
のと里山里海ミュージアム 建築編◆前後で謎に違う建物の意味を解く
2021年05月01日

七尾の港をちょーっと内陸側に入ったところにモダンな建築があります。
のと里山里海ミュージアムです。
能登歴史公園の一角にシャッキーン!と建っています。
開館はごく最近の2018年。
だからまだピッカピカ。
公園内って事もあり、ひょいっと入れる敷居の低さが魅力です。

建物は前後2棟を中央通路で繋ぎ、前部分は木造(本当は鉄筋の疑木造)、後ろ部分は打ちっぱなしのコンクリートとなっています。
一見統一感のない、アンバランスな構成。
ただね、建築家さんってのは意味もなくこんな事をしないのですよ。
”わざわざ”こんな事をするからには、そこに必ず何か「意図」があるのです。
その辺、ちょっと見ていきましょう。

まず前部のこの疑木造の建物。
木造・平屋・切妻屋根・周囲にひさし。
見る人が見れば一発で気付くのですが、これ、明らかに古代建築がモチーフとなっています。
昔の建物、特に奈良・平安時代の頃によく見られたスタイルです。

参考までに、こちらは以前このブログでも取り上げた上荒屋史跡公園にある復元建築。
遺跡発掘の調査結果を元に、ほぼ当時の姿を再現しています。
時代はおよそ飛鳥~奈良時代。
ご覧の通り、木造・平屋・切妻屋根・周囲にひさし、の条件を全て備えています。
規模こそ違えど、ほぼ同じ構造ですね。

続いて後ろのコンクリートビルディング。
自然素材を使わない、コチコチの現代建築ですね。
ここで注目して欲しいのは「現代」というキーワードです。
前の建物では古代を主張、後ろでは一転して現代を主張。
ここに何が見えるかと言うと、「時代の流れ」です。
こうして古代→現代と異なる時代の建物を並列させる事によって、人が繋いできた発展と時の移り変わりを表現しているのです。
そう思って改めて建物全体を見てみると、どうです?
先に感じた違和感、氷解しません?

では早速中に入りましょう、となるのですが、ちょっとその前に!
後ろのコンクリートの方の建物、屋上に登れるようになっています。
せっかくなので登ってみましょう。
登り口は左側、建物の連結部分にあります。
室内じゃなくて外部。
うっかりしてると見逃してしまうので注意してください。
壁面に設けられたスロープの通路をぐるーっと一周すると、屋上まで出られます。

その先で見られるのがこの眺め。
スカーーーッと爽快!!
遮るものが何もない、山と平地。
ザ・田舎!(←?)
でもね、多分ここにわざわざフリーに登れる屋上を設けたのは、この眺めを見せたいからじゃないんですよ。
恐らくコレを見てもらいたいのでしょう。

すぐ隣にある能登国分寺跡。
こちらは国分寺の遺跡で、現在は公園化されています。
本当ならもうちょっと復元しても良さそうなんですが、予算の関係ですかね、ものすごーく中途半端な形で整備されています。
とは言え、貴重ぉーーーーな歴史遺産。
それを上空からこうやって俯瞰できるようにしてあるんですね。
これ、なかなかニクイ演出ですよ。
本来なら水平面からしか見られない眺めを上からザッと見られるんですからね。
わたしみたいな遺跡好きのアホにはアホほど嬉しい仕掛けです!

以上、のと里山里海ミュージアムの建物を中心に見てきました。
おい、中の話はナシかよ?とお思いかもしれませんが、大丈夫。
次回やります。
ってコトで、次回は中の様子をレポート。
こちらも面白さがぎゅっと詰まってて、楽しいですよ~♪
関連タグ >> 美術館・博物館 能登歴史公園 のと里山里海ミュージアム 近代建築
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