店主たみこの観光案内ブログ

秋常山古墳群 デケー前方後円墳と中に入れる方墳に心アゲアゲ♪

2021年08月23日

秋常山古墳群

 

能美古墳群探訪最大のクライマックス、それがここ秋常山古墳群です。
なぜならここには能美古墳群の中でも最大、というか石川県内最大の前方後円墳があるからです。

その全長実に140メートル!
全長50メートルの超大型巨人が寝そべってもまだ90メートルのお釣りがくるというデカさ。
エレンも真っ青のサイズです。(←何の話?)

 

秋常山古墳群の全体図

 

秋常山古墳群マップ。

 

「群」と言っても、古墳は2基だけです。
メインとなるのが前方後円墳の1号墳、その隣に方墳の2号墳。
築造は1号墳が4世紀後半、2号墳が5世紀半ば頃と推定されており、確証はありませんが、両墳の被葬者には何らかの繋がりがあったと考えられています。

 

1号墳の階段

 

まずは1号墳、を見上げる階段。

 

伝わりますかねー、この高度感?
下から見た瞬間、うおっ!高ぇー!みたいな。

 

高さってのはそれだけで絶対的なイメージを抱かせますからね。
神話の神さまだって雲の上とか空とか、はるか上にいるのが基本ですし。
古墳が丘や山の上といった高所に建造されたのは、やはり崇拝の対象としての意味合いがあったのでしょう。

 

葺石

 

その途中にあるのがこの葺石(ふきいし)。
ただしこれは再現です。

 

葺石とは古墳表面を覆う石です。
こうして石でカバーする事で表土の流出を防ぎ、同時に美観を整えるのです。

 

使用された数は推定40万個。

ここから数km離れた手取川から運ばれたと考えられています。

 

墳丘の段

 

墳丘の傾斜の作り方にも注目。

よく見ると一直線のラインではなく、段状になっています。
段の数は古墳によって違いますが、この秋常山1号墳の場合は3段。

 

この段の作り方ってのが意外に面白く、時代によって流行り廃りがあります。

基本的に前方部と後円部の段が途切れているのが前期型、繋がっているのが後期型。
秋常山1号墳は前後が繋がった後期型で、それゆえ見た目がビシッとシャープになっています。

前方後円墳の完成形とも言える美しいフォルムです。

 

秋常山1号墳の墳頂

 

そして最上段の後円部。
ドローン撮影じゃないので全景の画像が撮れませんが、現場はちゃんと円形をしています。

 

素晴らしいのですわ、ここからの眺めが。
周囲一帯をずばーっと見渡せる。
丘の上+古墳の上ですからね、とにかく目線が高い。
ここに立つと、この地が古墳建造の場所として選ばれた理由がよく分かります。

 

秋常山古墳群の説明版

 

この古墳、実はまだ発掘されていません。
なのでこの下を掘れば間違いなく「何か」が出てきます。

 

じゃあなんで掘らないのかと言うと、現状維持のため。
以前の記事でも書きましたが、「掘る」という行為はイコール「破壊」にも繋がるんですね。
一旦壊してしまうと、二度と元には戻せない。
ゆえに発掘を先送りし、こうして保全してあるのです。

 

一体この下に何が埋まっているのか?
ん~~~~ロマンだ♪

 

前方部の様子

 

後円部から見下ろした前方部。
形状はご覧の通りフラットとなっています。

 

ひと口に前方後円墳といっても色んな形状があります。
このように前方部がフラットになったもの、あるいはスロープ状のもの。
前方部と後円部とで高さが違うもの、同じもの。
あるいは先に見た通り、前後で段が繋がっているもの、切れているもの。
そもそも段があるものないもの。

 

そんな細かい所にも注目していくと、古墳それぞれの個性がよりハッキリと見えるようになります。
古墳を見学する時には、形状の違いにも意識を向けてみてください。

 

秋常山2号墳

 

続いて2号墳。
ご覧の通り方墳となっています。
サイズは32.5×27メートル。

 

こちらは1号墳とはまた違った楽しみ方ができます。
何が楽しいって、中に入れるのです!

 

秋常山2号墳の入口

 

その入口がここ。
見た目鉄の扉でバッシーンとシャットアウトされているような感じですが、勝手に入ってオーケーです。
どうぞ遠慮なく入ってください。

 

内部の様子

 

中の様子はこんな感じ。
なんか薄暗くてミステリアスなムードむんむん。

 

左側に窓が見えますよね。
そこから埋葬室の様子を見ることができます。

 

秋常山2号墳の石室

 

それがこちら。
メッチャ生々しい!

 

と、一瞬感動してしまいますが、実はこれ、模型です。
残念ながら本物ではありません。
触ると分かるけどコンクリートで作られてて、その上から着色してソレっぽく仕上げられているだけです。

 

でもね、それが分かっててもわくわくするのですよ。
なんたって古墳の「中」にいるんですからね、それだけでもう感慨ひとしお。
古代のミステリアスな空気を頭からかぶっているような不思議な気分になれます。

 

墳頂上の埴輪

 

古墳上には埴輪も並べられています。

 

埴輪と言えば、おーい!ハニ丸的な(←?)人型埴輪を思い浮かべがちですが、こちらは「円筒埴輪」と呼ばれる、また別の種類の埴輪。
何らかの儀礼的、あるいは宗教的な意味があったと考えられていますが、詳細は不明。

今も研究者の頭を悩ませている、何気に厄介なシロモノです。

 

何がしたかったんでしょうかね、古代人?

知りたいーー!!!

 

秋常山古墳群の入口

 

以上、秋常山古墳群のレポートでした。

 

いいですよ~ココ。
見学用に整備されているので、古墳の形がくっきり視認できて充実感抜群!
おお~古墳来た~って気分が存分に味わえます。
古墳好きならずとも一度は訪れて欲しい場所。
ぜひ現場の空気を肌で感じて、その独特の世界観を思いっ切り堪能してみて下さい。

 

次回は末寺山古墳群を見て行きます。
こちらはひとつの山の上に数基の古墳がぎゅっと詰まった密度の高い場所。
古墳フリークには夢のワンダーランドです!

 

 

秋常山古墳群

住所:石川県能美市秋常町

ホームページ:能美市公式サイト

 




エリア >> 石川県 > 能美市 > 秋常町

 

関連タグ >> 遺跡 古墳 能美古墳群 

 


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