若宮八幡宮 古代と現代が交錯する不思議な空間
2021年09月29日
全国に約44,000社あると言われる八幡宮。
白山市にある若宮八幡宮はそんな中のひとつです。
創建は平安時代末期の1063年、源氏と平氏がザワザワし始めるちょっと前。
当時鎮守府将軍だった源頼義(みなもとのよりよし)の命によって興されたとされています。
建設に当たって具体的に動いたのは、この地の有力者であった富樫介(とがしのすけ)の家臣であった山上新保介(やまがみ しんぼのすけ)。
伝説によると一夜にして鎌倉の草木生い茂る森が出現し、その地を社地と定めたのだとか。
んなわきゃないのですが、それが今の若宮八幡宮に繋がっている、という事らしいです。
まず入口にガンとそびえるのが一の鳥居。
石造りの明神鳥居です。
鳥居も立派ですが、その先に続く参道がいいですわな。
高木がかぶさるように生い茂ってて、幽玄なムードむんむん。
これから神域という別世界に入り込むんだ~っていう、独特の緊張感が伝わってきます。
鳥居をくぐるとすぐ左手に見えるのが、こちらの常夜灯。
見るからにレトロチック。
作られたのは明治35年。
一見何なのか意味不明ですが、恐らく燈篭って事なのでしょう。
火袋の部分にギヤマン(色ガラス)がはめ込まれたスタイリッシュなフォルムは、西洋文明が一気になだれ込んだ明治という時代を象徴するかのような斬新さです。
かつてここには毎晩明かりが灯され、神社の入口を照らしたんだとか。
幻想的ですな。
今やっても夜のデートスポットとして人気が出そう。
そしてその先にズバッと参道が続くわけですが、すげーのですよ、ココが。
左右に末社がズラズラーっと8社。
ほとんど神社のデパート状態。
何のコレクションだよ?みたいな(笑)。
これについてひとつひとつ紹介していくと話が長くなるので、次回改めて。
とりあえず今回はスキップ。
そしてどどーんと登場、拝殿。
赤瓦のかぶさった、横広の建築です。
社殿を覆うアルミサッシが少々物悲しいですわな。
近年こんな神社が増えてますが、建築を思いっ切り堪能したい建築マニアにとってはこんな邪魔なものはない。
撤去して欲しいーー!!!
この拝殿、内部がね、すげーイカしてるのですわ。
中央に架かる大きな扁額は『神功皇后渡韓之図』。
神功皇后(じんぐうこうごう)とはこの神社の祭神である八幡神、つまり応神天皇(おうじんてんのう)の母親。
伝承によれば彼女は身重のまま今の朝鮮半島へと攻め込み、新羅・百済・高麗を服属させ、その後に帰国して誉田別尊(ほむたわけのみこと・後の応神天皇)を出産したのだとか。
この絵はその三韓征伐の様子を描いたものですね。
いや~シブいな~。
これ見ただけで、この神社来て良かったな~って思わせる、素晴らしい絵です。
そして拝殿の前にはもうひとつ素晴らしいものが。
逆立ち狛犬~~~~♪♪
しかもここは左右両方ともが逆立ち狛犬。
うれしい~~~♪
狛犬が逆立ちしているっていうのは、金沢を中心とするこの地方独特の文化。
他県にも同例がない訳ではないのですが、その存在は極めて稀。
こんだけゴロゴロ見付かるのは、日本中探してもここだけなのです。
拝殿の左には絵馬殿。
と言っても絵馬なんかどこにもなく、単に倉庫になってます。
中には神輿などの神具もあるのですが、なぜかタイヤとか台車とか段ボールとか訳の分からんものも色々。
手当たり次第に詰め込まれててゴッチャゴチャ。
いや~生活の臭い感じるわ~(笑)。
反対側には土蔵。
神社の境内案内によると「御神輿堂」という事になっています。
でも神輿は先に見た絵馬殿に片付けられてるのでね。
ここが実際に神輿の収蔵庫として使われているのかは不明。
中の様子は見えませんが、単に物置として使われている可能性大。
ただ平安末期から続く古社ですのでね、大量のお宝が眠っている可能性も大。
一体何があるのか?
ん~~~中見てみてーーー!!!
境内の様子を一通り見たら、裏手にも回ってみてください。
ぽこっと四角いエリアが現れます。
これは神饌田(しんせんでん)と呼ばれるもの。
要するに神に捧げる米を作る田んぼです。
神事としての稲作が行われ、秋には稲の奉納式が行われます。
伊勢神宮なんかにもある、古代から残る風習です。
古社ゆえに様々な時代の名残りが混在した若宮八幡宮。
なんか結構カオスなんですけどね、でもいいのですよそれがまた。
この神社を参拝する時は、そんな時代時代の痕跡をひとつずつ拾いながらご覧ください。
次回は今回紹介し切れなかった末社について見て行きます。
この神社はメインだけじゃなくて、これらの小神社もイカしてるのですよ。
つぶさに見て行くと楽しいですよ~。
関連タグ >> 神社 逆立ち狛犬 若宮八幡宮
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