四柱神社 「惟神」ってどんな意味?っていうか何て読むの?
2021年04月28日
四柱神社、こう書いて「よはしらじんじゃ」と呼びます。
なんで柱が4つかと言うと、4柱の神さまを祀っているからです。(※神さまを数える時の単位は「人」ではなく「柱」)
その4柱の神さまとは以下の通り。
・天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)
・高皇産霊神(たかみむすびのかみ)
・神皇産霊神(かみむすびのかみ)、
・天照大御神(あまてらすおおみかみ)
天照大御神の名前を知らない人はいないと思いますが、それ以外の3柱の神さまについては「???」って人がほとんどだと思います。
これら3柱の神さまは日本神話の中でも別格の存在とされており、「造化三神(ぞうかさんしん)」と呼ばれています。
何が造化かと言うと、それこそ無数とも言える八百万の神々の中で最初に生まれたのがこの3柱の神なのです。
つまり全ての神々、そしてこの世界の全ての根源という事ですね。
だから「造化」なのです。
で、具体的に何をしたかと言うと、特に何もしてません。
ただ名前だけぼ~~っと現れて、そのまま何をするでもなくぼ~~っと消えて、終わりです。
その後の神話の中でもチラッと登場するものの、活躍らしい活躍はほぼありません。
始めに現れた神さまという以外特に取り上げ所のない、影の薄~い神さまです。
興味のある人は古事記を読んでみてください。
そんな造化三神に天照大御神を加えた4柱の神を奉じる四柱神社。
ここがもーイケてましてね!
まず入口でいきなり反り橋を渡らされます。
この橋は「御幸橋(みゆきばし)」と呼ばれるもので、天皇陛下に渡っていただくために架けられた橋です。
なんでも明治13年の天皇巡幸に合わせて作られたんだそうで、天皇陛下がいらっしゃることを「御幸」と呼ぶことから、御幸橋の名が付いたんだそうです。
確かにずいぶん作り込んでありますよね。
石敷きに石の欄干、中途半端に朱色でべたべた染めず、石の肌をそのまま剥き出しにした重厚感満点のビジュアル。
武骨さあふれる威容が、神域の入口としての風格をぐっと引き締めています。
橋を渡ってすぐ右側にあるのが招魂社(しょうこんしゃ)。
招魂社とは戦没者を祀る神社です。
石川県で言えば石川護国神社ですね。
ここの社殿がまた素敵なのですわ♪
それがこちら。
コッテコテ古代風な、高床式の木造神明造。
この建物、見る人が見ると、お、伊勢神宮!とすぐにピンと来るはず。
実際このお宮は伊勢神宮からの払い下げ材で作られたものです。
伊勢神宮では20年に1度「式年遷宮(しきねんせんぐう)」と呼ばれるお宮の作り替えが行われます。
それに伴って出てきた古いお宮の廃材は、全国の色んな所縁のある所に払い下げられるのですが、そのひとつがこのお宮という訳です。
ちなみに伊勢神宮の主祭神はここと同じ天照大御神です。
そしていよいよメインの拝殿です。
これもドえらくカッコイイのですわ!
ざっとかぶさる大屋根。
両端に向かって伸びる反りのシルエットが軽快で、銅板の深緑色が重厚で。
中央には千鳥破風+唐破風の二重破風。
曲線+曲線の柔らかなラインで、フロントマスクを美しく彩ります。
建造は大正13年との事で、い~い感じに木材が黒ずんで貫禄が出てきてますね。
でもまだちょっと軽い。
あともう50年くらいしたら、さらに重みが出て風格が増してくるでしょうね。
中は奥行きがたっぷりあり、霊力満点の静謐な空気でむんむん。
なんかこのまま引き込まれてしまいそうな、荘厳な雰囲気です。
上に掲げられた扁額がやたらと目を引きますね。
中央には「惟神(かんながら)」と大書された金の文字。
惟神とはちょっと聞かない言葉ですが、”神の道に従う”という意味があるそうで、この場合の「神」とは「天つ神」を指します。
日本神話に登場する神さまには天にいる「天つ神」と、地上にいる「国つ神」、あと黄泉の国にいる神、の3種類の神さまがおり、この神社の祭神である4柱の神さまはいずれも「天つ神」に属します。
つまりそれら4柱の導きに従う、という意味なんですね。
って、わたしも色々調べたから分かるんですが、ひと目「惟神」の文字を見ただけでここまで理解できる人はほとんでいないでしょうね。
って言うか、読めんし(笑)。
境内には他にこんな場所もあります。
「伊勢神宮遥拝所」。
遥拝所とは遠い所にある神社や神さまを拝むための場所です。
つまりここをお参りすれば、伊勢神宮をお参りしたのと同じ事になるのです。
この四柱神社は先にも出てきた通り、伊勢神宮と浅からぬ縁があります。
多分ここで祀られている天照大御神も伊勢神宮から勧請(かんじょう・神さまを分霊すること)して引っ張ってきたものなのでしょう。
そして拝殿の横にはもうひとつ、こんなものもあります。
「恵比寿神社」。
七福神の1柱、”えべっさん”を祀った神社です。
この神社では事代主神(ことしろぬしのかみ)と大国主神(おおくにぬしのかみ)の2柱の神さまが祀られています。
事代主神は恵比寿さんと同体とされており、もう一方の大国主神は大黒さまと同体とされています。
2柱合わせて「恵比寿・大黒さん」、つまり豊漁・豊穣を象徴している訳です。
きっと町や地域の発展を願って建てられたものなのでしょう。
様々な面白さが入り乱れる四柱神社。
境内自体はそれほど広くないですが、それだけに多くのエッセンスがぎゅっと詰まった密度の高い場所です。
ご参拝の際にはそれらひとつひとつに目を通し、思いっ切り楽しんでってください。
なおこの神社は縁結びに特にご利益があると言われています。
素敵な彼女・彼氏が欲しいーーって人はぜひ力強くお参りを。
ま。
わたしみたいに地獄の底から湧き上がるほどに出会いパワーゼロ人間には、御神徳も届かんですけどね。(←スーパーネガティブ人間)
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