末寺山古墳群 古墳マニアの心くすぐる前方後方墳が3基も見られるレアスポット
2021年08月25日
古墳と言えば、前方後円墳を思い浮かべる人が多いでしょう。
確かにあの鍵穴形はまさに古墳の象徴。
ある意味アート的な気質さえ感じさせます。
でもね、中には方墳と方墳がドッキングした古墳もあります。
それが前方後方墳。
前も後ろも四角形の古墳です。
その特殊な形状からか数はあまり多くなく、古墳としてはマイナー。
そんなマイナーな前方後方墳を3基も見られるのが、ここ末寺山古墳群です。
まずは全容の確認。
古墳の数は全部で14基。
ただナンバリングが17まで進んでいる事から分かる通り、本来はあと3基ありました。
つまり3基消失。
残念!
入場はどこからでも構いませんが、基本的には下の入口が正規の入口です。
駐車場はありませんので、すぐ近くにある能美ふるさとミュージアムの駐車場を利用してください。
では現場を見て行きましょう。
まずはいきなりですが、末寺山古墳群最大の古墳、6号墳。
分からんね。
形が全然分からんね(汗)。
ドローンでも使わんと全形の確認は無理です。
公式発表によると、全長約57メートル。
結構な大きさです。
こちらは後方部の様子。
まるで亀裂のような溝がパックリと開いています。
これは発掘の跡ですね。
ガッツリ掘り込んであります。
でもここまでやっても何も出なかったんだそうで。
って事はこの古墳は単に土の山を盛っただけなんですかね?
一体何のために??
その隣にある7号墳。
6号墳と違って規模はぐっと縮小、高さも低いなだらかな円墳となっています。
サイズと形から考えて、恐らく中級レベルの人の墳墓でしょうね。
6号墳との関係は不明ですが、位置関係から察するに何らかの繋がりがあった可能性が濃厚。
例えば6号墳は首長墓、そして7号墳はその臣下とか。
詳しくは埋葬者に聞いてください。(※生きてません)
こちらもぱっくり溝が彫られています。
発掘の痕跡ですね。
和田山の古墳なんかだと、全部埋め戻してきれいに成形し直してあるんだけど、ここは掘るだけ掘ってそのまんまほったらかし。
なんちゅーか、まあ。
雑やな(笑)。
こちらはもうひとつの前方後方墳である5号墳。
全長約30メートル。
やっぱり全体の形が分からなくてゴメンナサイ。
画像左が前方部、右が後方部となります。
形としてはこんな感じ。
後ろデッカチで、かなりいびつな前方後方形をしています。
ハッキリ言ってブサイク。
5号墳はかなり初期のものなので、まだまだ築造技術が未熟だったのでしょう。
参考までに前回記事で見た秋常山古墳1号墳は、この約100年後のものです。
100年の間にどれだけ古墳築造技術が進歩したのか、これら両者の違いを見比べてみると実によく分かります。
その5号墳のすぐそばにある2号墳。
この古墳群に現存する3基の前方後方墳の最後のひとつです。
現場はご覧の通り全くの未整備。
普通に山の中です。
木がにょきにょき、草ぼーぼー。
でも考えてください、考古学者の人ってこんな景色の中から古墳を探し当てるのですよ。
ちょっと信じられなくありません?
くどいですけど普通にただの凹凸ですわ、どう見ても。
どうやったらこれが古墳に見えるのか?ある意味これが一番のミステリー!
2号墳の近くに柵に囲まれた謎に四角形な土山があります。
見た感じ、え?これも古墳でね?って感じ。
これね、古墳じゃないんです。
上水道の貯水タンクです。
わざわざ土で埋めてあるのは、多分古墳の遺跡地という雰囲気を壊さないためでしょう。
ただここにも本来は古墳がありました。
今は失われた3号墳と4号墳がまさにこの場所にあったのです。
それがこの貯水タンク建設に伴い、潰されちゃったんですね。
人の生活を取るか?遺跡の保存を優先するか?
なかなかに悩ましいテーマです。
希少な前方後方墳が3基も見られる末寺山古墳群。
整備状況がやや中途半端ながら、見応えは十分です。
古墳好きを自負するなら、ここは絶対に見ておいてください。
次回は能美古墳群シリーズ最終回、寺井山古墳群を見て行きます。
住宅街の中にぽつーんと残された古墳。
ここもなかなかに味があっていいですよ~。
末寺山古墳群
住所:石川県能美市末寺町
関連タグ >> 遺跡 古墳 能美古墳群
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