
石川県埋蔵文化財センター 古代体験ひろば編◆古代住居、住んでみたいですか?
2022年02月07日

石川県内の遺跡から出た様々な出土品が見られる石川県埋蔵文化財センター。
前回は館内の展示品を中心に紹介してきました。
今回は屋外にある古代体験ひろばを見ていきます。
ここでは再現された古代住居の展示が行われています。
建物は全部で3棟。
縄文・弥生・奈良時代の住居が見られます。

まずは縄文時代の住居。
ご存知、縦穴式住居ですね。
茅葺でがっさーっと覆われていて木組みの構造は見えませんが、4本の大柱を軸にして、細い木を円錐状に渡してあります。
内部は50センチほど掘り窪めてあり、12畳程度のスペースがあるそうです。
内部は残念ながら進入禁止。
案内板によると、中央に炉があって、上に登るハシゴもあるみたいです。

正面から見るとこーんな感じ。
分かりますかね?ちょっと歪んでいます。
右から左に向けて傾いてるような感じ。
これ多分、本当に傾いてます。
恐らくこの方向に向かって強い風が吹くのでしょう。
プラス雪の重み。
縦穴式住居の耐用年数は20~30年と言われているのに対し、この建物はもう築20年以上。
そろそろヤバイかもしれないですね。
一度修築した方がいいかも?

続いて弥生時代の住居。
形は先に見た縄文時代の住居と似ていますが、1点、大きく異なる部分があります。
それは屋根材。
先に見た縄文住居が茅葺だったのに対し、こちらは土葺きとなっています。
珍しいですね、土葺き。
土なんか積んじゃったら重くて潰れるんじゃないかと思うんですけどね。
でも実際屋根を土で葺いていたんじゃないか?と思わせる住居跡が、富山の下老子笹川遺跡(しもおいごささがわいせき)で見付かっていて、この住居はそれをモデルにしているそうです。

裏に回ると窓。
入口のほぼ対面に付けられています。
これは通気を確保するためですね。
ある程度空気の通り道を作っておかないと酸欠になっちゃいますからね。
そして上部には煙出し。
これは内部で火を焚いた際に出る煙を逃がすためのものです。
一見原始的な家に見えますが、よーく観察すると理にかなった仕組みがアチラコチラに見られます。
古代人の知恵ですね。

奈良時代の住居。
ここで一気に仕立てがスタイリッシュになります。
壁を木の板で覆い、屋根は茅葺。
今でも田舎の方に行けばまだ見掛けそうな古日本建築様式。

この住居に取り付けられてる扉、メッチャ凝ってんですわ。
見ての通りノミの跡がびっしり。
コツコツ手作業で彫ったんでしょうね、コレ。
すげー職人魂だな(笑)。
一応この建物も、分類としては「縦穴式住居」になるそうです。
内部は30センチほど掘り窪められており、カマドや炉まで再現してあるんだとか。
中に入れんから確認できんけどね。

さらにこれら3棟の再現住宅とは別に、謎の四角い穴がひとつポコッとあります。
ここにもかつては建物があったっぽいです。
当時の様子は知らないので詳しい事は分かりませんが、どうも木組みだけの建物があったようで。
でも多分腐って倒壊したんでしょうね。
今はご覧の通り、穴だけが残されています。
今建ってる3棟も結構ボロいからな。
下手すりゃ10年後には全部こうなってるかもしれない・・。
※その後いただいた情報だと、建物の柱の組み立て体験ができる設備だそうです。
情報提供ありがとうございます。

そんな建物群のすぐそばになんか畑っぽいのがあります。
と言うか畑。
体験農園です。
アワやヒエと言った、昔よく食べられていた作物を栽培しています。
昔の人もこうやって畑を耕したんですかね?
古代の畑はもうちょっと雑かな~って気がせんでもないですが、作業するのは現代人ですからね。
整然とした「今風」な畑になっています。

その向こうに不思議な建物がいきなりぼん!
なぜか傾斜が付けられていて、上に向かって伸びています。
見る人が見れば、あ!と一発で気付く建物。
そう、アレです、アレ。
この建物はアレ。

登り窯~。
傾斜が付いているのは、窯の熱を上に流すため。
下で薪を焚いて、そこから発生した熱と煙を上へと流し、それによって成形した土を焼き上げるのです。
このシステムは古墳時代に朝鮮半島から伝わったと言われており、こうして作られたものは「須恵器(すえき)」と呼ばれます。
それに対して窯を用いずに、野焼きだけで作られたのが「土師器(はじき)」。
よく古墳の説明で「須恵器と土師器が出土した」なんてのを目にしますが、両者にはそんな違いがあります。

さらに面白いものがもうひとつ。
移設古墳です。
これだけ全然違う場所にあるので、見逃さないように注意してください。
向かって左が石室、右が埋葬施設。
古墳丸々の移設ではなく、部分移設になっています。

こちらは石室の方。
小松市の那谷町にあった那谷金比羅山古墳(なたこんぴらやまこふん)のものです。
直径10メートルの円墳で、古墳時代末期である8世紀初頭頃のものと推定されています。
見ての通り横から入れるタイプで、石材は凝灰岩が使われています。
凝灰岩ってのは火山灰が固まって石化したものです。
ものすごーく柔らかいのが特徴。
なので加工に向いているんですね。
古墳の石室の石材によく凝灰岩が用いられているのはそのためです。

古代の建物が見られたり、登り窯が見られたり、古墳が見られたりする、石川県埋蔵文化財センターの古代体験ひろば。
ロストワールドが体感できる楽し~い場所です。
古代気分を生で味わいたいな~って人は、ぜひ一度どうぞ。
なおこのセンターでは体験教室などのイベントも随時開催しています。
多分小さなお子様には胸わくわくのワンダー体験。
興味のある人は公式サイトをチェックしてください。
データベースの接続に失敗しました。