国立工芸館 展示編 その1 ◆え?ソッチ行けねーの!?
2020年11月18日
今秋オープンした国立工芸館。
前回は建物の外観について見てきました。
今回はいよいよ中の話です。
先に言っときます。
入れるのは左側、つまり旧第九師団司令部庁舎の部分だけです。
右の派手な方、旧金沢偕行社側には入れません。
これ知った時には愕然としましたからね。
え?なんで?みたいな。
ありえんですわ、マジで。
入口でまずウェルカムするのがこのオブジェ。
金子潤の「Untitled(13-19-04)」という作品。
金子潤ってのはアメリカで活動する陶芸家で、こんな作品ばっか作ってるようです。
見ての通りえっらい抽象的で、何が言いたいのかわたしみたいなド素人には全く意味不明。
見た感じ、縦の線形が雨をイメージしているみたいに思えるんですけどね。
金沢は雨多いし、その表現かもしれません。
でもこれと同じ紋様の別作品もあるし、多分違うな(笑)。
その右側に旧金沢偕行社側への入口。
でもドアには「関係者以外立入禁止」の非情の文字。
行きてー!
この先に行きてー!
あっちの建物の中も見てみてー!
でもガマンです。
”突破したい心”をぐっと抑えて、左側へと進みます(涙)。
行きてー・・・。(←しつこい)
その先に現れるのが受付。
本来はここまでフリーで入れるのですが、今はコロナのせいで予約のない人は入口でシャットアウトされます。
受付前はグッズ売り場になっていて、イロイロな国立工芸館グッズの購入ができます。
実用品というより、観光のお土産的なもの。
記念にひとつ買って帰るもヨシ、お土産に買って帰るもヨシ、気に入ったものがあったらおひとつどうぞ。
その前にはアートライブラリ。
美術関係の書籍を集めた図書館です。
ここ結構いい本揃ってましてね。
あ、これ欲しいってのもチョコチョコありました。
でも貸し出しはやってないみたいで、閲覧のみ。
この日は時間なくてぱっぱーと見ただけでしたが、その内一度時間をかけてじーっくり読みに行きたいと思います。
その先にあるのが中央階段。
アンティークな木製階段がすらっと伸びています。
内部で建物として楽しめる空間は、はっきり言ってここだけ。
なので旧第九師団司令部庁舎の内部ってどうなってんの?という興味が強い人(わたしの事ですが)にはかなり消化不良。
ここは美術館なんだから主役は展示作品って言ってしまえばそれまでなんだけど、でももうちょっと建築を楽しむ余地も残しといて欲しかったな~。
例えばこんなパーツ。
全館リフォームされてて、壁も柱も天井もこってり上塗り塗装されてる中、この部分だけは昔からの姿をそのまま留めています。
角がすり減り、所々ヒビまで入ってて使用感むんむん!
これなんだよね~、見たいの。
別にピッカピカに戻さなくていいんだよ。
修復はほんのり薄化粧程度に留めて、なるべく当時から残ってきた姿に近い状態で見せて欲しかったのよ、痛みも含めて。
館内全域、あまりにもきれいにし過ぎちゃってるのがなん~とも残念。
ここからいよいよ展示コーナーへと入って行くのですが、そのスタートがこちら。
「工芸とであう」と題された部屋です。
部屋には3枚の大型タッチパネルが備えられていて、それをポンポンと触って色んな情報を引っ張り出せるという仕掛けになってます。
まあよくありますわね、ここまでなら。
でもね、ここはさらにその一歩先を行ってます。
すっげーのですわ、テクノロジーが。
なんでもシャープが開発した「8Kインタラクティブミュージアム」ってシステムが採用されているそうで、作品を360度好きな角度から鑑賞できるのです。
指先でくりくりっとやれば、回したりひっくり返したり自由自在。
まるで実際に作品を手に取って触っているような感覚で見ることができます。
コレ、どんだけカネかかってんですかね?
開発費用、機器の購入費、設定の費用。
もちろん全額税金でまかなわれてんだけど。
いやー聞きたくないな、金額(笑)。
その奥が展示室1。
館内にはここを含め3つの展示室があります。
ここがその一番目。
「素材とわざの因数分解」をテーマに展示が行われています。
何が因数分解なのかって言うと、名前なんですね。
工芸作品ってのは作品名におおよその工程や特徴が説明されているのです。
それを具体的に解説したのがこのパネル。
『色絵染付菱小格子文長手箱』という作品名の「因数分解」の解法が説明されています。
これによると
「色絵(いろえ)」・・・釉薬の上に彩色してある
「染付(そめつけ)」・・・釉薬の下にも彩色してある
「菱小格子文(ひしごうしもん)」・・・紋様のパターン
「長(なが)」・・・形状
「手箱(てばこ)」・・・機能や用途
って事になってんだそうで。
なるほどね。
ちょっと面倒臭いけど、これをしっかり読み込んでから改めて作品を見て行くと、今まで見えてこなかった色んなものが見えてきます。
例えばこの作品について見てみましょう。
作品名は『蝋型鋳金装身具 美豆波乃女1・2・3』
これを因数分解すると
「蝋型(ろうがた)」・・・蜜蝋を使って作る型
「鋳金(ちゅうきん)」・・・型に金属を流し込んで作る鋳物
「装身具(そうしんぐ)」・・・アクセサリー
となります。
「美豆波乃女(みずはのめ)」とは古代神話に登場する神さまの名前ですね。
一般的には「罔象女神(これも「みずはのめ」と読む)」と表記されることの方が多いです。
水を司る神さまで、この作品も恐らく水の動きをイメージしたものでしょう。
以上、国立工芸館の1階部分を見てきました。
建築を目的に来た人には少々拍子抜けですが、工芸鑑賞を目的に来た人には多分胸ワクワクのドリームワールド。
作品ひとつひとつ、そこに込められた意味や思いを分解しながら、じ~っくりと見て行って下さい。
次回は2階部分を紹介します。
こちらは展示室×2と準展示室×3。
あの大作家の仕事部屋も見られますゼ!
関連タグ >> 美術館・博物館 国立工芸館
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