南新保C遺跡現地説明会 今だけ見られる古代のロマン
2022年01月01日
国道8号線沿いのちょっと海側、石川県立中央病院のすぐ裏側に現在発掘調査を進めている遺跡があります。
それが南新保遺跡。
時代は弥生中期~平安時代。
陶器を中心に結構な数の遺物が出ています。
その南新保C遺跡の現地説明会が行われるとの情報をキャッチ。
現在進行中の遺跡の見学と説明が聞けるなんてめったにないチャンスですからね。
迷わず参加してきました。
説明会でもらった案内によると、現場付近の遺跡分布はこんな感じ。
現在は平たんな地面がのっぺり広がってますが、かつては網の目のように小川が入り組む広大な湿地帯だったそうで。
その中の微高地を選んで人が住んでいたようです。
海までの距離はほんの2kmほど。
比較的海運とのアクセスも良好な場所でした。
現場は謎に溝が掘り込まれてて、なんか意味不明にデコボコ。
ちょっとシロウト目には何が何だかサッパリ分かりません。
でも見る人が見ると、建物、お墓、杭、小川など、色んなものが読み取れるんだそうです。
ハードル高いな。
やっぱ専門家ってスゲーわ。
こちらが今回のメイン、平安時代の船(と考えられる木片)。
全長約6メートル、厚さ6~8センチ。
この時代の船が生の状態で出てくるのはとても珍しいんだそうで。
ただ残念ながら出てきたのは一部分だけで、全体がどんな形や構造だったのかは不明。
それについては今から検証・検討を重ねるそうです。
形から類推するに、底部のパーツではなかったかと予想されています。
周囲には大量の杭(と見られる木片)。
かなりの数が打ち込まれています。
何だったんでしょうね、ここ?
今の所船着き場か船の修理場ではないかと推測されていますが、なにしろ1300年も前のもの。
いくら詳細な調査や分析を進めたところで、答えは永久に出んでしょうね。
現場にはこんなよー分からん小さな溝もボコボコ空けられています。
これらは杭が打たれていた跡だそうで。
何のための杭だったんですかね?
建物の柱なのか、あるいは何らかの構造物の柱だったのか。
穴だけ見ててもサッパリ分からん。
古代遺跡、難易度高いわ~(悩)。
これは川の跡。
幅約10メートルほどあり、弥生中期~古墳時代前後に流れていたものだそうです。
川筋ってのは結構変わるらしいですからね。
特にこの辺は湿地帯だったってんですから、結構頻繁に流路を変えたと思われます。
取水に便利な反面、水害も度々起こったんでしょうね。
そんな(元)川底を掘り進めていくと、こんな白い層が一部に見られます。
これは貝層と呼ばれるもの。
昔の人が捨てた貝殻の残骸です。
調べるとシジミを主体にアカニシなんかの大型貝も含まれているそうです。
多分魚もいっぱい食べてたでしょうね。
それをうかがわせる漁具なんかもいくつか出ていますし。
当時の食糧事情、意外に豊かだったのかもしれません。
その川の向こうには住居跡がポツポツ。
縦穴式と平地式の痕跡がいくつか見つかっています。
水辺を選んだのは利便性を考えての事でしょう。
水は日々必要とするものだから遠いと確保が大変。
ここだったらちょっと降りればすぐに水が得られるし、ひょっとしたら船を浮かべてそのまま海に出たりなんかもしてたかもしれません。
方形周溝墓(弥生時代)なんてのもあります。
方形周溝墓ってのは周りに溝を掘った四角形のお墓ですね。
墳丘部は残念ながら失われてありません。
この方形周溝墓、住居跡のすぐ近くにあります。
現代的感覚だと、え?家のすぐ近くにお墓って気持ち悪くね?って感じですけど、昔はこれが普通でした。
ムラの中心に墓地があり、その周りに住居跡が点在していた、なんていうケースもあります。
当時はお墓は忌むべきもの、遠ざけるべきものじゃなかったんですね。
説明会では遺跡からの出土品も公開されていました。
膨大な数の中から比較的形が良好に残っているものや、珍しいものを選別して並べてあります。
素敵だわ~♪
古代の土器とか大好きなんですわ。
もーー欲しい!!
1個欲しい!!
くれーーーーー!!!!(※配布はしてません)
土器だけでなく、木製品なんかも出ています。
こちらは杵(と思われるもの)。
木なんてすぐ腐るイメージがありますが、水の中にどっぷりと浸かっていれば意外に長くもちます。
なぜなら水の中、あるいはドロの中にあれば、空気が遮断されて微生物が活動できないからです。
微生物が活動できなければ分解・崩壊する事がないですから、数百年、それこそ千年以上経っても元の形が保たれるのです。
田んぼの下から大昔の木製品がゴロゴロ見つかったなんて話をよく聞くのは、そのためです。
現在も発掘進行中の南新保C遺跡。
恐らく宅地造成に先だった時限限定のプロジェクトです。
1700年前の様子が見られるのは「今」だけ。
生の遺跡発掘の現場が見たいって人は「今」お越しください。
出土品は金沢市埋蔵文化財センターあたりで時々公開されると思います。
そちらのチェックもお忘れなく!
南新保C遺跡
住所:石川県金沢市南新保町
関連タグ >> 遺跡
コメントをする
南新保町の最新記事一覧

香満居 豚トロ黒胡椒炒め定食+担々麺 ボリュームも美味さも文句ナシの街中華
2025年03月08日
揺れますね。よく揺れますね。ぶるぶるに揺れますね。おなか。なんでこーなっちゃったかなー?腹筋とかしてんだけどなー。むにっ・・・
カテゴリー:グルメ

南新保C遺跡現地説明会 詳しい事後検討の報告を求ム
2024年12月21日
過日実施された南新保C遺跡現地説明会。以前にもこのブログで取り上げましたが、今回は令和6年度版、あの時とは違う区画の最新・・・
カテゴリー:観光名所

南新保C遺跡現地説明会 今だけ見られる古代のロマン
2022年01月01日
国道8号線沿いのちょっと海側、石川県立中央病院のすぐ裏側に現在発掘調査を進めている遺跡があります。それが南新保遺跡。時代・・・
カテゴリー:観光名所
- 羽咋市歴史民俗資料館 渚の正倉院 氣多大神宮展 part2 等伯の神画が見られるゼ~♪
- グリル&ハンバーグNINO ハンバーグ&ソーセージ&から揚げ コスパ高すぎ!腹いっぱい食えます
- 旧橋本家住宅 ここに人間が住んでたのが信じられない
- 富山市ガラス美術館 展示編 難しいゾ~、ガラスアート
- 富山市ガラス美術館 建築編 富山という土地を表現した建築アート
- 白山町遺跡現地説明会 永遠に答えが分からないのが考古学
- 薬王院 温泉寺 「あいうえお」はここから始まりました
- 餃子のあひる 餃子定食 この餃子、エンドレスに食えるわ~♪
- 栄谷丸山横穴群 コウモリに注意してご鑑賞ください
- 富山市郷土博物館 復元模型のテクノな仕掛けがイカスのよ!
- 富山城跡 千歳御門~日本庭園周辺 庭園の読み解き、楽しいわ~♪
- 富山城跡 水堀~西の丸 石垣の詳細がよー分からん、謎多きお城
- 羽咋市歴史民俗資料館 渚の正倉院 氣多大神宮展 今しか見られない貴重なお宝がいっぱい
- 香満居 豚トロ黒胡椒炒め定食+担々麺 ボリュームも美味さも文句ナシの街中華
- 一乗谷朝倉氏遺跡 中の御殿跡・諏訪館跡庭園 こんなカッコエエ庭に憧れるわ~
- 一乗谷朝倉氏遺跡 南陽寺跡庭園・湯殿跡庭園 ちょっともったいないなココは
- 一乗谷朝倉氏遺跡 朝倉館跡 ここにはロマンが眠っています
- 一乗谷朝倉氏遺跡 雲正寺地区・平面復原地区 今も残る生々しい生活の痕跡
- 一乗谷朝倉氏遺跡 下城戸跡・上城戸跡 ここがディフェンスラインの最前線
- とんかつ勝亭 立山ロース定食 この肉、味もボリュームも極上だわ~♪