卯辰山三社 参道編 ◆戦争と金沢と慰霊の足跡をたどる道
2020年12月09日
卯辰山の中腹、花菖蒲園と呼ばれるエリアの外れに石の鳥居が建っています。
お、この先、神社があるぞ~的な鳥居。
そこが卯辰山三社への入口になります。
なんかね、神聖感ハンパないのですよ。
鳥居の先にざっと続く並木道の参道があって、でもその先は見えなくて。
思わず探りに行きたくなるワクワク感。
とりあえず前に進みましょう!
最初の曲がり角にまずあるのが日暮ヶ丘。
見晴らしのいい高台になっていて、金沢のド田舎な街並みがざっと見下ろせます。
「日暮ヶ丘」の名前の由来は、この眺望のあまりの素晴らしさに飽きることなく眺め続けていたらいつしか日が暮れていた、って事からきてるんだそうです。
今でこそ、え?それほど?って感じですが、江戸時代はこの山は禁足地になっていて登れませんでした。
それだけにこの高さ・この位置から町を俯瞰できるってのは、恐らく感動的なイベント性があったのでしょう。
ちなみにこの丘はあの「安政の泣き一揆」の舞台にもなったそうです。
安政の泣き一揆については以前に七稲地蔵の記事で取り上げてますので、詳しくはそちらをご覧ください。
そのすぐ横には石碑。
傾斜の途中にぽこっと建っています。
こちらは「精忠報国の碑」と呼ばれるもので、荒尾富三郎という軍人さんを追悼したものです。
彼についてはあまりデータがなく詳しい経歴は不明ですが、明治期の海軍幹部で、日本海会戦中に過労死したとあります。
という事は、明治時代からここにこうやって建ってるんですかね?
確かにそれくらい昔っぽいボロボロ感はありますが。
かーなり損傷が激しいので、お堂でも建てて軒下に入れた方がいいんでないですかね?
次に現れるのがこちら、「安達幸之助の碑」です。
安達幸之助、これまた知らん名前ですが、幕末~明治初頭にかけて活躍した人です。
今で言うエリート官僚みたいな人で、大村益次郎に師事しました。
益次郎は言わずと知れた長州藩の志士で、明治維新の立役者の一人です。
その益次郎と共に様々な政策に取り組み、維新以降の国作りに多大な貢献をしたものの、京都で刺客に襲われて急死。
そんな彼の人柄と業績を惜しみ、ここに碑を建てて弔ってあるのだそうです。
こちらはさらに風化しまくってて完全にパゲパゲののっぺらぼう状態。
明治3年建立とのことなので、今から150年前。
150年も経つと石肌ってこんなにツルツルになっちゃうんですかね?
やっぱお堂作った方がいいんでないの?
そのすぐ先にちっちゃな石橋があります。
戸室太鼓橋です。
「戸室」ってのは戸室石の事で、このすぐ近くの山で採れる安山岩です。
昔から高級石材として珍重されており、金沢城の石垣なんかにも使われています。
ここに唐突に橋があるってのにはちゃんと意味があります。
この橋は人の住む俗界と神の住む聖域とを隔てる境界として架けられているのです。
つまりここを渡ると、そこから先は神の世界という事になるのです。
どうぞ心してお渡りください。
3歩で終わるけどね(笑)。
さらに先に進むと招魂社跡に出ます。
招魂社とは戦没者慰霊のための神社で、明治3年に建てられました。
元々は戊辰戦争や西南戦争で亡くなった人たちを、後には日清戦争や日露戦争で亡くなった人たちも合わせて祀られました。
その後昭和10年になって出羽町に移転、それが現在の石川護国神社です。
移転後はすべての建物が撤去され、今ではがらんとした平地と数点の碑のみが残されています。
が。
実はこの時の建物を今でも目にすることができます。
それがこちら、中村神社です。
この神社の拝殿は招魂社の建物を移築・再利用したものです。
というか、さらに元をたどれば元々は金沢城にあった能舞台でした。
つまり「金沢城の能舞台」→「招魂社の拝殿」→「中村神社の拝殿」という道筋をたどり、現代にまで受け継がれているのです。
以上、卯辰山三社の参道を見てきました。
ちょっとマイナーな史跡が多く、???な部分もあったかもしれませんが、現地はすごく静かでいい場所です。
特に日暮ヶ丘の気持ち良さは格別なので、ぜひ一度体感しに来てみてください。
次回からいよいよ参道の先にある卯辰山天満宮、豊国神社、愛宕神社のレポートに入ります。
どれも見応え満点のい~い神社です。
スタートはまず卯辰山天満宮から。
アレが出ますよ~、アレ♪
関連タグ >> 神社 卯辰山三社
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