
高岡市護国神社 拝殿に仕組まれた神秘の仕掛けにうっとり♪
2021年03月27日

高岡市護国神社は高岡古城公園内にある小さな神社です。
境内地は元々二の丸というお城の曲輪だった場所で、昭和10年に招魂社として建てられました。
それが同27年に高岡市護国神社と名前を変え、現在に至ります。
神社名から分かる通り、こちらは戦没者を弔う神社です。
高岡出身の戦没者、3576柱を祭神として祀っています。

入口には石造りの明神鳥居。
石段の先にすっと建っています。
敷地が一段高くなっているのは、元々屋敷があった場所だったからでしょうね。
お城ですんでね。
屋敷地を一段高くして周囲を塀で囲めば、格段に防御力が増します。
そんな当時の名残りがこうして地形として残っているのでしょう。

そして境内中央にどーんとそびえる拝殿。
左右にスパっと伸びる銅板葺きの大屋根がいいですね!
構造としては入母屋屋根の平入り。
桁行・梁間共に三間。
全体に重心の低い、シックな造りです。

特徴的なのがこの折り戸。
一般的にはここにはしとみ戸(上半分をぱかっと開けられる戸)が据えられることが多いのですが、ご覧の通り折り戸となっています。
なので見た目のビジュアルが独特。
黒金具がどっしりと重々しく、木の色も深く沈んでて、なんかちょっと要塞的な雰囲気。

ちなみにしとみ戸ってのはこんな感じ。
画像は尾山神社の拝殿です。
こうやって上半分を開け放つことで、室内の採光がしっかり取れるのです。
という事は逆にここを折り戸にしちゃうと中は真っ暗になります。
光りの通り道がありませんからね。
でもね、これ、実はある狙いがあってこうなっています。
それは中を覗いてみれば一目瞭然。

こちらが拝殿内部の様子なのですが。
どうです?なにか感じません?
ちょーっと画像じゃ伝わりにくいかもしれませんが、あの折り戸のおかげで手前は暗く、でも奥は明るくなってます。
つまり暗→明という光のグラデーションができて、その先にいる神さまの神々しさが強調されているのです。
この感覚はぜひ現場に立って感じて欲しいな~。
思わず、おっ!と押されるくらいの神秘性がありますよ!

その奥にある本殿入口。
何気に扉の金具がさっき見た黒から金に変わっている事にお気づきでしょうか?
本殿はご神体が収められている神聖な場所ですのでね、当然場としての「格」が高い訳です。
なのでこうして装飾に差を付けてあるんですね。

拝殿の横には碑が建てられています。
忠霊塔ですね。
戦没者の英霊を祀るためのものです。
なんか物悲しいですわな。
いつの世も戦争を起こすのは上の連中だけど、戦場で命懸けで戦って散っていくのは末端の人々ですからね。
こうして死んで祀ってもらうより、本当は普通に生きて普通に人生を全うしたかったでしょうね。

その忠霊塔の前には鶴のオブジェ。
このオブジェ、よく見ると色んなメッセージが込められています。
足元にうねっている荒波は恐らく戦争の表現でしょうね。
そしてその上には今にも空に飛び立とうとする鶴。
「鶴は千年、亀万年」の言葉にある通り、鶴は永遠の象徴です。
つまりこのオブジェは、戦争という試練を乗り越え、今まさに永遠の平和に向けて飛び立とうとする姿を描いているのです。
ただね、どう見ても噴水なんですよね、コレ。
でも水出てないんですわ。
これじゃなんか平和への願いが「止まってる」みたいで、ちょっと縁起悪くね?(汗)

高岡古城公園内にひっそりとたたずむ高岡市護国神社。
すぐ近くにある射水神社の方が見た目的にキャッチーなせいか、相対的に影が薄いんですけどね。
だけどその分静かというか、落ち着きのあるい~い神社です。
国のために魂を捧げた英霊たちに手を合わせながら、どうぞ今ある自分たちはすべて先人の礎の上に成り立っているんだという事を実感してください。
なおこちらの御朱印は射水神社でもらえるそうです。
御朱印目当ての方はそちらへどうぞ。
高岡市護国神社
住所:富山県高岡市古城 1-3
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