店主たみこの観光案内ブログ

彦根城 天秤櫓 江戸期の古建築の美しさに惚れ♪

2021年04月17日

彦根城 天秤櫓

 

彦根城レポート、前回は佐和口多聞櫓から入場ゲートをくぐる所までを見てきました。
今回はその先に進みます。

 

いきなり見えてくるのがこの橋。
はるか頭上ににょきっと架けられています。
でもまず見て欲しいのは、その下。
上に橋が架かっているので下は当然くぼんでいるのですが、このくぼみ、人工です。

 

天秤櫓の堀切

 

これは「堀切(ほりきり)」と呼ばれる構造で、お城ではよく見かける防衛施設です。

 

通常お城には「~の丸」って名前の曲輪(くるわ・広場)がいくつかあって、その曲輪に味方の兵を駐屯させます。
ただこの曲輪が一旦敵の手に落ちてしまうと、今度は逆に敵兵の駐屯基地として使われてしまいます。
そうなった時、そこを拠点に一気に押し寄せられないよう、曲輪と曲輪を繋ぐ通路にあらかじめ溝を掘って遮断しておくのです。
その溝が堀切です。

 

右と左で違う石垣

 

こちらは堀切斜面の石垣ですが、ここにちょっと面白いものがあります。
分かりますかね、右と左で石垣の感じが微妙~に違うのが?

 

この石垣、江戸時代に一部積み直しされています。
その積み直した部分が左、触っていない部分が右です。
古い右側は隙間が多くて見た目が荒っぽいのに対し、新しい左側は隙間が少なく面取りもピシっと揃っています。
この違いは石垣の構築技術の進歩の違いなんですね。

 

こういう例、他のお城でもチョコチョコ見られます。

 

金沢城の石垣

 

例えば金沢城ではこんな感じ。

この石垣はいもり堀付近の細い道から登城する途中で見られるものなのですが、なんとなーく右と左とで石の感じが違うのが分かるでしょうか?
これも築造年代の違いによるものです。
右は1600年頃、左は1600年代中頃に積まれたもので、曲輪拡張のためにこんな形で継ぎ足されました。
なので古い方の右側はやや造りが荒くなっています。

 

石垣って細かく見て行くと色んな表情が詰まってて面白いですよ。
お城を見て回る時はぜひこういった石垣の変化にも注意してみてください。

 

彦根城の鐘の丸

 

堀切を登ると先に見た橋に出るのですが、その前に回れ右して、ちょっと逆側を見てみて下さい。
鐘の丸と呼ばれる曲輪があります。

 

現在はご覧の通り何もない平地ですが、かつては屋敷が建っていたそうです。
「鐘の丸」と言うだけあって鐘楼もあったんだとか。
しかしながら後年、屋敷は江戸に移され、鐘楼は時報鐘へと姿を変えてこの直ぐ近くに新設されました。
なので今はカラッポ。
ちょっと残念。

 

天秤櫓正面

 

再び天秤櫓。
堀切をまたぐ橋の先にどーんとそびえています。

 

なんで天秤櫓と呼ばれるのかと言うと、見れば分かりますよね?
左右対称、なんか見た目が天秤みたいだからです。
とは言え正確には左右対称にはなってないんですけどね。

 

天秤櫓内部に入る入口

 

この天秤櫓、内部を見学できます。
入口は橋を渡った裏側。
進行方向とは逆になりますので、うっかり見落とさないように注意してください。

 

櫓内の様子

 

中はガッツリ江戸時代。
かつての構造がそのまま残されています。

 

たまらんですわな、この独特の空気♪
ぶっとい梁の武骨な感じ、素っ気ない土壁、てらてらと光る床板。
現代建築が失ってしまった高純度な和様の緊張感みたいなものが、今も生々しく残っています。

 

天井の様子

 

屋根下のビジュアルもイケてますね。
古建築でなければ見られない、この美しさ!

 

梁の材は松ですかね?
がっしりとした堅牢感がもう格別。
その隙間を桁や束がピシピシと小気味よく走って、垂木がずらっと並んで。
眺めてるだけでヨダレが垂れてきそうなくらいの素晴らしさ!

 

ここに住みてーーっ!(※住めません)

 

凹凸のある壁

 

ちょっと壁にも注目。
なんか妙な段差が付いています。


これは鉄砲対策。
鉄砲でガンガンやられても持ちこたえられるよう、こうして壁を厚塗りしてあるのです。
上部を薄くしてあるのは、そこまでは弾が来ないと想定しているため。
こうやって場所によって強度に変化を付ける事で、効率よく防御力を高めているのです。

 

菱型の窓格子

 

武者窓の格子にも一工夫。
なんか形が菱型になっています。

 

こうするとちょうど格子がブラインドのように働いて、外から中が見えにくく、中から外が見えやすくなります。
また中からは広角度な攻撃ができますが、外から飛んできたは弾ははじかれやすくなります。
こんなちょっとした工夫が、攻撃力や防御力を向上させるんですね。

 

天秤櫓内部からの眺め

 

武者窓から覗いた眺めがこちら。
丸見えです。
この状態からバンバンやられたら、そりゃ敵としてはたまりませんわな!

 

ただ昔ここに架かっていた橋はこんな吹きさらしのものではなく、屋根も壁もあったと言われています。
つまり廊下橋。

 

福井城の御廊下橋

 

廊下橋ってこんなのね。

 

これは福井城の「御廊下橋」と呼ばれるもの。
橋なのに壁も屋根もあって廊下みたいになっています。
こんなような橋が天秤櫓の前にどーんと架かっていたのです。

 

この廊下橋、再現して欲しいな~。

ここに廊下橋が架かるとどんな姿になるんですかね?

見てみたい~~!!

 

彦根城天秤櫓の裏面

 

彦根城の大きな見所のひとつ、天秤櫓。
面白いです。
ここは本当に面白いです。
どうか訪問の際には外からも中からも、その素晴らしさを思いっ切り体験していってください。

 

次回はこの先にある太鼓門櫓と本丸を見て行きます。
いよいよ彦根城の心臓部に突入。
ドキドキの血圧上げっぱなしでご覧ください!

 

 

彦根城

住所:滋賀県彦根市金亀町 1-1

TEL:0749-22-2742

ホームページ:彦根観光ガイド公式サイト

 




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