店主たみこの観光案内ブログ

専修山 専念寺 このお寺の見所は天然記念物の松だけじゃないのよ!

2021年03月22日

専修山 専念寺

 

射水のごちゃごちゃした街の中にぽこんと大きなお寺があります。
専念寺(せんねんじ)です。
創建は鎌倉時代とも室町時代とも言われており、元々は時宗、後に浄土真宗に宗旨替えし、現在に至ります。

 

このお寺ね、入口がちょっと分かりにくいのですわ。
細い道のさらにちょっと奥まったところに山門があり、ややもすると見逃してしまうので、よーく目を凝らして探してください。
一応数台分ですが、駐車場もあります。

 

専念寺の山門

 

で、これがその山門。
どーーーですか、この貫禄!!

 

両脇に塀がないのが少々物悲しいですが、お寺のエントランスとしての風格は十分過ぎるくらい十分。
巨大な威容でずずんと訪問者を出迎えます。

 

門の形式は四脚門。
大きな構造を支えるべく、太く頑強な粽柱(ちまきばしら)ががっちりと大地を噛んで踏ん張っています。

屋根は黒の本瓦葺き。
下部に対してやや大き目なサイズで、ダイナミックにばさっとかぶさります。

 

山門の彫刻

 

この門、何気に装飾が凝ってましてね。
ご覧の通り門扉の脇に牡丹の彫刻が施されています。
紋様の凹凸が作り出す陰影のコントラストと木目のぬくもりがなんとも見事。
こんなワンポイントが何気にシビれますわね♪

 

さらに上を見ると天井も張られています。
通常門の上部は屋根裏がそのまま剥き出しになっているのが一般的ですが、こちらはバシッっと天井を張ってカバー。
それも格式高い格天井。
手ぇ~かけてますわ♪

 

専念寺の傘松

 

その山門をくぐると右手に見えるのが、不自然にべちゃっと平面的な松。
松って普通上に向かって伸びますよね。
でもこのお寺の松は横に向かって伸びています。

 

なんでこんな形をしているのかは不明。
突然変異なのか、あるいはこういう形になるようにわざわざ剪定して仕立てたのか、そこら辺の説明は全くありません。
ただ下を覗くと枝を支えるつっかえ棒がいっぱい立ててあるので、ある程度は人為的な意図が入っているようです。
その珍しい枝ぶりから、地元では「傘松(からかさまつ)」の愛称で親しまれ、現在は県指定の天然記念物とされています。

 

鐘楼

 

その傘松のすぐ向かいに1基の鐘楼があります。
基壇はコンクリ、上物は鉄筋コンクリート構造。
見た瞬間、あ、昭和、と分かってしまうビジュアル。

 

ところが吊り下がっている鐘は違います。
擦り切れてへろへろ。
疲労感ハンパない。
建物よりはるかに古い年期を感じます。

 

鐘楼の案内板

 

この鐘、実は1474年、つまり室町時代に鋳造されたもので、元々は他のお寺のものでした。
それを明治4年にこのお寺が買い取って今ここにあるんだとか。
建物を作ったのは当然その後なので、ここで時差が発生してんですね。
いつ頃建てたかについては全く情報がなく不明ですが、多分見た感じ昭和中期~後期頃じゃないですかね?

 

専念寺の本堂

 

その鐘楼のすぐ先にあるのが本堂です。
どでーん!とご立派なサイズ。

 

仕立てとしては入母屋屋根黒瓦葺き。
桁行7間、梁間・・・あ・・・見てくるの忘れた(←おいっ)、平入の堂々たる造りです。

 

屋根のデカさがスゴイですわな。
重い黒ががっさーとかぶさる、凄まじい重量感。
さらに入母屋の形が作り出す、複雑に入り組んだライン。

 

中はどうなってんですかね?
ご本尊は阿弥陀如来との事なので、多分阿弥陀さまを祀った須弥壇があると思うのですが。
完全にシャットアウトされてて、その辺の様子が全く確認できません。
ん~~~~残念!!

 

専念寺の僧堂

 

その本堂の横にも大きな建物があります。
こちらは僧堂ですかね?

 

ちょっと見て欲しいのが正面の構成。
どう?ちょっと不自然じゃありません?
建物本体の中心線に対して、明らかに入口のひさしの位置がズレています。

 

これ、なんでかな~としばらく考えたんですが、多分このひさし、後から追築したものじゃないかと。
でもその時点で既に建物の中心線と、そこに繋がる石畳の通路の中心線とがズレてたんでしょうね。
で、建物と通路、どっちに合わせる?となり、結果として通路に合わせることを選んだのでしょう。
なので本体の建物を基準にして見ると、あり?ひさしの位置ズレてんじゃね?って事になっちゃったのでしょう。

 

僧堂の彫刻

 

でもね、このひさし、これがまたオシャレ~なのですよ。
見てくださいよ、この彫刻。

 

開口部の両サイド、左側には鯉の滝登り。
丸々と太った鯉が躍動感いっぱいにバシャシャーと跳ね上がっています。
右側には2頭の獅子。
我が子を千尋の谷の底へと突き落とす、荒々しいシーン。
そして上部には鳳凰。
優雅に翼を広げ、この世の全てを見下ろすような姿で描かれています。

 

これらはワンセットで仏法世界の表現なのでしょうね。
滝を登る鯉は世の中の発展を、獅子は厳しい修行を重ねる僧の姿を。
そして鳳凰はそれらすべてを見守る仏自身を。
ここをくぐることは、すなわち仏の世界へと入っていくことを意味するのです。

 

イカス~~♪

 

専念寺のエントランス

 

射水にたたずむ古刹、専念寺。
住宅街の中に埋没し、一見地味~で何にもないよ~に見えるお寺なんですが、細かく見て行くとなかなかに見所満載。
お寺独特の空気感も相まって、意外に飽きない場所ですよ。
生活の喧騒から離れて、ぜひ静か~な気持ちでお参りしてみてください。

 

 

専修山 専念寺

住所:富山県射水市本町 3-6-9

TEL:0766-84-8066

 




エリア >> 富山県 > 射水市 > 本町

 

関連タグ >> お寺 

 


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