伊勢神宮 外宮(豊受大神宮)風宮・土宮・多賀宮 ◆え?ここも式年遷宮すんの!?
2020年10月21日
ここまで2回に渡って見てきた伊勢神宮外宮。
1回目は表参道から神楽殿までを。
2回目は心臓部の正宮を。
そして3回目の今回は、その正宮のすぐそばにある風宮(かぜのみや)・土宮(つちのみや)・多賀宮(たがのみや)、の3つの別宮を見て行きます。
まずは正宮の古殿地にくるっと背を向けて、その先にある通路を進んでください。
すぐに小さな石橋が見えるはずです。
そのままスタスタスタっと前進・・・って、ちょっと待った!
この橋面白いんです。
スルーしちゃーいけません。
その名も「亀石」と呼ばれる、世にも珍しい橋なんです。
何が亀って、そりゃ横から見ると分かります。
どう?めちゃくちゃ亀してるでしょ?
頭と甲羅と前足がはっきり識別できる。
種類としてはウミガメですね。
サイズ的にもなかなかのもの。
ただこの亀ね、結構甲羅部分がすり減ってるのですよ。
この亀石がいつ頃からここに橋として設置されているのかは不明ですが、恐らく何百年、ひょっとしたら1000年以上、こうして人に踏まれ続けてきた訳です。
そりゃすり減りますわな。
なのでこの橋を渡る時はそーーっとそーーーっと、傷つけないように静かーに歩いてあげてください。
間違っても金属スパイクとか履いて渡っちゃダメですよー!!
そんな亀ちゃんな橋を渡って左側にあるのが風宮。
祀られているのは級長津彦命(しなつひこのみこと)と級長戸辺命(しなとべのみこと)。
なんやらマイナーな神様ですが、国生みの神で有名な伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の息から生まれた兄弟神だそうです。
ご神徳は五穀豊穣や国家平安などいくつかあるのですが、中でもとりわけ重要なのが、その名からも分かる通り、風を司る力。
この神さま、風をぴゅーぴゅー起こせるらしいのです。
かの元寇で神風を吹かせたのは、この神さまの仕業と言われています。
正面にはガッツーンとお馴染みの伊勢鳥居。
丸柱に五角形の笠木を備えた定番のフォルムです。
そしてその奥に社殿。
反りのない茅葺屋根に千木(ちぎ・屋根上端部に付けられたV字形のツノ)と鰹木(かつおぎ・屋根の大棟上に横向きに並べてある棒)。
床は高床式で、両脇には内転び(上部を内側に傾けた形)にした棟持ち柱。
ザ・伊勢神宮!な社殿です。
その風宮の左側にあるのが土宮。
こちらに祀られている神さまは、大土乃御祖神(おおつちのみおやのかみ)。
「土」の文字から分かる通り、大地の神さまで、五穀豊穣をもたらすとされています。
元々は土着の神さまで、伊勢神宮の創始に当たり、内部に組み込まれたそうです。
こちらも風宮と同じ造り。
正面に伊勢鳥居を据え、奥には伊勢神宮スタイルの社殿。
先に言っとくと、後で見る多賀宮もこれと同じ形をしています。
伊勢神宮の社殿は、基本的にどれもこれとほぼ同じ形。
ステレオタイプの社殿がズラズラズラーっと散在しています。
よく言えば統一感があるし、悪く言えば無個性。
建てる方の立場に立てば、どこも同じ図面を使い回せるので楽でしょうが。
これら風宮と土宮のちょうど中間にある階段を登ると、最後の多賀宮へとたどり着くのですが、ここで再び待った!
上に行く前にちょっと見て欲しいものがあるのです。
それがこちら、警備員さんの小屋。
は?それが?と思われるでしょうが、よーく見てください、画像手前に四角い枠がありますよね?
で、奥にある警備員さんの小屋の足元にも同じような枠があります。
ここで思い出して欲しいのが式年遷宮(しきねんせんぐう)。
20年ごとに社殿を右と左で交互に作り直しては入れ替えるっていう、アレです。
この小屋も実は式年遷宮するのです。
つまり手前の枠、20年後に来たら、ここに警備小屋が建っているのです。
さらに20年後に来ると、再び奥に小屋が移動しているのです。
警備小屋を式年遷宮してどうすんの?って感じですが。
まーね。
なんて言うか。
ヒマなんやろね(笑)。
そしていよいよ多賀宮へ。
長くて急な石段の先にあります。
登ってください、頑張って。
この階段が結構キツくてですね、見た目以上にしんどいです。
しかも後ろから人がグイグイ上がって来るモンだから、意外とプレッシャーがあってノロノロできなくて。
体力に自信のない人は無理しなくていいですから、後ろの人にさっさと進路を譲って、自分のペースで登ってください。
そして到着、多賀宮。
こちらに祀られているのは豊受大御神荒御魂(とようけのおおみかみのあらみたま)。
実はこの神さま、すでに参拝が終わっています。
前回記事で回った正宮に、同じ神さまが祀られているのです。
じゃあなんでここでもう1回登場するのかと言うと、ちょ~っと変わってくるのです、神さまの性質が。
ここに祀られているのは「豊受大御神」の「荒御魂」。
正宮で祀られているのは「ノーマル」の「豊受大御神」。
この「荒御魂」が付いているかいないかで、同じ神さまでも微妙にニュアンスが違ってくるのです。
ざっくり言うと、ノーマルの方は「平和な日常を感謝する」対象。
それに対し荒御魂の方は「何か願い事がある時にすがる」対象、となります。
神さまにもモードがありまして、ノーマル時はいわゆる普通の状態です。
でもそれが荒御魂になると、一気にヤル気スイッチが入ったモードになります。
なので何かお願い事がある時には、荒御魂なんですね。
同じ神さまなのにわざわざお宮をふたつ用意してあるのは、こんな理由からなのです。
濃い~~~~お願いを多賀宮にして(←?)、さっきのキツイ石段をトコトコ降りて、はい終わり、とその前に。
もう一ヶ所、回って欲しい所があります。
それは多賀の宮の石段と土宮との間にひっそりとある細い通路。
ここをちょこっと入ってみてください。
その先にあるのがこちら、下御井神社(しものみいのじんじゃ)。
ちっちゃ~いですけど、一応神社です。
「下」があるんならひょっとして「上」もあんのかな~?と思われた方、目ざとい。
こことは別に、上御井神社(かみのみいのじんじゃ)ってのもあります。
これら両神社は井戸を祀ったもので、伊勢神宮で行われる行事で使われる水は、全てこの井戸から汲み上げられた水で行われます。
基本的に上御井神社の水がメインに用いられ、何か不測の事態でそちらから水が取れない場合のみ、こちらが使われるんだそうです。
なお上御井神社は進入禁止エリアにあるので、一般の人は立ち入れません。
以上、風宮・土宮・多賀宮の3つの神社を長々と見てきましたが、最後にもーひとつだけ!
先に見た亀石の手前にこんなのがあります。
注連縄で囲まれた、なにやら意味ありげなスペース。
ここ何かと言うと、風宮・土宮・多賀宮、3つの神社の遥拝所です。
遥拝所とは遠くにある神社を拝むための場所で、「あの神社までお参りしたいけど、ちょっと遠いな~」って時に、このような形で設けられます。
ここに来てお参りすれば、その神社まで行ってお参りしたのと同じことになるのです。
なんか横着な気がするかもしれませんが、多賀宮はかなり階段キツイですからね。
足腰の弱い人にはこういう場も必要なのです。
以上、伊勢神宮の中でも特に神格の高い3つの別宮、風宮・土宮・多賀宮とその周辺を見てきました。
どれも霊威むんむん、伊勢参拝の際には忘れずにセットでお参りください。
次回は忌火屋殿(いみびやでん)から出口の北御門口(きたみかどぐち)までのルートを見ていきます。
この辺まで来ると皆さんさらーっと流してしまいがちですが、なんのなんの、まだ見所はちゃんとあります!
せっかく伊勢まで来たんですから、最後の最後までこーってり楽んでってください♪
関連タグ >> 神社 伊勢神宮 伊勢神宮 外宮
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