあの会社の社風なんですかね?
小松製作所、すげーいい会社なのかもしんない(笑)。
その里山みらい館から徒歩3分、最初の見所が現れます。
炉跡です。
もの凄いな、この苔蒸し感。
廃墟的ムードむんむん。
まるでラピュタの遺構みたい。
やっぱラピュタはあったんですね!(※ラピュタとは関係ありません)
さてこの遊歩道、所々に鐘が設置されています。
これ何のためにあるのかと言うと、熊除け。
これをカンカーンと鳴らして熊を追っ払うのです。
マジ山の中なんでね。
リアルにいるでしょうね熊。
オレは熊より強ぇーー!!って自信のある方でない限り、ポイントポイントにあるこの鐘、忘れずに鳴らしてから前に進んでください。
それでも運悪く出くわしてしまった場合は!
一生懸命死んだフリしてください・・・。
次に出てくるのがこの梅林苑。
この先にはさらに桜も植えられています。
梅も桜も銅山とは全然関係ないんですけどね。
なん-とか人をたくさん呼び込みたいって願いから、こうして整備されたんだそうです。
来んのかね、梅や桜を見にわざわざこんな山奥まで?
山肌全面ズバーっとピンク色に染めるくらいの事しないと、ちょっとインパクト低いんじゃね?
そこからしばらーく歩くと砂山口という場所が現れます。
今は全然痕跡残ってないけど、かつてはここに砂山が積まれていたそうです。
なんで砂山なんだろう?
銅の採掘と砂、全然結びつかんのだけど。
でもわざわざ砂を積んだって事は、どこかで砂が出るような工程があるんでしょうね。
ん~~~謎だ・・・。
その砂山口を右に曲がって少し歩いた先にあるのが、この巨大煙突。
木立の中にポコッと立ってて、これも思いっ切りラピュタ感全開。
今はこれ1本しか残ってないけど、鉱山稼働時はこんなのが何本も立ってたそうです。
諸行無常感あるな~。
最盛期は5000人が暮らす鉱山町がここにあったらしいんですけどね。
それが今じゃこの有様。
時の移ろいとは実にはかないものです。
ちなみにこれは往時の姿。
細い谷間に作業所や家が立ち並び、煙突からは煙がもうもう。
今じゃちょっと考えられんくらい、活気あふれる光景がここに展開されていました。
どこ行ったんですかね、この当時の遺構?
こんだけ色々な構造物があったんなら、もっと残ってても良さそうなんだけど。
鉱山閉鎖に伴って、ちゃーんと後片付けしてから撤収したって事なんですかね?
でもじゃあなんで煙突1本だけ中途半端に残されたんだろう?
分からん~~・・(悩)(悩)(悩)。
そこからさらに進むと、次に見えてくるのが竪坑跡。
竪坑ってのは要するに縦穴です。
まず垂直な穴を掘り、そこから水平方向に幾筋もの横穴を掘って鉱石の採掘を行ったんだそうです。
その深さ実に250メートル!
落ちたら確実に死にます。
って事で、現場はがっちりコンクリートで封鎖。
落ちたくても落ちられないようになっています。
一応覗き窓が付けられていますが、中は真っ暗でな~んも見えません。
そしてここからが正念場!
舗装が途切れ、ガッチガチの山道となります。
モロに登山です。
息切れます、マジで。
体力に自信のない人はUターンして引き返してください。
そんな山登りロードの先あるのがこちら、巻上げ装置跡。
その名の通り、巻上げ装置がここに据え付けられていたんだそうです。
何を巻き上げるのかというと、カス。
銅の精錬に伴って発生したカスをここに引き上げ、山にポイポイ捨てていたのです。
ただね、すげー有害らしいんですわ、このカス。
カドミウム(イタイイタイ病を引き起こしたヤツ)を含んでて、ヤバさ全開。
なので現在は全部撤去され、その上で埋め立て処理されているそうです。
そこからさらに山を登る事10分(くらいだったかな?)、砂山頂上に到達。
ゴぉーーーーーール!!!
感慨ひとしおですよ、ここまで来ると。
やり切ったー!みたいな。
足下には遥か日本海まで見渡せる小松市街の眺め。
ん~~~~晴れやか♪
木が邪魔ですげー視界狭いけどな(笑)。
銅山跡散策と言うよりも、ほぼ山歩きとなる遊泉寺銅山跡周遊。
来る時は山歩きを前提にお越しください。
それと熊除けの鈴も忘れずに。
雨上がりは恐らくぬかるみますので、前日の天気にも気を付けて。
では、レッツ・エンジョイ・トレッキング!
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