喜多家住宅 その1◆金庫破りの名人大募集中!?
2020年12月26日
野々市市の一角に今も残る喜多家住宅。
数少ない、内部を見学できる古民家のひとつです。
正確な築造年は分かっていませんが、恐らく江戸末期の建物。
なので古~いのですよ。
中を見ると所々壁が剥がれ落ちたりしてて、もーボロボロ。
でもそれが逆にカッコ良くて!
やっぱ古民家ってのはい~いですわ♪
入口には紺色の暖簾がぶらり。
中央に染められている文様はこの家の家紋でしょうね。
なんかやけに商売屋っぽいエントランスですが、実際商売をしていて、昭和50年くらいまでは酒造業を営んでいました。
ここで製造販売をしていたそうで。
その名残りがこの入口なんですね。
そしてこの暖簾、実は某有名ファッションブランドと繋がっています。
その話はまた後で。
まずは内部の構造から見て行きましょう。
入口は土間になっていて、左手が屋敷になります。
民間のものとしてはかなり規模が大きく、恐らくそれなりのレベルの人が住んでいたものでしょう。
元々は醤油屋さんが建てた屋敷って事ですが、この大きさですからね。
相当儲かってたんでしょうね。
こちらはオエ。
現代で言えば居間ですね。
中央に置かれている囲炉裏が実に江戸時代チック。
壁の黒ずみ具合がいいですね。
ススでムラムラに黒がしみ込んでて。
囲炉裏があるんでね、火を焚けば当然煙ったはず。
そんな生活の痕跡が今もこうして残っているのです。
その左奥にあるのが中の間。
特に何かに使ってた部屋って感じではなく、謎に箪笥がふたつ置かれています。
面白いのは左側の方で、下部に車輪が付いてて動かせるようになってます。
「引き箪笥」ってヤツで、コロコロ引っ張って移動させるんだそうです。
いいですわね、古道具感むんむんで。
シビレる~!
その横が金庫部屋。
奥の方にごってりとした重厚な金庫が置かれています。
この金庫、酒屋時代に実際に使っていたものだそうで、確かに使用感満点。
今はご覧の通りただの飾り物になっちゃってますけどね。
中に何が入っているのかは不明。
いわゆる「開かずの金庫」ってヤツです。
コレ、テレビの出番じゃね?
再び中の間に戻り、さらに奥へ進むと床の間を備えた居間に出ます
床の間の床面は室内と高さを揃えた踏み込み床、左側には明かり取りの下地窓。
シンプルかつラフな造り。
ご自慢なのが飾られている掛け軸で、前田利常(まえだ としつね・加賀藩3代目藩主)直筆の書らしいです。
ミミズがのたくったような字で何て書いてあるのか全然分かりませんが、それでも前田の殿さまの書いたもの。
大~事に掛け軸に仕立てて、こうして飾ってあるのです。
その隣にあるのが仏間。
右側に見える金色の折り戸の向こうが仏壇スペースですね。
今は撤去されてて何も入ってないそうですが。
って言うか、デカいですわね、仏壇スペース。
ここに据える仏壇って、どんだけご立派なのよ?って感じ。
今だとどうだろう、このサイズの仏壇買おうと思ったら、モノにもよるだろうけど、500万は下らないんじゃないですかね?
ベンツ買えるっちゅーねん。
で、その横は再び床の間を備えた座敷になっています。
先に見た床の間の部屋は恐らく家人用、こちらは接客用。
なのでこちらの方がひと回り大きく造られています。
床の間の仕様も正式な形式を踏んでますね。
配置は床の間を右、床脇を左に置いた逆勝手。
床面は一段上げた本床とし、右側に明かり取りの窓と付け書院。
そして部屋脇の縁側の向こうには、植栽・石組み・水流を配した庭が広がる。
客を迎えるのにふさわしい、フォーマルなしつらえです。
その庭の眺めがこちら。
なかなか趣きがありますわね。
本来もうちょっと手入れされているべきなのですが、今はここには人が住んでませんのでね。
庭の手入れまでは手が回らないそうです。
落ち葉の処理や、植木の剪定、雑草の除去をしっかり行えばもっと静謐な空気が出るはずだけに、ちょっと残念。
と、今回はここまで。
次回は今回紹介し切れなかった茶室や2階を見て行きます。
なにしろ大きな屋敷ですんでね、まだまだ見所はいっぱいです。
急がずゆ~っくり見て行きましょう!
関連タグ >> 古民家 古建築 喜多家住宅
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