誓法山 金前寺 日本一モダンスタイリッシュなファンタスティック鐘楼にシビれよ!
2021年05月05日
かの今昔物語にも登場する古刹、誓法山 金前寺(せいほうざん こんぜんじ)。
創建は今から1300年前も昔の736年(奈良時代)。
聖武天皇が全国に国分寺を建てるぞーと言い出す、ちょっと前くらいの頃です。
当時の敦賀は結構メジャーだったんですよね。
何気に日本初の歴史書である『古事記』や『日本書紀』なんかにも名前出てくるし。
仲哀天皇(ちゅうあいてんのう)の頃(弥生時代)には既にあったと言われる気比神宮もあるし。
古代世界の裏日本においては、トップクラスの大都市でした。
そんな古い古~い歴史を持つ敦賀にある古い古~い歴史を持つ金前寺。
このお寺がイケてましてね。
カッコ良さハンパない!
寺地こそ小さいものの、色んな楽しさがぎゅーーーーっと詰まってて、飽きない!飽きない!
ではひとつずつ見ていきましょうか!
まずは鐘楼。
いきなりですが、これがわたしの一番のお気に入り!
ザ・コンクリート製鐘楼。
コンクリートですよ、コンクリート。
なのにどーですかこのスタイリッシュさ?
お寺の鐘楼と言えば古臭ーい石垣基壇に木造建築ってのがド定番なのですが、ここに遭えてコンクリートを持ってくる勇気。
しかもスベってない。
全ーーー然スベってない。
ビリッビリにシビれる程のカッコ良さ!!
どこの誰よ、こんな素敵な鐘楼デザインしたの??(喜)
鐘の縦帯(じゅうたい)には「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」の金文字。
これは真言宗の宝号、つまり教えの根幹となるお経です。
その意味を分解すると以下の通り。
「南無」=「従う」
「大師」=「空海」
「遍照金剛」=「空海の灌頂名(かんじょうめい・仏の教えを継承した者の名前)」
つまり空海の教え(真言宗の教え)に従う、という意味になります。
その横には一体のお地蔵さま。
水子地蔵です。
頭上に円光を輝かせ、右手に錫杖、左手に赤子。
ひざ元にも2人の赤子。
生まれたくても生まれてくることができなかった水子たちを、こうして日々弔い、慈愛で包んでいるんですね。
後ろの棚に並べられているのは参拝者のお供え物でしょう。
本当は生まれてきて欲しかった親たちの悲しみと、あの世での幸せを願う愛情が感じられます。
そのさらに横には五重塔。
サイズはやや小さめで、基壇1.3メートル、塔身6メートル、相輪(そうりん・塔の上に付いてるアンテナみたいなもの)2.5メートル、合計9.8メートル。
五重塔と言えば法隆寺のもの(31.5メートル)が最も有名で、それゆえにサイズ的にもあのイメージが強いと思いますが、別に高さはどうでもいいんです。
そもそも仏塔の役割とは仏舎利、つまり釈迦の骨を収めるための施設です。
なのでその要件を満たしていればそれでよく、別にメチャメチャ高い必要はないし、高ければ高いほどありがたいってものでもないのです。
これもイケてましてね。
スモールサイズゆえダイナミックさには欠けますが、逆にそこから生まれる精巧感が格別。
細かいパーツがカチカチと緻密に組み合わさり、それらが1ミリの狂いもなくぴしっと並んだ光景には、職人さんの高い技術と気の遠くなるような手間暇が垣間見えてきます。
その姿はまぶしいほどに美しく。
もーーーーーーーーっっっ!
持って帰りたいくらい素晴らしい!!(※注:持って帰ってはいけません)
そして本堂です。
形は方形(ほうぎょう・正方形)、屋根は鮮やかな反りの入った寄棟屋根。
天頂の宝珠と屋根の形との連続性がいいですわな。
まず仏の教えが天にあり、そのありがたい教えが衆生へと末広がりに伝播していく。
そんなストーリーが感じられます。
中はこんな感じ。
手前、畳敷きの空間が参拝者の控える外陣、奥の仏さまのいる場所が内陣。
内陣天井からぶら下がるキンキラキンの装飾が、いかにも仏教的。
お寺の内陣って大概どこもこんな感じで飾られてますが、これには意味があります。
仏教のお経で語られる極楽浄土とは、どうもこんな世界らしいのです。
池があって花が咲いていて、建物や木々はみんな黄金や七宝でできていて・・・みたいな。
とにかく夢うららな世界、らしいのです。
と言っても、そこに行くためには厳しい修行が必要なんですけどね!
ちょっと仏像部分をクローズアップしてみましょう。
中央に鎮座するのは十一面観音。
このお寺のご本尊です。
脇侍として左に毘沙門天、右に不動明王。
右側に座っている上人像は多分空海です。
さてここでちょっと仏教についてご存知の方なら、おや?と思う点があると思います。
それは本尊。
通常真言宗の本尊は大日如来が定番となっています。
それがこのお寺では十一面観音。
これはなぜか?
実はこのお寺、空海が生まれるより前に建てられています。
その時点で既に本尊は十一面観音。
やがて空海が真言宗を興し、真言宗では大日如来を第一としましたが、このお寺の本尊はもう十一面観音と決まっていたので、それがそのまま受け継がれてきたのです。
そしてこの十一面観音、冒頭でチラッと話した今昔物語に出てくるんですね。
なので余計にその名高い十一面観音を本尊から外したくない、というお寺的事情もあるのです。
お寺の裏にはこんなものもあります。
歓喜天堂(かんきてんどう)。
歓喜天とは愛欲の神さまです。
象の頭をした人間が二人抱き合ってる像、見たことないですかね?
あの神さまです。
基本的に仏道修行とは禁欲修行であり、そういう意味で煩悩全開とも言えるセックスはタブーなのですが、この歓喜天はなぜかセックスオーケーとされています。
象人間二人が抱き合ってる姿がその象徴で、あれは片方が天女に変身した観音さまと言われています。
どうしてもセックスを我慢できない歓喜天に対し、この天女のみセックスしてもいいから、それで我慢しなさい、って事なんだそうで。
・・・んーー仏教よー分からん(笑)。
そんな歓喜天堂の中はこんな感じ。
中央に真っ黒な厨子がありますよね?
この中に歓喜天が祀られています。
ただどんなものが祀られているのかは不明。
像かもしれないし、画かもしれないし、象徴的な何かかもしれないし。
基本的に歓喜天ってのは秘仏で、こうして誰にも見えないようにクローズしちゃうのが通例とされています。
見たいなー。見たいなー。見たいなー。開けて欲しいなー。(←何でも見たがり)
小っちゃいけど楽しさの密度感がハンパない金前寺。
イケてますゼ!
このお寺は本当にイケてますゼ!
場所は金ヶ崎城のすぐふもと。
敦賀まで来る機会があればぜひ訪れてみてください。
なおわたしイチオシのモダンスタイリッシュ鐘楼は鐘つきフリー。
参拝の記念にごーーーーーんと鳴らしてみてください。
いい音出ますよ~~~!!
関連タグ >> お寺
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