
伊勢神宮 外宮(豊受大神宮)正宮 ◆強烈な寸止め地獄にもじもじが止まらない!
2020年10月19日

内宮と外宮、二つ合わせて伊勢神社。
どちらからお参りするも自由ですが、セオリーとしては外宮が先、内宮が後とされています。
前回はその外宮の入口から正宮(しょうぐう)手前までを見てきました。
今回はいよいよ心臓部となる正宮を見て行きます。
場所は神楽殿の左奥、玉砂利をじゃりじゃりと踏みしめて進んだ先にあります。
比較的開けた場所にあって、人だかりも多いのですぐに分かるでしょう。

正宮に到着してまず気なるのが、この壁。
なんじゃこりゃ?みたいな。
これは蕃塀(ばんぺい)と呼ばれるもので、バリケードみたいなモンです。
この短い塀1枚で、邪なるものが正宮へ侵入するのを防いでいるのです。
え?こんなんで何を防げるの?って感じですが、まあそこは気分の問題。
すべての理屈を「精神性」と「概念」で構築するのが、神社という世界なのです。

正宮の全体図はこんな感じ。
結構なサイズで、ここだけで小さな神社くらいの敷地があります。
で、見て欲しいのが塀の数。
内側から瑞垣(みずがき)→内玉垣(うちたまがき)→外玉垣→板垣、と4重の塀を巡らせてあります。
その上で板垣の切れ目4ヵ所にそれぞれ蕃塀です。
これでもかって言うくらい厳重に囲い込み、徹底して外部からの悪しき霊力の侵入を遮断しています。
もうほとんど要塞。

で、いよいよ参拝となるのですが、この鳥居の先は撮影禁止となっています。
理由は良く分かりませんが、「神さまを写真に収めるのは恐れ多い」って事みたいです。
こっそり撮ろうとしても警備員がビシーッ!と見張ってて、ほぼスキがありません。
なのでここから先は、『読者さまのご想像ビジョン』でお楽しみください。(←?)

鳥居をくぐると、いきなり門。
屋根は茅葺、棟には鰹木(かつおぎ・屋根の大棟上に横向きに並べてある棒)や千木(ちぎ・屋根上端部に付けられたV字形のツノ)まで乗せられた、およそ門とは思えない立派な仕立て。
ただこの門、出入口というより、ほぼ遮蔽物に近いような構造になっています。
ガタイの割には妙に扉が小さいんですね。
扉がそんなに小さいんなら、門自体をもう一回り小さくすればいいんでね?って感じのアンバランスな造り。

しかも!
ご覧ください、この門口!(想像で)
ただでさえ小さな門口には白い布が垂らされていて、その先が見えません。
風でパタパタ揺れる布の隙間からわずかに覗く向こうの景色を我慢して見るのが精一杯。
まさにチラリズムの極地!
この見えそうーーーで見えない、見たいーーーけど見れない、ふつふつと鬱積していくストレスを。
どうすればいいんだーーー???
ああー神さまーーどーにかしてーーー!!!!
あ、ここ神社か(笑)。

その意地悪な門を横にズレると、塀越しにちょこーっとだけ向こうが見えます。
ただ見てくださいよ、この眺め!(想像で)
先に触れた通り何重もの塀垣で覆っているので、アレやコレやが邪魔して、全然奥が見えません。
別にわざわざ伊勢まで『塀垣』を見に来たんじゃないんだけどな~。
建物を開けて室内まで見せてとは言わないから、せめて建物の外観くらいはちゃんと見せてよ~。
ああーーー見たいーーー。
見れないとなると余計にガッツリ見てみたいーーー!!!(うずうずうずうずうず・・・)

と散々寸止め地獄を味合わされ、退場。
残ったのは、もんもんとした不完全燃焼な気持ちのみ。
伊勢神宮、いけずやわ~。
結局ナンも見せてもらえんし。
写真すら撮らせてもらえんし。
ああ・・今日から3年は眠れない。(※注:疲れてぐっすり寝ました)

あっと、入口正面の画像をもう1回。
話が行ったり来たりしちゃうんだけど、気が付きましたかね?鳥居の形が違うの?
ここだけ鳥居がスペシャルなんですよ。
前回の記事で見た伊勢鳥居、笠木(天頂の横木)が1本でした。
でもこの正宮の鳥居のみ、もう1本渡されています。(※この部材を島木という)
理由はやっぱりここだけ別格だからなんでしょうね。
なんたってご神体が祀られている場所ですからね。

ひとしきり正宮を楽しんだら(楽しめたかどうかは別として)、次に見て欲しいのが隣。
がら~んとした空き地になっています。
これは古殿地(こでんち)と呼ばれる場所。
かつて正宮があった場所です。

式年遷宮(しきねんせんぐう)って言葉、多分ほとんどの人が聞いたことがあるでしょう。
何をするかと言うと、この隣の空き地に社殿一式をごっそり移すんですね。
で、今ある社殿は取り壊して、更地にして、新たに古殿地にしちゃうんです。
そしてそこから20年したらまた新たに古殿地に社殿一式を建てて、引っ越しして、それまでの社殿は取り壊して古殿地に戻すと。
さらに20年したらまた逆をやる。
と、こんなことを延々と繰り返すのです。
もうほとんど狂気ですわな。
資金力がなきゃできない制度です。

この古殿地、よーく見ると、中央にひとつだけちっちゃな社が残されています。
これ何だと思いますか?
この正体について、神社からの正式なアナウンスはないのですが、どうも心御柱(しんのみはしら)が収められていると言われています。
心御柱とは、まあ柱ってんですから柱と思われますが、その正体は謎。
と言うか繰り返しますが神社からの正式なアナウンスがないので、そもそもそんなものが本当に収められているか自体も不明なのです。
真実を知るのは神社上層部の人間と、式年遷宮でこの社の建設に携わった宮大工さんのみ。
ただし厳重なかん口令が敷かれていて、聞いても絶対教えてもらえないそうです。

最後にもうひとつだけ。
古殿地の前にこんなのがあります。
注連縄で囲まれた、なんやら意味深な何か。
これは三ツ石と呼ばれるもので、お祓いやお清めをする場所です。
かつてこの場所には川が流れていて、その水で禊(みそぎ)を行っていたんだそうです。
それが地震によって川筋が変わって干上がってしまい、でも禊の場としての役割は残され、現在でもこんな形で目印を置いて祭祀が営まれているのです。
なんやら噂では、ここに手をかざすと温かなエネルギーを感じるそうで。
興味のある人はやってみてください。
神社の公式サイトを見ると、「バチ当たりやからやらんといてくれ」って書いてあるけどね(笑)。

長々と見てきた伊勢神宮外宮の正宮。
神霊エネルギーいっぱいの超パワースポットです。
江戸時代「一生に一度はお伊勢参り」と言われた神秘のパワーを、ぜひ現地で体感してみてください。
次回は別宮の風宮(かぜのみや)・土宮(つちのみや)・多賀宮(たがのみや)を見て行きます。
サイズこそ正宮に比べてコンパクトですが、こちらも色んなエッセンスの詰まった必見のポイント。
どうぞじ~っくりとご覧ください。
関連タグ >> 神社 伊勢神宮 伊勢神宮 外宮
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