店主たみこの観光案内ブログ

高尾城跡 見晴らし台だけ楽しんで帰っちゃダメ!ダメ!

2022年03月05日

高尾城址見晴らし台

 

かつて「百姓の持ちたる国」と呼ばれた真宗王国石川。
その始まりの地が今回紹介する高尾城(たこうじょう)です。

 

ご存知の方も多いと思いますが、北陸は浄土真宗の力がめっちゃ強い土地でした。
そのせいで政情が不安定だった戦国期、真宗教徒による一向一揆がジャンジャン起こったんですね。
で、しまいにゃこの辺り一帯を統治していた守護大名である富樫氏を滅ぼしちゃったのです。
その富樫氏滅亡の舞台となったのが、ここ高尾城です。

 

高尾城跡の全体図

 

では全体マップから。

 

入口はいしかわ師範塾って施設の駐車場脇と、そのちょっと手前にある墓地の脇の2ヵ所にあります。
アクセスの良さではいしかわ師範塾側から入った方が簡単ですが、今回のレポートは墓地側からスタートします。

 

構造はシンプルで、通路を上った先に見晴らし台として整備された曲輪があり、ここがゴール。
ヤル気のあるマニア(?)はもうちょっと先まで、って感じです。

 

入口の階段通路

 

入口はいきなり狭路の階段。
圧迫感満点!

 

今はちゃんとステップを設けて階段として整備されてますけど、戦国期はもっとガタガタに足場が悪かったでしょう。
山城の通路なんて上りにくくてナンボですからね。
見通しも相当悪かったはず。
そんな不気味な通路を、攻め手は周囲を警戒しながら恐る恐る進むのです。

 

下から見上げた高尾城の曲輪

 

すると突然視界が開けます。
お、上が見えるぞ!みたいな。

 

なのですがよーく見てください。
この目の前の斜面の上、明らかに城側の陣地になっています。
恐らくは前面を柵でがっちりガードし、そこから矢がびゅんびゅん飛んでくる仕掛けになっていたのでしょう。

 

雨ですよ!雨!
矢の雨!
怖っえーーーー!!!!(震)

 

高尾城の曲輪

 

その陣地はこんな感じ。
いわゆる「帯曲輪(おびぐるわ)」ってヤツで、そんなに広くありません。

 

でも迎撃するにはこれだけあれば十分。
攻め手側の足場もそんなに広くないので、どんなに大軍で来ても数の優位が生かせないんですね。
なのでここから飛び道具でガンガン攻めまくれば、相手は完全にお手上げ状態となるのです。

 

上へと登る階段

 

そしてこの先がキツイ!
何がキツイって角度。
メッチャメチャ傾斜が急なのですよ。

 

画像は上から見下ろした眺めですが、伝わりますかね、この急角度感??
一番急な所だと、多分45度越えてます。
そこを上ったんですよ、しかも重い甲冑や武器を身に着けて、さらに城側からの攻撃にさらされながら。
当然手すりなんかある訳ないし。

 

山城攻め、キッツイわ~~~!

 

高尾城址見晴らし台

 

そしてゴールです。
頂上は見晴らし台として整備されていて、山側はアレですが平野側はかなり向こうまで見渡せます。

 

気持ちいいですよ~ココ♪
吹く風が涼しくて、空気が美味しくて、生活音が何もしなくて。
なんかココロの洗濯場みたいな感じ。

 

見晴らし台からの眺め

 

こちらがその眺め。
金沢の平野が一面ズバッ!
この日はちょっと霞がかってて精彩に欠けてましたが、空気が澄んでる時は青々とした眺めが楽しめます。
ン~~もぉ~~爽快♪♪

 

でも500年ほど前はここで凄惨な殺し合いが展開されたんですね。
そう考えるとちょっとホラー。

 

曲輪横の枡形

 

この見晴らし台、反対側にも出入口がありまして、何気にそちらの方がかつてのお城の痕跡がリアルに見られます。
こちらがその出入口。

 

どう?何か違和感感じません?
通路が真っすぐではなく、なぜか広場をぐるりと巻き込むような形で通されています。

 

これは「食い違い虎口」と呼ばれる防御のための仕掛け。
こうして通路をわざとぐにゃりと曲げることで敵の勢いを削ぎ、さらに側面+正面の2方向から攻撃できるのです。

 

敵側からすれば鬱陶しいですよ~。
一気に突っ込みたいけど突っ込めないーー!みたいな。
地味だけど効果の高いトラップです。

 

高尾城の堀切

 

その先を進むとまた面白いものが見られます。
堀切(ほりきり)です。

 

なんとなーく通路が窪んでいるのが分かりますかね?
この窪み、人工的に掘り込まれています。
今はかなり形が崩れてなだらかになっていますが、戦国期はもっと露骨に窪んでいたはず。
おっと、これじゃ前進めないじゃん!みたいな。
これも敵の進行を阻止する仕掛けです。

 

竪堀

 

その先を進むと通路としては行き止まりになるのですが、まだお城は終わりません。
この左側の斜面を確認して欲しいのです。
縦方向に掘られた溝が幾筋か見られます。
竪堀(たてぼり)です。

 

これも攻撃に備えた仕掛けです。
こうして斜面上に縦方向の溝を掘っておくことで、敵の横移動を阻止するのです。
これに足を取られて身動きが取れずにモタモタやってる所を、矢でドシュドシュドシュー!と射貫くんですね。

 

未整備の曲輪

 

その竪堀のある斜面をよじ登ると、再び曲輪。
今は木がアチコチに生えちゃっててもうひとつイメージしづらいですけど、かつてここはちゃんと一面の広場になっていました。

 

この広場、面積的には結構なサイズです。
先に見た見晴らし台の倍くらいはあるんじゃないですかね?
現在整備中のようですので、何年か先にはもっとちゃんと全貌が分かるようになるのかもしれません。

 

高尾城址見晴らし台の案内板

 

何気に恐怖の仕掛けが生々しく残る高尾城。
平和~な見晴らし台だけに惑わされちゃいけません。
ここは凄惨な殺し合いの舞台になった現場なのです。
訪城の際には、そんな戦慄の緊張感を意識しながら回ってみてください。
結構恐怖ですゼ!

 

 

高尾城跡

住所:石川県金沢市高尾町ウ 31

 




エリア >> 石川県 > 金沢市 > 高尾町

 

関連タグ >> お城 

 


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