
石川県立自然史資料館 グロが苦手な人は2階には行かないでください
2020年10月05日

石川県立自然史資料館は平成18年にオープンした、『自然』をテーマにした施設です。
ここで言う自然とは、古代より育まれてきた地勢・そこで活動する生態・そしてそれを対象とした研究までを差します。
結構カバー範囲が広いので、正直内容的にそんなに深くはないのですが、でもあんまりディープに突っ込んでも付いてこれない人の方が多いと思うので、まあこのくらいの温度感がちょうどいいのかな?という感じの展示となっています。
なのでどうぞ構えず、楽ぅ~な気持ちでお越しください。

入口でいきなり入館者をウェルカムするのがこのパネル。
これ、地層のサンプルなんですが、なんとスゲー事に。
『ホンモノ』です。
え?模型じゃねーの?とお思いになるかもしれませんが、ホンモノです。
現場からスライスして持ってきた、バリバリの本物の地層です。

説明書きによると、このサンプルは金沢市梅田町で見つかった活断層で、約2000年前に森本活断層で起きた地震の痕跡なんだとか。
なんで分かるんですかね?地震の起きた年代なんて?
しかもマグニチュード6と、地震の規模まで言い当てています。
2000年前って言えばまだ日本に漢字が入って来る前だし、当然文字資料なんか残っているはずないし。
そんなのがなんで分かるのか?
ん~~~不思議だ~~~・・・(悩)。

で、そのパネルの横を進むと、どんと現れるのがこのグロテスクなヤツ。
骨格標本です。
これも「ホンモノ」です。
左がアジアゾウ、右がウマ。
これは旧制第四高等学校で使われていたものだそうで、故あって譲り受けられ、今ここに展示されています。
旧制第四高等学校ってのは明治時代に金沢にあった、当時日本有数のエリート養成スクールです。
そんな日本を引っ張るエリートの卵たちが、この標本を前に、ガリガリガリガリと勉強していたのです。
ゾウやウマの骨から一体何が学べるのかはちょっとよー分からんけど・・。

こんなのもあります。
イヌワシのはく製。
なんでイヌワシかと言うと、石川の県鳥に指定されているからです。
調査によるとこの鳥は主に石川の山間部に生息しており、推定総数30~40羽程度。
えらい少ない気がしますが、実際少なく、亜種のひとつであるニホンイヌワシなんかはレッドリスト(絶滅危惧種)に挙げられているそうです。
どうか見掛けても捕まえないでください。(←そもそも無理)

そのロビーを抜けると、右手に「自然たいけん広場」という部屋があります。
ここでは石川県の自然環境をテーマにした展示がされています。
壁際のパネルでは「里山の自然」「白山ろくの自然」「地質図鑑」「植物図鑑」など様々な切り口での解説がされているのですが、わたしが一番喰いついたのは「海岸・海の自然」。
石川県って言えば北陸、北陸と言えば豪雪地帯、冬が厳し~いってイメージがあると思いますが、今から1600万年前は実は熱帯でした。
当時はマングローブの森が広がり、ヤシの木なんかも生えていました。
ちょっと想像できませんよね。

実はこの話、以前の記事でもしています。
兼六園の竹根石手水鉢の記事です。
大昔の熱帯ジャングルの痕跡が、なんと兼六園で見られるのです。
よかったら読み返してみてください。

その部屋を抜けると次に出てくるのが「物理たいけん教室」という部屋。
何気にこの部屋、この資料館最大の目玉です。
何があるのかと言うと、旧制第四高等学校で使われていた物理実験機器のコレクションが並べられているのです。
先にも見ましたよね、ゾウとウマの骨格標本。
実はあれ以外にも旧制第四高等学校由来の膨大な教材が、この資料館に保管されているのです。

これ、面白いですよ~。
ジャイロコンパスの説明器やら、パスカルの原理実験器やら。
一体何の事かさっぱり分からんけど、別にそんなんどうでもいいのですわ。
なんか見てるだけでカッコイイし。
アンティーク感いっぱいで、知的で堅苦しくて。
こんなん部屋のインテリアに欲しいな~♪

このコレクション、部屋に展示されているものだけではありません。
まだ倉庫の中にこんなにあります。
その数実に747点!
ちなみになんでこんなスゲーのがこんな大量にここにあるのかというと、金沢大学のキャンパス移転が関係しています。
金沢大学は旧制第四高等学校の流れから生まれた学校なので、その遺産を色々受け継いでいたんですね。
でも平成に入って大々的な引っ越しを行い、まあ持て余してたんでしょうね、余剰なものをごっそりと放出したのです。
で、その一部がコレクションという形で今ここにあると、そんな経緯らしいです。
いいなー。
1個くらいくれんかな?(※ダメです)

では続いて2階に行きましょう。
この2階、妙ぉ~~~~~なモノがありまして。
それがコレ、「ダイオウイカ」標本。
ダイオウイカってご存知ですよね?
でっかーいイカです。
成長すると全長10メートルを超える、超巨大無脊椎動物。
そのダイオウイカのホルマリン漬けが展示されています。
準備いいですか?
グロ注意です、マジで。

これね。
当然だけどデカいのですわ。
そしてリアルなのですわ、ホンモノなので。
そのデカ生々しいのがでろ~んと飾られているのですわ。
これ見ると、当分イカ焼き食えんね。
100歩譲ってイカ焼きそばならギリ食えますかね?(←謎な基準)
このイカは平成28年に能登町の赤崎海岸に打ち上げられたイカで、全長4.2メートル、推定体重100キロ強。
それが「のと海洋ふれあいセンター」ってトコに回収され、それがなんでかここに回ってきて、こうして展示されてるんだとか。
これ、誰が喜ぶんだろう?(汗)

そして2階唯一の部屋がこちらの企画展示室です。
ここでは数か月ごとにテーマを入れ替えて展示が行われています。
わたしが行った時には「いしかわの生物多様性とレッドデータブック」という企画をやっていました。
「レッドデータブック」とは絶滅危惧種リストの事で、現状のままでは失われてしまうかもしれない動植物の実態が細々と解説されていました。
これを見ると結構な数の種が絶滅という危機に瀕しているようで。
あるものは気候の変化によって、あるものは外来種の脅威によって、少しずつ個体の数を減らしているようです。
その原因には当然人間の環境破壊も含まれるわけで。
深いですわな。
突き詰めれば、人類はいつか人類の自身の手によって滅んでしまうんじゃないかと。
そんな恐怖を感じさせるテーマです。

石川県の環境の過去~現在が、様々な角度から見られる石川県立自然史資料館。
基本子供向けの施設ではありますが、大人も十分楽しめます。
興味のある人はぜひ一度訪れてみてください。
ただ2階の奥にはアレがいますんでね。
ちょっとそういうの苦手だな~って人は、奥には行かないでください。
夢で襲ってきます。(え?)
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