聖興寺 山門にずきゅん!本堂にずきゅん!鐘楼にずきゅん!茶室に・・・あら?
2021年10月13日
松任駅から徒歩5分、大きな門が目印の古刹が聖興寺(しょうこうじ)です。
創建は1495年、戦国時代の真っただ中で一向一揆が各地で頻発していた頃。
浄土真宗中興の巨人、蓮如に感化された明源という僧によって興されました。
元の名前は徳光寺、その後2度ほど寺地を移し、名前も聖興寺と変え、1648年(江戸時代前期)に現在地へとやって来ました。
門ですわ。
いきなりワンダフル。
ずんとそびえるこの重量感。
見てるだけで背筋にビリビリ来るくらいワイルド!
サイズ、圧力、技巧、スタイル、どこを取ってもスキのない、素晴らしい門です。
建造年代は不明ですが、このお寺、明治24年に火事で焼けてるので、少なくともそれ以降となります。
本堂が明治31年再建という事を考えると、恐らくはその前後くらいかなと。
すげーわ、この彫刻が。
どんだけ気合入れてんのよ?みたいな。
開口部をぐるりと囲むように蓮華と蔓。
そのうねりが生み出す動感がハンパない!
その上には(ネットが邪魔で全然見えんけど)龍。
湧き立つ雲間に身を横たえ、力強い眼光で悪しき者の侵入を監視しています。
悪いヤツ!
うっかりココくぐると、がぶっ!とヤられるぜ!
門扉もイケてるわ~。
上部に透かし彫刻をあしらい、ポイントポイントに黒金具を配置。
深く沈む茶色がそこにさらに重厚さを加える。
濃いわ~。
ホントこの門、扉も柱も、隅から隅まで濃いわ~♪
そのガチガチの門を抜けると、正面に本堂、なんだけどね。
んん~~~・・。
木が邪魔や(困)。
既にチラッと書いた通り、このお寺は明治24年に火事に遭い、ほとんどの伽藍を失いました。
現在の本堂はその後8年の歳月をかけて再建されたものです。
このクオリティが素晴らしいのですわ。
まーデカい。
下から見上げると圧倒的なスケール。
さらに造形的美しさにも優れ、細部までみっちりと作り込まれてて、ため息が出るほどの出来栄え。
このズラリと並ぶ組み物、どうですか?(またもやネットが邪魔で見難いけど)
構造的にここまで必要なのか?って気がせんでもないですが、そんなのは問題じゃない。
美ですわ、美。
美しさを追及しての造形ですわ。
こんな事やってたら手間もかかるし、おカネもかかるし、でもやったんですね、美を求めて。
いいもの作るためには一切妥協は許さない、そんな強い意思がビンビン伝わって来ます。
これ作った大工さん、そーとー頑固じじーだったんだろうな(笑)。
そのビッグ本堂の斜め前には鐘楼。
この鐘楼は明治の火事で被災しなかった唯一の遺構だそうで、建造は1695年と、江戸時代前期にまで遡ります。
これもエゲつなく素晴らしいですわな。
ばさっと広がる入母屋屋根、内転びに立てた頑強な粽柱、変則的な亀甲積みで組み上げたテクニカルな基壇。
本堂に負けず劣らずの見事な建築です。
そこに吊り下がる梵鐘。
い~い音出そうだ~♪
お寺の公式サイトによるとこのお寺の梵鐘、戦時中軍に供出させられたため、戦後になって棟方志功(むなかた しこう・版画家)と柳宗悦(やなぎ むねよし・思想家)の協力で作り直されたんだとか。
でもよーく見ると梵鐘の胴部に「平成廿四(平成24年)」の文字。
で、鐘楼の足元を見ると、もうひとつ梵鐘が置いてあります。
これね。
多分戦後に作り直したってのはこっちの方でしょう。
見た感じまだバリバリ使えそうなんですけどね。
って言うか、梵鐘なんてほぼ半永久的に使用可能でしょう。
なんでまた新しく作って取り替えたんですかね?
そのあたりの理由、情報がなく謎です。
その鐘楼の裏手にこんな建物もあります。
茶室。
ちょーっと植木や雪囲いが邪魔でよー見えんですが。
中の様子は不明。
見たいんだけどなー。
せめて雪囲いだけでも取っ払ってくれんかなー。
こちらはその茶室の横にある千代尼(ちよに)碑。
一般的には千代女(ちよじょ)の名前で通っている人で、千代尼は晩年出家した後の名前です。
この人、多分地元の人以外はほとんど知らないと思いますが、江戸時代の俳人です。
朝鮮通信使に21の句をしたためた掛け軸と扇子を贈り、今で言う国際交流に一役買ったんだそうです。
詳しくはすぐ近くに「千代女の里俳句館」という記念館がありますので、時間があれば立ち寄ってみて下さい。
松任四ヶ寺にも数えられている聖興寺。
い~いお寺ですよ。
特に門と本堂は本当に素晴らしいですから、訪問の際にはじ~っくり見てってください。
なお寺内には千代女の記念館「遺芳館」も併設されています。
ちょっとわたしは見てないんですが、館内には数多くの遺墨が展示されているそうです。
そちらも興味があればぜひどうぞ。
関連タグ >> お寺
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