店主たみこの観光案内ブログ

安土城 大手門編 まずは入口でウォーミングアップ

2021年01月06日

 

安土城と言えば信長の築いたレジェンド城。
その後の近代城郭のスタイルを決定付けた城としても有名です。

 

が、ありません。
今はありません。
とっくの昔に廃城とされ、なくなっちゃいました。
あるのは遺構のみです。

 

なのでちょーーと寂しいのですが、近年になって復元整備が進み、現在はかなりそれっぽい状態となっています。
それでもかなり寒々しいんですけどね。

 

そんなザ・信長な安土城の現地レポートを今回より5回に分けてお届けします。
まずスタートは大手門編から。

 

 

大手門ってのはその名の通り、大手、つまり城の表玄関となります。
ゆえに立派な構え!と言いたいのですが、現在の眺めはご覧の通り低い石垣と棚田みたいな広場がポツポツあるといった程度になっています。

 

とは言え、かつてここには4つの門が連なっていたと言われています。
中央にメインの門、そしてその右にひとつ、左にふたつ。
なんで門が4つもあったのかと言うと、天皇陛下が来ることを前提にしていたから。

 

 

お城と言えば有事の際の戦闘拠点というイメージがあり、実際そうなのですが、この安土城についてはやや色合いが異なります。
もちろん戦闘も意識されてはいたのですが、同時に政治色の強さも持ち合わせていました。
つまり権力者としての象徴、そして天皇の行幸(ぎょうこう)を受け入れるための施設としてのお城だったのです。
この天皇行幸ってのがミソでして、それ専用に作られたのが右側3つの門と言われています。

 

 

発掘調査でかつての姿を詳細に検証したところ、4つの門の1番左は枡形虎口(ますがたこぐち・通路が折れ曲がっている)、右の3つは平虎口(ひらこぐち・通路が一直線)となっています。
これは用途の違いからくるもので、右3つは行幸用なのでさらりと通過「できる」ように設計されています。
それに対して1番左は守備用なので、簡単には通過「できない」ようになっています。
恐らく平時の運用に当たっても、右三門は閉ざされ、左一門のみが通行用に使用されていた事でしょう。
見た目の建築装飾も左右でガラリと変えていたでしょうね。

 

 

こちらが三門の中央口、つまり天皇陛下が通る予定だった門跡。
現在の安土城の入場口でもあります。
今でこそガラーンとしてますが、築城時の姿はきっともっと荘厳雄大なものだったでしょう。

 

残り2つの門は、この10メートルほど横にひとつずつ。
サイズがぐっと小さくなるので、恐らくそれほど華美なものではない、シンプルな門だったと推測されます。
行幸の従者とか関係者が通用する門だったのでしょう。

 

 

こちらは1番左の枡形虎口。

行幸用ではなく守備用の門です。


門の先の通路がカクッと右に折れているのが分かるでしょ?
これが枡形ってヤツです。
この形によって攻めてきた敵は正面+側面の2方向から矢や鉄砲でボコボコに射すくめられるのです。
ほぼ死亡フラグ確定です。

 

 

ここでちょっと注意して見て欲しいのが石垣の高さ。
よくよく考えてみるとなんか低いんでね?という点にお気づきでしょうか?
門をどう突破するか以前に、これならどこからでも乗り越えられるやん、みたいな。

 

この石垣、全て復元です。
元々あった石垣は別のお城に転用されたり、畑の造成に持って行かれたりして、ほとんど失われてしまいました。
それを近年になって復元したのが現在の石垣です。
その際見通しが良くなるよう、わざと高さを抑えて作られたのです。
ですのでかつての姿と現在とではかなり大きな乖離があります。
現場を見る時は、その辺をなんとなーく頭に入れて見てください。

 

 

で、いよいよ安土城内に入場となるのですが、その前にもうひとつ。
入口横に「城なび館」という小さな施設があります。
ぜひここに立ち寄ってください。

 

中は売店になっていて、お土産用の安土城グッズがチョコチョコ。
そして奥には展示室があり、安土城に関する動画が見られます。
まずはここで安土城に関してお勉強してください。
漠然と見て回るより、ある程度概要をつかんでから見学した方が恐らく理解が深まるでしょう。

 

 

動画は全部見ても20分程でしたかね?
そんなに長くはありません。
かつての城内の様子がCGで再現され、ほ~こんな感じだったんか~ってのが詳細に実感できます。

 

これ見るとね、昔はものすごかったらしいのですよ。
石垣はもっと高くて、でっかい屋敷や門がバーンと建ってて。
天下の主の居城にふさわしい、堂々たる風格を備えた城でした。

 

 

室内には安土城天主の1/7スケールの模型なんかも展示されています。
ただし5・6階部分のみ。
やけに歯抜けで隙間が多いのは、イメージモデルだからです。

 

この模型、1992年に開催された「スペイン・セビリア万国博覧会」に出品された安土城天主の原寸大復元模型のひな型となったものです。
なので完成形や作業ポイントが随時確認できるよう、こういう半完成形で作られているのです。
でもそのおかげで普通は隠れて見えない構造や仕様なんかが細かく観察できて、実に興味深い展示となっています。

 

 

ちなみにこのモデルの完成形、つまり原寸大モデルは現在「信長の館」って資料館に展示されています。
万国博覧会終了後に旧安土町が引き取って移築したんだそうです。

 

こちらはなんたって「原寸大」ですからね。
迫力がもう圧巻!
安土城から車で5分足らずの場所にありますので、時間があればぜひ合わせて見て行ってください。

 

 

この先を進むと、いよいよ安土城の入場口。
魅惑の安土城ワールドの全貌が待っています。

 

と、今回はここまで。
次回はこの向こうの大手道周辺を見て行きます。
いきなり度肝を抜くズバッと続く大階段。
もーわくわくが止まりませんゼー!!

 

 

安土城跡

住所:滋賀県近江八幡市安土町下豊浦

TEL:0748-46-6594

ホームページ:安土城址公式サイト

 




エリア >> 滋賀県 > 近江八幡市 > 安土町 > 下豊浦

 

関連タグ >> お城 安土城 

 


コメントをする

 

 

 

下豊浦の最新記事一覧

安土城考古学博物館 第2展示室編 ここはお城ジオラマのワンダーランド

2021年07月26日

安土城考古学博物館、前回は古代をテーマにした第1展示室を見てきました。今回は中世の戦国の城をテーマにした第2展示室を見て・・・

カテゴリー:観光名所

安土城考古学博物館 第1展示室編 360度古代の文化で満載

2021年07月24日

信長の城、安土城。そのすぐ近くに安土城考古学博物館という施設があります。古墳時代と戦国時代、ふたつの時代にフォーカスを当・・・

カテゴリー:観光名所

安土城 摠見寺跡編 二王さまの眼光にびりびりクるぜ!

2021年01月16日

安土城レポート最終回。今回は摠見寺(そうけんじ)跡の様子をお届けします。前回の天主台跡を折り返し、元来た坂道を降りると二・・・

カテゴリー:観光名所

安土城 天主跡編 中途半端な公開状況に思わずムズムズ

2021年01月13日

前回見た安土城天主のテラスがあったと思われる広場。この広場を右に進むと天主跡へと繋がるのですが、先に左に曲がってください・・・

カテゴリー:観光名所

安土城 黒金門跡編 天主閣にあったと言われている「アノ」痕跡が見られる場所

2021年01月11日

信長の城、安土城、前回は大手門から入って大手道沿いに進んできました。やがて道は二手に分かれ、一方は天主へ、もう一方は摠見・・・

カテゴリー:観光名所

安土城 大手道編 仏罰を恐れぬ信長の鋼鉄ハートに戦慄

2021年01月09日

戦国の世を治めた天下人、織田信長の最後の居城安土城。前回はそのエントランス部分を見てきました。今回からいよいよ城内部へと・・・

カテゴリー:観光名所

安土城 大手門編 まずは入口でウォーミングアップ

2021年01月06日

安土城と言えば信長の築いたレジェンド城。その後の近代城郭のスタイルを決定付けた城としても有名です。が、ありません。今はあ・・・

カテゴリー:観光名所


 

新着記事

>> 記事一覧