若宮八幡宮 末社編 その1 素通り禁止のザ・神社ストリート
2021年10月02日
白山市にある若宮八幡宮のもうひとつの見所。
それはズラリと並ぶ8つの末社。
末社とは本宮に付随する小さな神社の事です。
「八百万の神」って言葉を聞いたことがあると思うのですが、日本の神さまってそれこそ数えきれないほどたくさんいます。
しかも縁結びとか安産とか学問とか、それぞれに専門分野を持っています。
そんな神さまをお願い事に応じてアッチお参りしてコッチお参りして、なんてやってたら面倒臭くてしょうがない。
そこでひとつの神社に何種類もの神さまを祀る、という不思議な習慣が昔から行われてきました。
その一神社複数神を実現させているのが、この末社システムなのです。
ここで若宮八幡宮の境内地図を確認。
まず入口に一の鳥居。
そこから参道が始まり、その参道に沿って左に6社・右に2社、合計8の末社。
さながら神社ストリートの様相。
しかもひとつひとつの建物がしっかりしてて、それぞれに個性があって。
これらを比較しながら追いかけてみると楽しい~のですよ♪
それでは早速見て行きましょう!
まずはひとつ目、菅原社(すがはらしゃ)。
祭神は菅原道真公(すがはらみちざねこう)。
言わずと知れた学問の神、天神さまですね。
この人は平安時代の貴族で、すげー頭が良かったと言われています。
でもまあ色々あったんでしょうな、晩年に福岡の太宰府へと左遷されてしまい、失意のまま生涯を閉じる事となります。
するとその後都で天変地異や凶事が続けざまに起こり、こりゃ道真の祟りだー!と噂され、その鎮魂のためにお祀りされたのが、今日の天神信仰の始まりとされています。
なので元々のルーツはたたり神なんですね。
社殿はこんな感じ。
屋根は黒瓦の切妻、桁行三間、梁間二間の平入り。
壁は上部白漆喰、下部板貼り。
質素シンプルなつつましい造り。
右側に続いている建物は多分神具庫です。
奉斎の道具やなんかが収められていると思います。
社殿内部の様子。
奥がちょっと窪んでいて、そこに神棚らしきものが置かれています。
この中にご神体が収められているんですね。
上に掛けられている扁額には『神如在』の文字。
ここに神さまいるんだよ~って事を表しています。
続いて大御神社(おおみじんじゃ)。
祭神は天照大御神(あまてらすおおみかみ)、豊受大御神(とようけおおみかみ)。
伊勢神宮の内宮・外宮の神さまですね。
創建は1063年との事なので、本体である若宮八幡宮と同年。
つまりスタート時からこうして末社として存在していた事になります。
恐らく創建に関わった山上新保介(やまがみ しんぼのすけ)、あるいはその上司である富樫介(とがしのすけ)のいずれかが、伊勢神宮との間にパイプを持っていたのでしょう。
社殿はなんかメッチャ民家。
普通にどこかの民家を移築して、若干神社風に味付けしただけでねえの?みたいな感じ。
実際本当にそうかもしれませんね。
ありえなくはない。
一から造るより既にあるものを使い回した方が断然コスト浮くしね。
こちらは社殿の内部。
中央に開口部があって、奥の本殿へと続いています。
本殿内部には高欄(こうらん・手すり)の付いたきざはし(階段)と、その先に両開きの扉。
この扉の向こうにご神体があるって事ですね。
伊勢神宮由来なので、恐らく丸鏡が置いてあるのでしょう。
3社目、舟越社(ふなこししゃ)・白峰神社(しらみねじんじゃ)。
元々舟越社が先にあって(1274年創設)、後から白峰神社が合体した(昭和37年)そうです。
舟越社の祭神は大物主神(おおものぬしのかみ)・少名彦名神(すくなひこなのかみ)。
大物主神は出雲大社の神、少名彦名神はその大物主神と共に全国行脚をして国造りを助けた神ですね。
白峰神社の祭神は崇徳天皇(すうとくてんのう)。
この人も道真同様、流刑によって讃岐に流されて無念の生涯を閉じ、その恨みから数々の祟りを起こしたと言われています。
そしてやっぱり道真同様、鎮魂のため神格化されて、「たたり神」から「いい神さま」に180度イメチェンしちゃったという、よー分からん由縁を持っています。
ちなみにこの崇徳天皇と菅原道真、それに平将門(たいらのまさかど)を加えた3人は「日本三大怨霊」と呼ばれています。
社殿です。
こちらはバリバリ神社してますね。
(ほぼ)左右対称、中央に切妻の向拝を据えて、屋根上には千木(ちぎ・V字型のツノ)がバーン!
この社殿は白峰神社にあったものを持ってきたんだそうです。
なので元々は神社のセンターを飾っていた、メインの建物なんですね。
うん、確かに民家感はないな(笑)。
そして、目ざとい人は既にお気づきかもしれませんが。
逆立ち狛犬~~♪♪
いますわ、ここにも。
後ろ足ぴょこ~~んと立てて♪
疲労感がハンパないですな。
アチコチ欠けまくってボッロボロ。
石材は凝灰岩ですかね?
多分若い石なので柔らかく、雨風で簡単に崩れたのでしょう。
負けるなー!
頑張れーー!!(逆立ちを)
4社目、子安社(こやすしゃ)。
祭神は木花咲那姫命(このはなさくやひめのみこと)。
天照大御神の孫で天孫降臨の主役である邇邇芸命(ににぎのみこと)の奥さんです。
クセの強い神さまで、不貞の潔白を証明するために産屋に火を放って出産したという謎な武勇伝(?)を持っています。
平成16年に奉納とのことなので、作ってまだたったの17年。
見ての通りのミニマムサイズで、島崎亮という大工の棟梁さんの作だそうです。
カッケーな。
小さいがゆえに技術がぎゅっと凝縮されてて。
アンバランスにデカい屋根上の大棟がめっちゃイカシますわ!
と、今回はここまで。
残り4つの末社は次回ご紹介します。
あんまり末社までいちいち見る人はいないと思うんですけどね。
でもこの神社の末社は、本当に数も質も充実しててね、神社LOVE魂をくすぐるのですよ。
残り4社もイケイケですゼ!
関連タグ >> 神社 逆立ち狛犬 若宮八幡宮
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