
志摩 スゲーわ、派手だわ、鼻血出そうだわ
2022年03月12日

オールドな茶屋建築が軒を連ねる金沢のひがし茶屋街。
今でもお茶屋さんとして営業している店が数件残っていますが、基本的に中には入れません。
入りたきゃ客として入るしかないって事ですね。
でもそれじゃハードル高い~!って人のために内部公開をしている元・お茶屋さん、それが志摩です。
この志摩の概要については以前に紹介しました。
今回は中の様子を詳しく見ていきます。

まずは見取り図から。
玄関正面の階段を登るといきなり2階。
ここがいわゆる客間となり、ドンドン♪チャンチャン♪の大宴会が繰り広げられるスペースとなります。
1階は実務のための場所。
茶屋の人間が働くためのバックヤードですね。
規模としてはそんなに大きくありません。
天井も低く、全体的に圧迫感強め。
所々腰をかがめないと頭をぶつけてしまうような場所があるのでご注意下さい。

いきなりですが、メインの「前座敷」。
このお茶屋の最上級ルームとなります。
スゲーな、弁柄色が。
一面に赤がズバッ!
目がくらくらするほどの鮮やかさです。
この色を「艶っぽい」と感じるか「ケバケバしい」と感じるかは、その人次第。
とりあえずカネの臭いだけはプンプンします。

床脇には楽器の琵琶がちょこん。
ああ、コレ芸妓さんが曲を演奏するヤツね、って事なんですが。
この琵琶、あるメッセージが隠されています。
それは床の間の造り。
床の間には「本床(ほんどこ)」「洞床(ほらどこ)」など色んなバリエーションがありまして、この部屋の床の間は「琵琶床」というタイプになっています。
だからここに琵琶なんですね。
知ってるとちょっとだけニヤッっとできる豆知識です、どーでもいいけど。

こちらはその対面にある「ひかえの間」。
芸妓さんが芸を披露するステージです。
床の間が一気にラフになっているのにお気付きでしょうか?
この床の間は「釣り床」と呼ばれる、ごく簡素なものです。
こうして床の間の造りに差を付けることで、客のいる座敷の方が格上のスペースなんですよってのをさり気なくアピールしているのです。
分かりやすく言うと上座と下座、みたいなイメージですね。

「なかの間」を挟んで、反対側にも「ひろま」と呼ばれる座敷があります。
こちらは先に見た「前座敷」よりもややいかめしい印象。
きちんと正座して座らなきゃいけないような雰囲気です。
床の間のしつらえも違いますね。
こちらはフォーマルな「本床」。
床脇にはお決まりの天袋と違い棚を設け、中央には床柱をビシッ!
限りなく武家屋敷のソレに近い造り。

この床脇の仕立てなんかもシブイですな。
中段には漆仕上げの違い棚、その上の天袋の戸には金箔がバーン!
完全に武家屋敷のしつらえを意識してます。
それも中~上級クラス。
こんな家に住みたいな~。
なんかものすごいステータスの高さを感じますわ。
壁は赤くなくていいけどな(笑)。

そこから廊下をちょっと進むと「はなれ」という部屋に突き当ります。
ここは一転地味。
壁の色からして地味~なグリーン。
多分サブルームでしょうね。
「前座敷」も「ひろま」も埋まってる時に使われた、予備用の部屋。
あるいは格下のお客さん専用の部屋。
せっかく遊びに来ても、ここに通されちゃったらちょっとテンション下がるな・・。

そこから階段を降りるんですけどね、見て下さいこの超急勾配。
うっかり足を滑らせたら転落必至。
マジ怖ぇーですよ。
実際落ちた人いただろうな、いっぱい。
だってここはお茶屋さん、お客さんはみんな酔っ払ってフラフラですからね。
そんな状態でこんな階段昇り降りしたらデンジャラス極まりない。
こんなんならむしろ滑り台にした方が安全だわ。

その病院送りの階段(←?)を降りると、次に目にするのが「台所」。
なんやら水周り関係のものがゴチャゴチャと置かれています。
台所とは言っても、ここで調理が行われることはありませんでした。
料理自体は仕出し、つまり専門のお店にオーダーして持ってきてもらうからです。
なので釜などの火元となるような設備はありません。

こちらはその台所から見える中庭。
いわゆる坪庭ってヤツです。
コレね、建築的にある面白い仕掛けが隠されています。
それは「通風」。
スマホをお持ちの方はコンパスで確認して欲しいのですが、この坪庭、北にあります。
という事は、当然店の表側は南。
南側は温かいので空気が上昇し、北側は逆に冷えて下降します。
なので戸を開け放って表と庭との間に空気の通り道を作ると、対流が発生するんですね。
いわば天然の空調システムです。
これによって夏場を涼しく過ごす、とそんな仕組みになっているのです。

最後に資料室。
ここには茶屋文化を支えた小道具が展示されています。
料理を乗せる器や芸妓さんを飾ったかんざし、鏡、などなど。
この細工がまた精巧でね。
わたしみたいな老眼族には目がクラクラするほどの細かさ。
でも大丈夫、ガラスケースの上には大きなルーペが用意されています。
お年寄りにも存分に堪能していただける親切展示となっていますので、じ~っくり観察してって下さい。

江戸時代から続くお茶屋文化を今に伝える志摩。
普通の人はお茶屋遊びなんて恐らく一生経験することはないでしょう。
でもここに来れば雰囲気だけは味わえます。
どうぞ脳内イメージを200%フル稼働させ、エア芸妓さんと腹いっぱ遊んでください。
おっと!
そんなコトはしちゃダメよ!(謎)
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