
金沢城の石垣 大手門~河北門◆金沢城の誇る防御力と見栄が詰まったエリア
2021年12月01日

金沢城の入口と言えば石川門を思い浮かべる人が多いと思いますが、ノー!ノー!
アッチは裏口で、正式な入口は別にあります。
それが今回のスタートとなる大手門。
とは言ってもここから入る人はほぼいないですね、場所的に。
わざわざ回り込まないと、まずここまでたどり着けない。
多分ここから入る人は訳も分からずウロチョロした人か、道に迷った人だけです。

では恒例の金沢城マップ。
ご覧の通り大手門はメジャーな回遊エリアからやや離れた場所にあります(赤文字の部分)。
なのでここの石垣が見たい人はわざわざここまで行ってください。
とは言え「大手」という名前が示す通り、本来はここが正規の入城ルートでした。
その痕跡は石垣にもしっかり残されています。

まずは大手堀。(※石垣マップの11)
今でこそ埋め立てられてこじんま~りとしてますが、かつてはもっと大きな水堀でした。
堀の中を覗くと優雅に鯉がゆ~らゆら。
なんとなく往時の雰囲気を漂わせています。
ただ今回見て欲しいのは、その堀際にある石垣。
これが妙~な感じになってましてね。
ちょっと角度を変えて見るとこんな感じ。

分かるでしょ、上と下とで全然表情が違うのが。
下は荒くてガッキガキ、上はピシっとキレイ。
これ、明らかに築造年代が違いますね。
まず下の石垣が先に築かれ、その数十年後(くらいかな?)に上が付け足されたのでしょう。
そのタイムラグがこうして表情の違いとなって残っているのです。

ここなんかもっと露骨。
右と左でハッキリ違います。
右が自然石を積み上げた野面積み(のづらづみ)、左が割石を積み上げた打ち込み接(うちこみはぎ)。
恐らくは右が金沢城築城原始の石垣で、左は後年に積み直されたものでしょう。
左側にはお城の正門である大手門がありますんでね。
野面積みじゃみっともねーって事で、後からきれいに化粧直ししたんでしょうね。

その大手門。(※石垣マップの12)
今はもう門は失われて石垣だけなんですけど、この石垣がすげー迫力なのですわ。
高い!ブ厚い!デカい!
なんちゅーか、重量感が格別なのですよ。
どーん!と迫るような威圧感。
本来はここにさらに頑強な門もあったんですからね、そりゃもースゴかったでしょうね。
重厚な石垣+巨大な門、そして加賀百万石の威光。
きっと壮絶パワフルな光景が広がっていた事でしょう。

そしてこのドデカい石。
いわゆる鏡石ってヤツなんですが、大人の身長軽く越えてます。
デケー!デケー!
金沢城に限らず、江戸時代のお城ってのはやたらとこの鏡石を正門に置きたがりました。
なぜなら石がデカけりゃデカいほど、ここスゲーお城だな!!って事になったからです。
誰が考えたルールか知らんけど。

さらに金沢城の場合はこの鏡石が1個じゃないんですね。
アッチにもドスン!コッチにもドスン!
どんだけ鏡石好きなのよ?みたいな感じで、置かにゃ損みたいに置きまくっています。
悲鳴だったでしょうね、作業現場。
このデカい石、1個1個手作業で運んで来たんですよ。
「1個でいいだろ?なんでこんなにいっぱい置くのよ?」ってグチが聞こえてきそう。
前田の殿さま。
ドSだ~(笑)。

そこから城内に入ると新丸広場というダダッ広いエリアに出ます。(※石垣マップの13)
ここを抜けて河北門へと進むのが正規の登城ルートとなるのですが、その河北門の直前で再びダイナミックな石垣模様が現れます。
100メートル以上に渡って続く長大な高石垣!
この高低差+横方向の空間的広がりがたまらなく圧巻でして、大手門のヘビー石垣とはまた違った迫力が楽しめます。
うお!スゲーな!と思わず口に出てしまうほどの巨大なエネルギー量。
押されますゼ~!!

寄るとこんな感じ。
高いでしょ?ゴツイでしょ?怖いでしょ?
いざ戦になると、この上から弓矢がビュンビュン飛んでくるのですよ。
低地にいる攻め手側は成す術ナシ。
ひたすらヤられるだけ、ヤられまくるだけ。
悪魔のバリケードです。

そして今回最後の石垣、河北門内側です。(※石垣マップの14)
え?石垣どこ?塀の下っかわ?と思われるでしょう。
ノー!ノー!この白い塀、実は丸々石垣なんです。
その名も『隠し石垣』。
一旦石垣を組み、その上に白漆喰を塗りつけて「見た目だけ」漆喰塀にしてあるのです。
なのでね、頑丈ですよ。
芯が石垣でガッチガチに固められてんですから。
蹴ったくらいじゃビクともしません。(※蹴ってはいけません)

以上、大手門から河北門までの石垣を見てきました。
なんたって金沢城の正規の入城ルートを飾る石垣ですからね。
ハイクオリティ&ハイディフェンシブ。
パワーギンギンです!
あんまり人の来ないエリアですが石垣だけでも見応え満点ですので、しーっかりじーっくり見てってください。
次回は金沢城の石垣編最終回、玉泉院丸庭園周辺を見ていきます。
日本で唯一の「アノ石垣」が見られる場所ですね。
素敵ですぜ~!
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