
毘沙門山 来教寺 アナタはこの仏像の正体を見破れるか!?
2020年10月07日

卯辰山寺院群の一角にちょっと変わったお寺があります。
来教寺(らいきょうじ)、天台真盛宗のお寺です。
ここはかつての神仏習合時代の姿をモロに残していて、仏教+神道がごく普通に共存しています。
今の感覚で見ると、お寺?神社?どっちよ??みたいな感じになりますが、本来はこの形こそが日本における標準的な宗教スタイルでした。
まずは入口から見て行きましょう。

山門です。
ずどーんとそびえる薬医門。
屋根にずっしり重みがあり、一方で上部に対して下部に幅を持たせてあるので見た目の安定感がしっかりあって。
独特の貫禄を放っています。
そして何よりも注目して欲しいのが屋根。
よーーーく見てください。
アレがあるんですよ、アレが!

逆立ち狛犬!
なぜか屋根の上に狛犬、しかも逆立ち!
このお寺は神社も内包しているので狛犬があるのはまあ許容範囲内として、その狛犬がなぜかぴょこんと逆立ち。
かわい~いですな~♪
逆立ち自体に特に意味はありません、多分。
単なる作った人の遊び心でしょう。

そんなサーカス山門を抜けると正面が本堂、なんだけどまずは左折。
すると目の前に仏像が現れます。
蓮華座に座り、光背に円光。
印相は右手に施無畏印(せむいいん)、左手に与願印(よがんいん)を結び、足を結跏趺坐(けっかふざ)に組んで、静かなまなざしでこちらを見つめます。
特に変わった特徴のない、比較的スタンダードな仏像です。
この仏像、『多分』阿弥陀如来と思われます。
なぜ『多分』なのかと言うと、仏像の見分けって結構難しく、シトウト目にはまず無理だから。
如来かどうかまではひと目で分かるけど、その如来にも種類がたくさんあって、中でもメジャーなのが釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来、大日如来。
大日如来は楽なんですよ、宝冠かぶってるので一発で分かる。
だけど残りの3つの見分け、コレが難しい。
薬壺(やっこ)を持っていれば薬師如来、阿弥陀定印(あみだじょういん・手の指の形)を結んでいれば阿弥陀如来って分かるんですが、そんな目印がな~んもないケースも多々あり、そうなると完全にノーヒント。
じゃあどうすんの?って言うと、お寺に聞くしかないんですね。
極端な話全く同じ仏像でも、「コレ阿弥陀如来」と言われたらそれは阿弥陀如来になるし、「釈迦如来」と言われたら釈迦如来になっちゃうのです。
ただこのお寺の場合、本堂に阿弥陀如来を本尊として祀ってあるので、この大仏さまについては阿弥陀如来でまず間違いないと思います。

その阿弥陀如来の隣には三重宝塔。
この宝塔も特に取り立てた特徴のない、ごくオーソドックスなタイプ。
ただ台座、これだけは面白い。
ご覧の通りゴッツゴツ。
何の加工もしていない自然石をそのまんま乱暴に積み上げてあります。
コンクリで固めてあるのかな?
もう少しオシャレに作れんかったんですかね?(笑)

そのまま道なりに進むと左手に現れるのが六地蔵。
狛犬もいますね。
ここも仏教・神道ゴッチャゴチャ。
いかにも宗教にゆる~い日本的な光景。
上にはなんやら難しい事を書いた案内板があります。
訳そうかと思ったけど、記事が無駄に長くなるので止めます。
要は「お地蔵さまはお釈迦様の指令を受け、仏の存在しない空白期間、人々を救う仕事をしています」みたいな事が書かれています。
ちなみに「仏の存在しない空白期間」ってどのくらいの期間かと言うと、56億7千万年。
お地蔵様、寿命長すぎーー!!!

その六地蔵の正面にあるのが行基菩薩像。
行基(ぎょうき)ってのは実在したお坊さんで、有名な奈良の大仏さまの建立に深く関わった人物です。
その石像って事らしいんですが。
変。
お坊さんなのになぜか長髪。
しかも冠までかぶって。
着物も全然お坊さんらしくないし。
って言うか、女っぽくない?
これ多分全然違う像を持ってきて、無理やり行基ってコトで通してんじゃないですかね。
まあ信じる者は救われますので。
とりあえずこの像にぱちゃぱちゃっと水をかけてお祈りください。
学業成就・開運出世・病気平癒のご利益があるそうです。

その先にあるのが金毘羅さんの拝殿。
見た通り完全に神社です。
目の前に紐、上には大きな鈴。
こいつをガランガランと鳴らしてお参りするわけです。
画像では切れてて見えませんが、この左側にはお稲荷さんも祀られています。
要は神社がふたつ、お寺の中に。
この状況を違和感と感じるか否かは、参拝者の気持ちひとつです。

内部はこんな感じ。
暗くてよく見えませんが、奥に見える丸鏡がご神体のようですね。
上部には鳥居が描かれた扁額が数点。
でもここはお寺。
ん~~~~カオスだ・・・。

その右隣は「お寺」スペース。
先に見た「神社」スペースのすぐ真横。
つまり同じ建物・室内に神棚と仏壇が隣り合って設置されているのです。
スーパーで肉屋と魚屋が隣り合って商売しているのと同じような感覚で、神さまと仏さまを並べてあるわけです。
アバウトだーーー・・(笑)。
外から覗いてるだけなので中の様子は暗くて全然分かりませんが、中央に阿弥陀如来を据え、脇侍として馬頭観音・不動明王・毘沙門天が祀ってあるそうです。
左側にチラッと見える金色の建物っぽいのは、蓮田修吾郎(はすだ しゅうごろう)から寄贈された多宝塔。
氏は文化勲章を受章した金沢出身の鋳金家さんで、金沢駅東口にある大きな金属製のモニュメント『悠揚(ゆうよう)※「揚」は本当はもっと難しい字』はこの人の作品です。

見学できるスペースは狭いですが、そんな中にも意外と見所が詰まった来教寺。
仏と神が混在した明治期以前のゆる~い宗教観を、どうぞ思いっ切り体感してみてください。
なおこちらでは住職さんによる人相占いなんかをやっているそうです。
顔に自信のあるアナタ!
一度占ってもらえば、意外な運気を見付けてもらえるかもしれませんよ。
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