
布市神社 拝殿と本殿の不自然な連結構造を解析
2021年07月31日

ののいちカミーノのすぐそばに小~さな神社があります。
布市神社(ぬのいちじんじゃ)です。
この神社、何気に古くて創始は1063年、なんと1000年近くも昔です。
1000年って結構なモンですよね。
平安時代ですからね。
そろそろ武士が台頭し始めるかな~、くらいのタイミング。
見た目地味ですが、なかなかに歴史ある神社です。

そんな布市神社の入口にガツン!とそびえるのがこの石の明神鳥居。
内転びの柱、すらりと反りの入った笠木、そこにざっと垂れ下がった注連縄。
実に落ち着いた風合い。
そしてその美麗鳥居の下にいるのです、アレが。
わたしの大~~好き♪なアレが!

逆立ち狛犬ーー!!!
ぐっと歯を食いしばり、前脚で体を支え、両後脚を懸命に天に向けるこの姿。
素晴らしい!
逆立ち狛犬こそ狛犬界のスーパースター!
逆立ち狛犬がいる限り、わたしは神社を回り続ける!!
逆立ち狛犬、フォーエバーーーー!!!!(←興奮し過ぎ)
って事で、大好きな逆立ち狛犬の紹介が終わったし、今回早くもノルマ終了なのですが、そういう訳にもいかないので、もうちょっとだけ見て行きましょう。

狛犬を背に境内を進むと、右手に大きな木が見えてきます。
「大公孫樹(おおいちょう)」と呼ばれる神木です。
なんでも樹齢500年なんだそうで、言われてみると確かに疲労感むんむん。
幹の一部が縦に大きくバリっと割れてて、傷口には薬が塗らてるっぽく、真っ青になっています。
多分雑菌やウイルスなんかが入り込まないように処理してあるのでしょう。
樹も人間と同じなんですね。
歳を重ねると色々ケアが必要。
お参りに行っても汚い手でベタベタ触ったらダメですよ!

その反対側に行くと、謎な石が置いてあります。
雨乞石(あまごいいし)です。
この石、妙な伝説がありまして、日照りが続く時に担いで町内を回ると雨が降るんだそうです。
誰が考えたんですかね、そんな根も葉もない話?
なんで石担いで歩いたら雨が降るのか全く意味不明。
根拠が分からん。
なお現在はコンクリートでガッチガチに固定されてますので、絶対持ち上げられません。
従って検証不可能。
残念!!

そのさらに向こうにふたつの小さなお社があります。
手前が天満宮、奥がお稲荷さま。
まずは天満宮から。
社殿はシンプルな一間社流造(いちげんしゃながれづくり)。
木材の黒茶色と銅板屋根の深緑がしっくり馴染んだ趣のあるお社です。
横には絵馬が掛けられてますね。
天神さまと言えば菅原道真、道真と言えば学問の神。
こうやって合格祈願の願掛けに訪れる人がいるんですね。

そして隣のお稲荷さま。
鳥居こそシンボルカラーの赤じゃありませんが、社殿はしっかり赤です。
お社がなぜ大小ふたつあるのかは不明。
多分何かの事情で他所から持ってきたものを一緒に祀ってあるんじゃないかな~と思うのですが、特にそれに関する案内や説明はありません。
どうしても気になるって人は直接神社に聞いてください。

そして拝殿です。
どどーんと境内中央にそびえています。
梁間二間、桁行三間、入母屋造りの平入。
こうやって漢字ズラッと並べるとなんかお経みたいですが、「側面の柱が3本」、「正面の柱が4本」、「入母屋形の屋根で横から入る形」って意味です。
分かんなきゃ別に深く考えんでもいいです。
建物としては特に大きな特徴のないオーソドックスな造り。
むしろ目につくのはその手前にある金属製の灯篭で、めっちゃめちゃスタイリッシュ♪
ああ・・持って帰りたい・・・。(※普通に窃盗です)

スタンダードな外観とは裏腹に、中はなかなかに魅力高密度。
太い柱がガンガンと立ってて、その奥に板間がバリっと伸びてて。
そして注目なのが祭壇。
ちょーっと分かりにくいのですが、丸鏡を乗せてある台に龍の彫り物が装飾してあります。
それがンま~~イケイケ♪
そして天井に掛かる奉納画。
荘厳に彩色された古代の宮殿の様子。
これもカッコエーな~。
もーイカし過ぎッッッ!!!

その拝殿の裏には本殿。
通常拝殿と本殿ってのは真っすぐに繋げるのですが、こちらはご覧の通り通路だけやや左にズラしてあります。
ちょっとイレギュラーな形。
なんでこんな事やってんのか?
ここで思い出して欲しいのが、さっき見た拝殿内部の様子。
奥から光が差し込んでますよね?
もし拝殿と本殿を繋ぐ通路を中央で連結しちゃったら、通路が影を作ってあの光は入って来ないのです。
でもこうして脇にズラす事で拝殿と本殿の間に空間が生まれ、後ろから光がぱっと差し込んで来るのです。
そしてこの光が神棚を後光のように照らし出し、強力な神々しさを演出するんですね。
何気にこの社殿の設計、テクニカルなんですゼ!

小っちゃくて、目立たなくて、地味だけど、何気に色んな面白さの詰まった布市神社。
お参りの際にはどうかひとつひとつ、じ~っくりとご鑑賞ください。
なおお正月と10月のお祭りには拝殿の扉が解放されます。
内部の奉納画をしーーーっかり見たいって人は、そんなタイミングで行ってみるのが狙い目かもしれません。
関連タグ >> 神社 逆立ち狛犬
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